見出し画像

5月18日 最近のゲーム話。ファミコン『MOTHER』と『サーモンラン』

MOTHERの話題

 そういえば、バーチャルコンソールに『MOTHER』が配信されているんだった!

 ということで、唐突に『MOTHER』をプレイ。私が『MOTHER』を遊んだのは、ゲームボーイアドバンス以来。ストーリーも攻略法も何もかも忘れている。ほとんど初心者のような新鮮な感覚でプレイすることができた。

何気ないワンシーン。ここでも「母と子」というテーマが意識されている。

 『MOTHER』はRPGの中でも異色作。当時はRPGといえば舞台はファンタジーだったが、現代に近い時代のアメリカが舞台。ファミコン時代にも関わらず、街とフィールドの境目がシームレス。敵によって戦闘BGMが変わったりなど、後でよくよく確かめると、業界のトレンドを先取りしている要素が多い。風合いが柔らかいが、実は前衛的なところのある作品だった。

――ここからネタバレ!――


 改めて触れてみると、見えてくるのが作品のテーマ。ファミコンは表現能力に限界がありまくりなので、舌足らずになりがちだけど、今ならわかるという要素があちこちに。

 例えば「マジカント」にいるこの謎の男。ネタバレから入ると、マジカントは女王が作り出した幻の世界。そんな世界の出口に立っている「忘れられた男」。この男も女王の幻影の一部であるわけだが、ではこの男は女王のどんな部分が反映されているのだろうか。

 プロローグでこんなふうに語られている。
 1900年代の初め……主人公のひいお爺ちゃんであるジョージとマリアが行方不明になった。しばらくしてジョージは帰ってきたが、マリアはとうとう戻ってこなかった。ジョージはそれ以来、何かの研究に没頭するようになった。
 ひいお爺ちゃんが没頭していた研究、というのは超能力。その影響なのか、それともジョージお爺ちゃんが子供たちに“何か”をしたのか、主人公は異変を切っ掛けに超能力に目覚める。

 そのひいお爺ちゃんの残した日記にはこのように書かれている。
「愛の言葉……神の尻尾はどこにある。天かける舟の忘れ物」
 「愛の言葉」とはこれから各地を巡って憶えていくとある「歌」のこと。「天かける舟の忘れ物」はUFOが残していったもののこと。
 ジョージとマリアは一度、宇宙人に連れ去られたが、その後帰還した。行方不明になっていた期間、ジョージとマリアは宇宙人の子供を育てていたが、何かしらがあって別れることになった。
 その宇宙人の子供が、ラスボス・ギーグである。
 「神の尻尾」はだいぶ後になって、マリアの口からギーグについて「ああ……ギーグ……本当の子供のようにかわいがったのに。尻尾を振っていた、赤ちゃんだった……。子守歌を……でも……」と語られる。ということは、「愛の言葉=子守歌」「神の尻尾=ギーク」
 「天かける舟」がUFOのことであるから、やはりそこの忘れ物というとギーグということになる。帰還したジョージは、ずっとギーグのことを気にかけていて、研究に没頭していたのだった。
 またギーグの台詞の中に「私たちの星から大切な情報を盗み出して、私たちに刃向かおうとした……ジョージ」とある。主人公に宿った超能力は、もとは宇宙人のものだったかも知れない。

 この辺りから、マジカントの出口にいた男が何者だったか見えてくる。
 マジカント自体がマリアの精神世界で、そのマリアが忘れかけているけれど、どうしても忘れたくない男。しかしその男は、マリアの世界から、先んじて去ってしまった。そんな男は誰なのか……?
 それはジョージだろう。
 ジョージはマジカントの出口、つまりマリアの精神世界の出口に立っていて、ずっと躊躇っている。しかし孫である主人公に声をかけられたことで、意を決してそこを去って行く。
 ジョージが躊躇っていたのは、そこを立ち去ってしまうと、マリアは永久に自分のことを忘れてしまう。忘れて欲しくない。でも行かなければならない……。その葛藤を抱えていて、躊躇っていたのだろう。
 この辺りの事情が見えてくると、男の言葉から哀愁が立ちこめてくる。

 マリアの精神世界であるマジカントは、おそらくは時間を超越した空間だ。もうとっくに死んでこの世を去っているはずのジョージがこの場所にいる。竜宮城のように時間の静止した場所だったのだろう(マリアも本来、この世を去っているはず。20世紀初め頃の人だもの)。だからジョージお爺ちゃんが、まだその出口で躊躇って立っていた。

 ラスボス・ギーグは「母親に捨てられた」と思っていた。それで地球に逆襲しようとしていた。ギーグとマリアの間にどんな事件があったのか、今となっては知りようもないけれど……。
 なにか大きなすれ違いがあったのだろう……。

マジカント攻略地図

 ところで、マジカントのマップは、俯瞰して見ると「女性器」の形になっているとか……。いや、そんなまさか……と思って攻略サイトの地図を見ると……本当だ! 女性器の形になっている!
 それじゃあの井戸は「産道」で、そこをずーっと奥へ奥へ行けば現実世界に戻る……というシチュエーションは、「生まれ直す」という意味か……。

