見出し画像

向いてなかったと思う仕事

こんにちは、『あー私五月病かも!』と言って『いや、今3月だし!』って突っ込みをもらおうとしたら『いや、働いてねーだろっ!』という突っ込みをされて、息の根を止められました。

トミーです。

3月とはいえ、一気にあたたかくなり、こういうときって季節の匂いというか、感触でドバッと過去を思い出すことありませんか?

私で言えば、なんとなく短大を卒業するときを思い出しました。
もはや、19年も前の話ですが。
新社会人になるにむけて、少し楽しみのような、怖いような、寂しいような。
色々な気持ちの3月だった気がします。

今の学生だって、そんな気持ちなのでしょうか。がんばれ新社会人。
働こうとするだけで、全力で偉いよ。
アラフォーニートからしたら。。。

そういえば新社会人として、働いた信用金庫のはなし。
しばらく内部事務をやったうえで、窓口係となりました。

金融機関なので、銀行を思い出すと店内をイメージしやすいと思いますが、

お客様が待っているロビーがあり、
窓口カウンターがあり、
その後ろで事務をしている人たちがいます。

そして、私がいた支店はそこまで大きくもなかったので、一番奥に支店長の席もありました。
お客様ロビーからも見える距離感です。

銀行とは違って、信用金庫は地域密着、お年寄りや、個人事業主に優しい金融機関といったかんじです。

私は毎日、窓口でピンポーン!って鳴る呼び出し音を鳴らしていました。
色んなお客様がいましたが、ある日お婆ちゃんが呼び出し音と共に小走りで私の窓口にいらっしゃいました。

トミー『おまたせいたしました!』

お婆ちゃん『今日はこれの継続と、あとこれの支払いと、あとこれを振替してもらえるかしら。』

トミー『かしこまりました!おかけになってお待ちくだ』

お婆ちゃん『てかさ、ねぇっ!!!』

お婆ちゃんは、私の言葉を遮って食いぎみに、私のほうに身を乗り出してきました。
窓口の高さは、お婆ちゃんの胸くらいはあるのに、えらく前のめり。
小走りだったし、何かあったのか?
話を聴かなきゃと思い、私は席を立ち上がって、何となくお婆ちゃんに姿勢を近づけました。

トミー『はい、なんでしょう?』






お婆ちゃん『ねぇ、あれってカツラ!?』

お婆ちゃんは、耳が遠いのかまぁまぁな音量の声でその言葉を放ちました。
しかも、完全に人差し指で、ある方向をさしています。
私はゾッとしました。
指先の一直線先には、


一番偉い支店長が座っている。


あまりにも、でけぇ声でいいだしたので、パニックになった新人窓口の私は思わず


トミー『シッッッ!(  ゜♭゜)』

気づいたら人差し指を立てて顔面の前に出していました。
色々察した、お婆ちゃんは
『やっぱり私の発見は正しかったんだ!』というキラキラした顔で誇らしさいっぱいに席につきました。

私はしばらく、自分の仕草含め、一連の流れにニヤニヤが止まらず次のお客様の呼び出しが出来なくなりました。

こんな信用金庫の窓口があるでしょうか。
安心と信頼ありきの世界です。
相手がお婆ちゃんで、私が二十歳の小娘だったとはいえ、いかがなものでしょう。

そして支店長のカツラもいかがなものでしょう。

そう、支店長はゴリゴリのカツラでした。
別に見た目を気にするのは悪いことでもないですし、派手な色なわけでもないので金融機関のきちんと感もあります。


しかし、1つ言うならば、

ミスターオクレ的なスタイル

それは、いかがなものでしょうか支店長。
七三の髪がペッタリと乗ってらっしゃる。
ミスターオクレはカツラじゃないが、たぶん。

そりゃ、小走りするほどお婆ちゃんも気になるわ!!!

そして、何ヵ月かに一回かカツラのタイプが変わることがありました。
散髪する感覚、オシャレする感覚なのでしょうか。少しだけ色味が柔らかい茶色だったりするときもありました。

全てミスターオクレではあるんだけど。


支店長のカツラがアプデするたびに、みんながザワザワするのです。

『支店長ともなれば、お金があるのに、何故もっとナチュラルなイイものを選らばないのだろうか、、、』

支店の全員が同じことを言っていました。
先輩にめちゃくちゃ嫌われていた私ですが、その話だけは、お互い気が合いました。

支店長は偉いので、支店長室があります。
ごくたまーに、支店長面談のようなものもあり、二人でその部屋で話したりもしました。

室内には支店長しか使わないクローゼットのようなものがあり、暑いときなどスーツの上着をしまっていたようです。また、クローゼットの扉には鏡があるようで、

支店長がひたすら鏡を見ながらコームで髪をとかしていました。

、、、

いや、面談やりにくいわ!!!

上司がカツラっていう社会経験は貴重でした。
私はお婆ちゃんになんて言えば良かったのでしょう。

相手がお婆ちゃん、私が二十歳の小娘。
コンプライアンスなどありません。
支店長がコンプライアンスについて語るたびに

『その頭は偽造ではないのか。ロンダリングだろ。』

と、影で言い出す営業さんがいて、営業さんのトーク力は凄いなと思いました。

ちなみに、支店長は今でいうパワハラ気質があり、怒鳴ったりはしないけど、ねちねち陰険なタイプ。 
おもくそ、みんなから嫌われていました。

せめて、慕われていたら、みんなもカツラに寛大だったのかもしれませんね。 
あ、いや私は支店長のことは好きでも、嫌いでもなく、ただただミスターオクレなことだけが気になっただけですが。

『トミー辞めるなら、あいつのカツラ鷲掴みにしてテロ起こして去ってくれよ。』

わりと仲が良かった営業さんが私をそそのかします。
いや、支店長どれだけ嫌われてんだよ。 

嘘偽りについていけず、向いてなかった思う仕事。
春の匂いが思い出させました。

今日もありがとうございました!






この記事が参加している募集

社員紹介

おじいちゃんおばあちゃんへ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?