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死ぬなバンドマン、死ぬなKANA-BOON


2023年は音楽シーンに悲しいニュースが多かったけど、今年最後まで辛いお知らせばかりだった。

KANA-BOONが2人同時脱退。

バンドを去ることになったのはドラムのこいちゃんとギターの古賀さん。ボーカルの鮪さんと2人は高校時代に結成以来15年の仲だった。
「俺らは4人でKANA-BOON。誰か一人でも欠けたらKANA-BOONじゃない」
「俺達は仲が良いと口にするのも面倒な関係」
本人たちからこう言い表されることもあって、メンバーの仲の良さもKANA-BOONの魅力の一つだった。
8年間応援してきた私は常にそれをひしひしと感じてきた。

そんな3人と昨年ベースとして加入したマーシー4人でのKANA-BOONの歴史が断たれたことは、ファンなら誰もが描いていた明るい未来が音を立てて崩れる絶望的展開だった。

それでもKANA-BOONというバンドはなくならなかった。唯一のオリジナルメンバーとなった鮪さんとマーシーで続けていくことになった。

「俺には、人生をかけてKANA-BOONを全うしたいという強い意志があるから、この道を選択することを最終的に自分自身で決断しました。」
「道半ばで終わりにはしません。」

鮪さんはTwitterで宣言した。きっと彼は鮪さんだけのソロプロジェクトになったとしてもKANA-BOONを残していくつもりなんだろう。初期からの2人が同時にいなくなったら解散を選んでもおかしくないのに、続けていく選択をしてくれたことは本当にありがたい。 



私は芸能人の私生活なんてどうでもいい。聖人君子なんて求めてない。自分が恋人から同じことをされたらどう感じるかは別として、仕事外の場ならお付き合いしてる人と色々あろうが、いいと思わせてくれる音楽を作ってくれれば良い。不祥事を起こしたとしても才能があるなら音楽を続けていいと思う。現にそんなアーティストはたくさんいる。
一度や二度の過ちで才能が潰されるのはもったいない。今回のことも事実だったとしても世間に向けて声明は出さなくていいし、ライブの場で何か説明があればそれで良いと思った。

だけどKANA-BOONは音楽性と人間性を切り離して考えるタイプのバンドではなかった。スキャンダラスなことが起きたら重く受け止める人たちだった。メンバーの不祥事も脱退も初めてじゃなかった。2回目だった。1回目でそれは分かっていたはずだったのに。
ツアー中にこいちゃんの報道が出てから数日は公式から声明はなく、ライブは強行突破するものだと思っていたけど前日の夜に見合わせを発表、3日後には報道がほぼ事実であることを認めこいちゃんは脱退となった。
さらに古賀さんが素行不良を自ら報告していたこと、解決に向けて面談をしていたこと、それでもKANA-BOONとして活動することは困難となり彼も脱退と発表された。

古賀さんのしたことを週刊誌で知っても、こいちゃんに関する続報が出ても、ギターとドラムが好きな気持ちは変わらなかった。
驚いたのは事実。
ただ結末はどうだろうと、一度は互いに愛し合っていた関係じゃないか。同意していない相手に無理やりする性犯罪とは違って。
ただこれを事務所と鮪さんが許さないと思ったなら、それは仕方のないこと。バンドがそういう決断をしたのなら、受け入れるしかない。
私はもう受け入れた。



そしてTwitterで繋がっているKANA-BOONファンからは様々な悲しみや怒りの声が聞こえてきた。

「1回目の不祥事から何を学んだの」
「時間返して」
「運営もライブできなくなるならもっと早く言って。前日の夜はない。ホテルのキャンセル効かない」
「KANA-BOONの音楽は辛くてしばらくは聴けない」

人それぞれ色んな意見があるけれど、
応援してきたからこそ裏切られたような気持ちになる、ファンを続ける気持ちが揺らいでしまう。そういう見方もある。

好きな音楽が同じ人と繋がる目的のアカウントを作って仲良くなった人たちが失望しているのをここ数週間ずっと見てきた。

だからこそ、こんなにも多くの人たちを悲しませる形で私生活のことがリークされたことにはやるせない気持ちになる。
そしてLINEの画面やプライベート写真が流出するというプライバシーも何も無い報道をされた古賀さんとこいちゃんが心配だ。

だって想像してみてほしい。
もし元恋人が別れて数年経ってから自分の顔が出ている2ショット写真や仲が良かった頃にハイテンションで話してるLINEのスクショ画面をいきなりインターネットにバラまいたらどう思いますか?恐ろしくないですか?
外に出ることすらできなくなりませんか?
それくらいのことを彼らはやられたんですよ。

恋人同士ならどんな言葉を使おうが自由じゃないか。他の人には同じように言うのはとても恥ずかしいし、そういうものだよね。

これは好きなバンドマンに限らず思うのだけど、不倫した芸能人が不倫相手とやり取りしていた携帯のメッセージとか手紙とか、プライベートなものを勝手に公開するのは誰も幸せにならない。子どもがいる人ならなおさら、親の見たくなかった一面を知ってしまうことになるのでは。
古賀さんは自分の行いを反省してマネージャーに相談し、このことが表に出てファンを悲しませないために、最後まで改善策は考えていたと思う。


そして、ファン以外がネット上で脱退する2人を罵倒する声があった。
今後鮪さんとマーシーでやっていくKANA-BOON自体をバカにするのはもちろんやめてほしい。

「有名人だからマイナスイメージなことが起きないように普段から気をつけるべき」
これは確かにそう。
だけど「有名人だから悪いことをしたらプライベートをどれだけ漁られても仕方がない」とは違う。

真剣に応援してきた人たちの苦情は受け止めるべき。
だけどKANA-BOONをよく知りもしない人が
自分が不快に思った人間はどれだけ叩いてもいいって口々に攻撃するの、本当にやめましょうね。

