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レコーディング日記⑯きっかけ1つで大事な時は思い出せる

なんだかノスタルジックなタイトルになりました。
そういえばノスタルジックな曲は、夕暮れ時に聞きたくなります。

過去の作品

ふとしたきっかけで、自分が過去に手掛けた作品名を見つけました。

かなり古い情報にも関わらず、当時レコーディングしたバンド達の名前がそこにあり、なんだかとても懐かしく感じます。

バンドメンバーも自分自身も20代前半。
情熱をぶつけながら、深夜どころか早朝まで掛かって作品作りをしていました。
そして自分自身は”プロ”として、絶対的に”頼られる存在”で在り続けようとしていたと思います。
「わからない」「できない」は禁句。例え自分の中ではパニックになりかけたとしても、表情に出せばプロ失格です。
何故なら「また又森さんにお願いしたい」となるかどうかで、自分の名前が売れていく世界だからです。
「誰かに頼ろう」「謝って許してもらおう」はあり得ない。
なぜなら発売日も、それに合わせたライブも全て決まっているからです。
作業の遅れは、その全てに影響するという事も分かっている為、
絶対的に作業を完遂させる必要があるのです。

教えて頂ける事は幸福な環境

転職してから何度も「上司や環境へ不満がある」という相談を頂きました。人間関係は時に複雑で、本人にとってはキツい事や状況があるものです。

しかし、こと仕事のやり方や捉え方、価値観については少し違ってきます。
普通、仕事は「教えてもらえない」のです。

専門学校に入学して最初のGW。
実家には帰らず、5日間あるGWの内の5日間、全て学校の実習に参加しました。

実習は自由参加で、都内のプリンスホテルで開かれるディナーショーに
音響スタッフとして参加するというモノでした。
朝6:30、ホテル裏手のスタッフ入口に集合。
直ぐに全スタッフに、当日のスケジュールと配線が伝達されました。
機材リストと配線図も配られました。

そして、、、作業スタート。

そう、何も教えてもらえなかったのです。
配線図の見方も、機材の見分け方、マイクの型番も何も分かりません。
ただ自分の担当する場所だけ指示を受け、後は配線図通りに2時間以内に仕上げるという内容でした。

当然、配線や用意するマイクの種類がわからず、同じ場所を担当している先輩スタッフに聞きながらやるしかありません。
機材の型番がどこに書かれているのか、機材リストのどこを見れば良いのか。
それだけでなく、機材の持ち方や扱い方も間違っていれば、当然激が飛びます。
学生スタッフよりも、数十万円以上する機材の方が大事だからです。
「言われてない」「教わっていない」なんてのは、現場では通用しないという事を、この実習を通じて学びました。
そして配線等が出来上がっても褒められるなんて事はありません。
「できて当然」だからです。
何よりホテル側(クライアント側)からすれば、自分が学生だとか、実習初日だとかは一切関係がないからです。

5日目にもなるとさすがに流れも掴め、良く使う機材はわかる様になっていました。
かなりキツかったですが、やり抜いて本当に良かったと思います。

思えばあれが、専門学校での最初の成功体験となり、その後の2年間の頑張りを支えた実習だったと感じます。

「仕事は教えてもらえない。見て盗んで学びとる」

これはスタジオで働く様になった後も、転職して会社員をする様になってからも、自分を支え成長させてくれる力となりました。

どんな状況であっても前進できる自分になる

やり方を教えてもらえたり、マニュアルがあるという事は、
仕事を進める上で凄くありがたい事です。
しかしマニュアルに頼り切っていると、自分の環境が変わったり、マニュアルに載っていない事が起きたり、必要とされているモノがなかったりした途端、結果が出せなくなってしまいます。

それに対し自分が体得した力であればどうでしょう。
状況が変わっても何か過不足があったとしても、
「得たい結果」を明確にし創意工夫で対応する事ができる様になります。
私自身も「少なくともこれがあれば、現場で何とかなる」という道具であったり、情報だったりを準備してから現場に向かいます。

「言われてやる」のではなく「自分で掴み取る」

その姿勢こそが、どんな状況になっても変化が起きても、対応可能な力になるのです。

常に考え先を読んで行動を起こす。
自分自身も、この姿勢を保ち続けより対応力を磨いていきたいと思います。

ではでは☆

※前回の記事でこの対応力について書いていますので、ご覧頂けると幸いです。


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