Tomoe Tara Irino

サンスクリット古典劇に関することを中心に書きます インド古典劇俳優(クーリヤッタム・…

Tomoe Tara Irino

サンスクリット古典劇に関することを中心に書きます インド古典劇俳優(クーリヤッタム・ナンギャールクートゥ) 南インドのパーカッションプレーヤー(ミラーヴ、イダッキャ、ムリダンガム) アビナヤラボ主宰 NPO法人JML音楽研究所講師

マガジン

  • 作曲家・入野義朗の文章

    作曲家であり、音楽教育者であった入野義朗の書いた文章を中心に

  • 「ラーマーヤナサムクシェーパム」邦訳

    インド古典劇「クーリヤッタム」を学ぶ人たちが最初に学ぶ台本の一つ これを使って、言葉をムドラ(ハンドジェスチャー)で表現する方法を身につけます

最近の記事

創作オペラの可能性

「音楽芸術」1980年6月号のこの記事を最初に読んだ時から印象に残ったこの部分、折々に、これらの言葉に励まされてきました。 全文をどうぞお読みください。 1  創作オペラということばは考えてみると少し奇妙である。オペラに限らないが、全ての作品は発表された時、創作であるはずである。それではなぜ創作オペラということばを使うのだろうか?それはおそらく日本で演奏されるオペラのほとんどがヨーロッパものの再演であり、我々日本人の作曲したものは例外としか思われないからである。しかしこの第

    • 芸術(音楽)の評価ということ

      音楽鑑賞教育という雑誌に入野義朗が寄稿した文章を転載します。 今でも通じるものがあるのではないでしょう 音楽鑑賞教育1977年10月号 p12-p16 「芸術(音楽)の評価ということ」入野義朗  ある事柄や物事を評価するという活動は人間の精神活動の中でも基本的なものの一つであろうと思われます。例えば品詞の分類でいえば、形容詞と副詞というものはこの評価活動をあらわしたものだ、という事ができると思うのです。このように我々は何かに直面した時に、殆んど必ず評価を行います。「今日の

      • 「南インドの芸能について」

        2020年1月の松原5・6丁目自治会だよりに掲載したエッセイ 2019年の「ふれあい絆フェスタ」に出演させていただいたご縁で、投稿したものを転載します  9月の「ふれあい絆フェスタ」で、「プラクルティ」としてケーララ舞踊を披露しました。「ふれあい絆フェスタ」には一昨年に初めて参加して、今回は2度目になります。この踊りは南インドの西側にあるケーララ州に伝わる「ティルワーティラカリ」と呼ばれる民俗舞踊です。現地の暦のティルワーティラという日に、家庭生活の平穏と発展を祈りながら

        • 現代における伝統音楽の意義

          音楽教育研究という雑誌の中に父・入野義朗が寄稿した文を見つけたので、データ化してみた 音楽教育研究 No.40(1969年8月)p12-19 特集 日本の伝統音楽と教育 その1 伝統音楽と教育の接点 「現代における伝統音楽の意義」 入野義朗(桐朋学園大学教授)  伝統と現代とがどうかかわりあっているのか、またはどうかかわりあうのがよいのか、といった問題は古くて新しい問題である。特に芸術の世界においてわれわれはいつもこの問題とむかいあっているといってもよいほどである。

        創作オペラの可能性

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        • 作曲家・入野義朗の文章
          3本
        • 「ラーマーヤナサムクシェーパム」邦訳
          5本

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          インド古典劇クーリヤッタムの台本「ラーマーヤナサムクシェーパム」 5

          クーリヤッタムで使われるラーマーヤナ粗筋の台本の最後のパートです。 ハヌマーンがシータに会いに行く場面や、ラーマ勢とラーヴァナ勢の戦いの場面など、ドラマの多い部分ですが、簡潔に進行し、 最後はラーマが神の姿になるところまで語られています。 āgatayāyirikkunna Lankālakṣmiye tāḍiccụ Lankayuṭe akattu kaṭannụ deviye anveṣiccụ sañcariccụ kāṇāyika hetuvāyiṭṭụ duḥkh

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          varṣam nālumāsam kazhiññatinte śeṣam Sugrīvan anāgatanāvuka hetuvāyiṭṭụ Lakṣmaṇane niyogicca samayattinkal 雨が4ヶ月降り終わってから後に、スグリーヴァがやって来ないので、ラクシュマナを送り出した時に Lakṣmaṇan kopiccụ Kiṣkindhaye prāpiccụ cāpajyāghoṣatte ceytatinte śeṣam Sugrīvan jyān

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          インド古典劇クーリヤッタムの台本「ラーマーヤナサムクシェーパム」 3

          Rāvaṇan Sītayuṭe saundaryātiśayatte keṭṭǔ kāmaparavaśanāyi Mārīcāśramatte prāpiccǔ Mārīcāne ponmānākki niyogiccǔ tān maṛaññǔ MāyāRāmanāyi Sītayuṭe samīpatte prāpiccǔ ラーヴァナはシータの素晴らしい美しさを聞いて、恋と欲情に身をやつし、マーリーチャアシュラムを訪れて、マーリーチャを金の鹿にして送り出し、自分は姿を

          インド古典劇クーリヤッタムの台本「ラーマーヤナサムクシェーパム」 3

          インド古典劇クーリヤッタムの台本「ラーマーヤナサムクシェーパム」 2

          前回の、ラーマとラクシュマナ、シータがパンチャワディで幸せに暮らしていた時の話の続きです 訳の言葉遣いを少し訂正しました(2021/3/2) angụ Lankayinkal Rāvaṇabhaginiyāyirikkunna Sūrpaṇakha *bharttavǔ mariccatinte śeṣam Rāvaṇante niyogam hetuvāyittǔ KharaDūṣaṇaTriśirassukaḷoṭum patinnālāyiram rākṣasaro

          インド古典劇クーリヤッタムの台本「ラーマーヤナサムクシェーパム」 2

          インド古典劇クーリヤッタムの台本「ラーマーヤナサムクシェーパム」1

          インド古典劇クーリヤッタム(Kutiyattam/Koodiyattam)の俳優修行の要素の中で、ムドラ(ハンドジェスチャー)を学ぶ時に使われる台本が「ラーマーヤナサムクシェーパム(Rāmāyaṇasamkṣepam)」 現地の言葉であるマラヤーラム語(malayāḷam)で書かれている このノートではそれを日本語に訳して綴っていきます 元になっているテキストは "RĀMĀYAṆASAṀKṢEPAM an AṬṬAPRAKĀRAM(acting manual) for

          インド古典劇クーリヤッタムの台本「ラーマーヤナサムクシェーパム」1