TonyKoba

大手情報機器メーカーにて約30年のグローバルビジネスを経験したのち退社し独立。現在はI…

TonyKoba

大手情報機器メーカーにて約30年のグローバルビジネスを経験したのち退社し独立。現在はIグローバル経営&キャリアコンサルタントとして活躍中です。思い出の地ベストスリーはイスタンブール、リオデジャネイロ、香港です。

最近の記事

Story: One Team! ~ グローバル経営は幻想じゃない ~ ⑩

僕は深呼吸をしてからアオシマに問い直した。 「チャラチャラ族ってどういうこと?」 アオシマは言いにくそうに僕にこう言い返してきた。 「トニコバさんは僕たちと違ってエリートですからね。製造現場からのたたき上げのカンノ社長とはかなり肌合いが違うということを前提に聞いてくださいね。」 「いやいや、アオシマ君、僕は実際にエリートじゃないし・・・」 「トニコバさんみたいな海外で長くやってらした方は僕たちとは醸し出すオーラが違うんですよ。」 「オーラ?」 「トニコバさんは、外国人の幹部社

    • Story: One Team! ~ グローバル経営は幻想じゃない ~ ⑨

      出社2週目となりなんとなく「本社での仕事が本格的に始まった」と感じる。「本格的に」と言うのは、部下である経営企画部のメンバーから次々と打ち合わせのアポが入り、あわせて決裁を求める書類が続々と寄せられてきたからである。 この部には課が4つある。と言うことは課長が4人だ。男性3人と女性1人。みんな賢そうな風貌をしている。出身大学の偏差値はみんな高い。年代から言えばバブル後の就職難の世代なので世間的な評価の高い大学を出ている。しかしクロッカス電機は学閥のない会社で、僕も普段誰がどこ

      • Story: One Team! ~ グローバル経営は幻想じゃない ~ ⑧

        【第1章 仕事始め】 海外駐在を終えての帰国後の日常生活の立ち上げは面倒くさいことが山積みだ。 連日役所や学校などの色々な手続きや引っ越しの手配や挨拶回りなどでパニクっている奥さんをしり目に、僕自身は仕事に関してはなんとか片付けも終わり、はやる気持ちを抑えながら新たなポジションでの業務を僕は始めた。 なんとなく居心地の悪さを感じながら・・・。 日本の本社のオフィスって、とても静かだ。アメリカのオフィスの喧騒が懐かしく感じた。つい昨日のことなのになんかずっと昔の出来事かのように

        • Story: One Team! ~ グローバル経営は幻想じゃない ~ ⑦

          クリシマ先輩はかなり酩酊に近い状態になってきた。でも、言葉はしっかりとしていて、その魂の叫びみたいな想いはしっかりと伝わってきた。 「しだいに、社内の雰囲気は暗くなってきた。 『このままじゃおかしい』ってことを言うことがみんなできなくなってきたんだ。みんな、慎重に構えて、当たり障りのない言動でもって、減点を避ける、そんな集団になってしまっていった。 問題意識をもって組織職の責任者に何かを働きかけるだろう、その時のリアクションは決まって『今の何が悪いんだ!?』 というものだった

        Story: One Team! ~ グローバル経営は幻想じゃない ~ ⑩

        • Story: One Team! ~ グローバル経営は幻想じゃない ~ ⑨

        • Story: One Team! ~ グローバル経営は幻想じゃない ~ ⑧

        • Story: One Team! ~ グローバル経営は幻想じゃない ~ ⑦

          Story: One Team! ~ グローバル経営は幻想じゃない ~ ⑥

          「イエスマンっていうのは、自分たちの都合の良い話を『こうしなければいけない』とか『こうでなくてはならない』というようなあるべき姿をすました顔でスマートに話すんだ。役員会議でもそういった連中がよく御託を並べてたよ。 役員の連中て、ほとんどが開発、製造、品質、管理の出身者だろう?クロッカス電機の事業のバリューチェーンの中で販売と顧客サポートの機能を代表する役員がほとんどいない。。。 なので、特に口のうまいマーケティングの連中はそういう役員たちに重宝されるんだ。『希代のMarket