世間から叩かれた人が自殺したり、自殺に追い込まれそうな人たちがいる状況は何も変わっていない。
芸能人にも一般人と同じように公に見せられたくないものを晒され悪口を言われれば傷つく心がある。必要以上に深入りすることが誰かを闇に引っ張る可能性があることも、いい加減私たちは学ぶべきだ。

こんなことを書くと加害者である2人を庇いすぎとか、相手に泣き寝入りさせようとしてるのか言われそうだね。

実は私も5年前に当時の恋人に浮気をされ、
私と別れてその相手と付き合い始め、捨てられたことがある。
その年はほとんどの時間を憎み、悔しがりながら過ごしていた。

元恋人は他県に泊まり込みでボランティアをしていたのだけど、その最中の浮気だった。
(活動中にいかがわしいことはしていない)

私と知り合うきっかけとなった大学のボランティアサークルで役員をやっていたこともあり、その立場の人間がそんなことをしたのは許せなかった。
周囲に言いふらしてやろうと思ったことが全く無かったといえば嘘になる。

だけどそれはできなかった。

ボランティア活動は真面目にやっている人たちがほとんどだった。
これから活動方針に共感して入ってくれる人が沢山いるかもしれない。

その人たちにボランティア団体の闇をみせたくなかった。
浮気とは無関係な人たちに悪いイメージを持ってほしくなかった。

だから噂を流すのはやめて、浮気した本人だけにダメージが残る方法で仕返しをした。

人を傷つける恋愛は、傷つけられた側と同じくらいのことが返ってくる覚悟でやるべきとは思う。

だけどネットという手段を使って有名人の私生活を暴露し「○○は最低」と言い切るのは、
自分が傷ついた以上に不特定多数の人に大きなダメージを与えるのではないか。

仕返しの手段もやり方を間違えれば自分の首を絞めることになる。告発した女性2人もそれぞれに芸能活動をやっているけど、もし自分の正体がバレたら今後表立った活動はできなくなるだろう。

泣き寝入りしろとは言わない。
お金が必要なら今は恋人同士のことでも弁護士が介入して慰謝料請求してくれるので、そういう手段で内々に済ませれば良かったのではないか。
仕返しの鉄則は、関係ない人を巻き込まないこと。



今回のことでファンの人はかなりショックを受けたと思う。

以前のように音楽が聴けるようになったり、完全に心が戻るまでは時間がかかる。

知りたくなかった人の一面、
ネットの悪意ある言葉は確かに傷つく。
弱っているときは賞賛より批判の方がどうしても目立って聞こえしまう。

だけど味方がいることも忘れないでほしい。

マーシーが加入する前のベースが2019年に失踪して音信不通になり、3日後に無事だったことが発表された時、公式のツイートには10万を超えるいいねがついた。


ファンじゃなくても多くの人たちが彼の無事を願っていた事実が数字に出て、救われたのを覚えている。声に出さない味方は沢山いると実感した。

彼は音楽活動への不安やプレッシャーが原因で精神的にとても追い詰められていた。
その後脱退になった時は悲しかった。
けど音信不通だった最中に最悪の選択をしていたら、あるいは失踪しなかったとしても自らの感情に蓋をしたまま自分で人生を終わらせてしまったら、と思うとぞっとした。それくらいバンド活動が負担になっていたのなら、脱退は致し方なかったのだと今なら思う。
彼は今生きている。バンドをやめても、好きなサウナを仕事にして好きな人や猫に囲まれて新しい人生を歩んでいる。
生きるための選択をしてくれて本当によかった。
なのでsumikaの隼ちゃんが今年いなくなってしまった時は、一番起きてほしくないことが起きてしまって信じられなかったけど。

そして今回も沢山のバンドマンから鮪さんに応援の声が送られた。彼には仕事仲間にもたくさんの味方がいて嬉しかった。
私もKANA-BOONに関するツイートに他のバンドがきっかけで繋がった人たちからも温かい反応をもらえたことがありがたかった。

ファンの人たちに同じ考え方を押し付けるつもりはない。それぞれがそれぞれのペースで向き合って、いつか前を向けれたらと思う。

予定されていたライブはすべて白紙になった。
けど鮪さんとマーシーが2人での活動の準備には時間がかかるけど、必ず戻ってくるから待っていてほしいと前向きな言葉をかけてくれた。
またKANA-BOONとしてライブが再開したらネットを通じて仲良くなれた人たちに会えるのを楽しみにしている。その時はいやーほんと大変だったね!って笑い合えることを願っています。


最後に。

古賀さん、KANA-BOONのギターでいてくれてありがとう。
トップの画像は5年前に帯広で4人と撮影したチェキなのだけれど、一番最初に私に「ありがとう!」と言ってくれたのが古賀さんだった。
今回報じられたことがあなたの全てじゃないと思っている。私生活ではあれこれやっていたとしても音楽に対しては真摯だったあなたのギターが大好きです。じゃないとあの音は弾けないよ。

こいちゃん、ドラムでいてくれてありがとう。
北海道に来たとき牛乳4本飲んだって聞いて美味しく飲んでくれたことが本当に嬉しかった。
これからもよく食べてよく笑うあなたでいて下さい。

もう2人がKANA-BOONに戻ることはないけれど、生きている限りは何回でもやり直せる。
しばらく考えて、また音楽がやりたいと思ったら新しい事務所に所属してギター・ドラムやるのもいいし、
表に出ない仕事がいいと思ったら、それでもいい。

生きてさえいてくれたら、それ以上望むものは何もありません。


鮪さんもマーシーも古賀さんもこいちゃんも、
いつか笑える日が来ますように。




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