 そう考えるとすごいテーマが描かれていたんだな……。

 ここまで見てくるとタイトル『MOTHER』の意味が見えてくる。主人公達を産んだグランドマザーの存在。それはまた、ラスボス・ギーグの母親でもあり……。母親と子供という関係性の物語だった。
 一方で、父親は物語中にほとんど登場しない。主人公の父親も、登場するのは電話の向こうだけ。
 どうして父親が登場してこないかというと、このゲーム世界そのものが母親の精神的胎内の世界だから(なにしろ何度も女性器を模しているマジカントの世界に行ったり来たりを繰り返すわけだから)。だから父親が干渉してくるのは、電話の向こう、声だけとなる。

 ゲーム後半に、「イブ」という名前のロボットが登場する。でも「アダム」は登場しない。ここでも直接手助けするのは母親のほう。なぜイブだったのか……というと、マリアを映したものだったから。ギーグにとって、UFOの中は楽園で、マリアとジョージがイブとアダムだったわけだ。そのロボット・イブの中に、マリアの意識が息づいていたのだが……もしかするとこれがマリアが精神世界に囚われていた理由だったかも知れない。
(イブを作ったのはたぶんギーグ。母親との別れが受け入れられなかったのだろう)
 マリアがイブの中でずっと生きていたから、マリアはマジカントという精神世界を作り上げた。物語の展開を見ると、ロボットのマリアが壊れてしまった直後、マジカントの世界は崩壊してしまうわけだし……。

 そしてマジカントの世界が消失し、マリアがこの世を去り、「歌」だけが残される。マリアの愛が託された歌。それを最終的にギーグに託す……というのが本作のクライマックスになっている。
 そのギーグの世界をよくよく見ると、大きな水晶の中に入ったまま……つまり子宮の中、という姿で描かれている。母親からの愛を受けて、子宮世界からの自立を描いた作品だったのか……。
 ファミコンは表現力が低いから、抽象化した表現をあちこちに配置し、その全体像で物語を構築する。なんて凄い構想のゲームだったんだ……。

 ただ、今の時代に改めてやってみると、フィールドがやたらと広いこと! 自分が進もうとしている先が見えてこないので、不安になってくる。不安に耐えられず、思わずネットでマップを探して見ちゃったよ。ダンジョンとかも複雑で、しかもエンカウント率がやたらと高い。ゲームボーイアドバンスの頃は、よくこんなの攻略法なしで解いたな……、私。

 ゲーム後半は意外と難易度が高い。敵の打撃力が容赦がない。それで最後の戦いの前に、レベル40台まで上げた。
 といっても、本当はレベル30もあればクリアできちゃうんだとか……。ストーリーのボリュームが、レベル30辺りで終わっちゃうんだよね。じゃあ、なんでレベル99まで上げられる仕様にしたんだか。
 最近のRPG、例えば『ドラクエ11』なんかは、裏ボスまで進めると、レベル上げなんてほとんどやらなくてもレベル90台まで行っちゃうから……。そう考えると最近のゲームはボリューム面でも凄いんだな。

 クライマックスはやはりあのメロディ。改めて聞くと……名曲だなぁ……。最後の場面で、静かにすっと心に流れてくる。ファミコンは音色が3音しか使えないわけだけど、その3音でここまで聞かせられる曲は、絶対に名曲。
 ただし、エンディング、プレイヤー名が「NO NAME」になっていた。あれ? 名前入力するシーン、飛ばしちゃってた?

Splatoonの話題

 さて、Switchの画像データを吸い出したので、こっちの話題も。

 『Splatoon2』お金カンスト達成!
 あー、ついにやることなくなったわ。

 もう一つ、サーモンランも先日のゴールデンウィーク中の「クマフェス」の時に、スコアカンストまで進める。おそらく最後の機会だろうからね。サーモンランはずっとやっていたけれど、意外とカンストまで進めたのは初めてだった。

 最近は「スペシャル増加量アップ」を付けて試合に出ている。どういうわけかわからないけど、これを付けて試合に出ると勝率がやたらと上がる気がする。
 でも私、試合中そんなにスペシャルも使ってないんだよな……。勝てているような気がしているだけかな……?

 一杯たまったギアのかけら。
 でも、ほとんどのギアはもう揃ってるんだ。アタマもフクもクツもほとんどすべてのギアが揃っている状態。サーモンランずーっとやってて、ギアのかけらも一杯集まったけど、使う場所がない。
 もう『Splatoon2』でやることが何もない状態になってしまった。

 これで『Splatoon2』でやり残したことはもう何もないはず。心置きなく、『~3』に進める。発売日に買えるかどうか、まだよくわからないんだけど。それまでに漫画の仕事が見つかるかどうかだね……。


この記事が参加している募集

#心に残ったゲーム

4,868件

とらつぐみのnoteはすべて無料で公開しています。 しかし活動を続けていくためには皆様の支援が必要です。どうか支援をお願いします。