          Story: One Team! ~ グローバル経営は幻想じゃない ~ ⑥

          Story: One Team! ~ グローバル経営は幻想じゃない ~ ⑤

          「 トニコバは日本の本社はいつもろくな戦略しか出してこなかった!って思っているよね。確かにそうかもしれないなぁ。それはなんでだと思う?それはね、本社に情報が少ないからなんだ。」 僕はその言葉に反応した。 「そんなことないでしょ!? ぼくら現場の人間はどれだけの報告書を要求されて出してきたと思っているんですか?それにこちらの都合を顧みずに頻繁にテレビ会議に呼び出されて現状報告だのビジネスレビューなどやらされましたよ。」 「そうやな。でもね、そんなことでは本社は現場の立ち位置とい

          Story: One Team! ~ グローバル経営は幻想じゃない ~ ⑤

          Story: One Team! ~ グローバル経営は幻想じゃない ~ ④

          僕は紹興酒の勢いもあったのか柄にもなく熱く語り始めた。 「ローカルの人材に対する目利きというのは確かに苦労しましたよ。なかなか彼らの能力を見極めると言うことは難しいです。 でもね、僕は一緒に働いた仲間たちはみんなそれなりに優秀だったし、何よりも日本人に対して尊敬の気持ちを持っていましたよ。 市場が伸びていたからだって先輩は言いますけど、僕にも市場の伸び以上に事業を拡大してきたっていう自負があります。 それも日本人と現地人が一体になって会社を盛り上げていたからですよ。 ぼくたち

          Story: One Team! ~ グローバル経営は幻想じゃない ~ ④

          Story: One Team! ~ グローバル経営は幻想じゃない ~ ③

          「あのさ、今までこの20年かな、海外の事業がぐんぐん成長し、それがクロッカス電機の成長を支えててきたのは認めるよ。でもさ、実際は市場が伸びていたという理由が大きい。日本の企業は大体どこもそうだけど、80年代、90年代半ばまではそういう時代だった。どのライバル企業も海外の代理店を買収し、現地のメーカーを買収し、どんどん海外事業を伸ばしていった。その海外事業比率が高まり、どこの企業も海外拠点においては、日本人主体の経営から現地人の幹部社員や現地のトップを据えて日本人幹部社員とのハ

          Story: One Team! ~ グローバル経営は幻想じゃない ~ ③

          Story: One Team! ~ グローバル経営は幻想じゃない ~ ②

          長年日本を離れていたせいで本社でのお作法という面では浦島太郎状態であるのは確かだが、そういうことにあまりくよくよしたり頓着しないのもアメリカ生活の経験からくるものだろう。 ところで、日本本社での新しいポジションでの仕事。 先ずは良く現状を表と裏ともに分かっている人からいろいろなことを聞くべきだろう考えた。と言うのは、前任者からの引継ぎがったのだが、と言っても通り一遍な説明だけで全社の舵取りをしている部署にも関わらず全社の今の課題に対する見立ても緩くてホントに今まで真面目に仕事

          Story: One Team! ~ グローバル経営は幻想じゃない ~ ②

          Story: One Team! ~ グローバル経営は幻想じゃない ~

          【トニコバのプロローグ】 振り返るともう5年も前になる。その時、僕は10年のアメリカ勤務を終えて家族とともに日本に帰国した。僕はちょうど47回目の誕生日を迎えた直後のことだった。 この5年間は僕にとって大きな試練を経験した時期ともいえるし、人生を豊かにしてくれるための転機となった時期と言えるかもしれない。 この5年間を振り返る物語を今から語ろうと思う。 僕の勤めているクロッカス電機は情報機器産業メーカーで日本では名の通ったグローバルメーカーである。 売上規模で言うと日本の

          Story: One Team! ~ グローバル経営は幻想じゃない ~