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2017年4月の記事一覧
『イルカ』よしもとばなな/文春文庫
「五郎にはひとりで生きてきた人の静かな凄みがあった」
32Pの文章。まだ読了してない。
でも、わたしが通っている、某大学の夜学には、この文章にぴたりと、あるいは、3分の1以上はあてはまるひとが、大勢生きているように思う。
『沼地のある森を抜けて』梨木香歩/新潮文庫
『沼地のある森を抜けて』を読んだ。端的に言えば「人がひとりからひとりを生み出していた時代があったかもしれない」はなし。
もしも私がある日から二人に増えてしまったら、どうするだろう。聞いたことがある。二人目の自分に対する感情は、そっくりそのまま今の自分への評価なのだと。
私は、「ふたりもいらないなぁ」と思う。もう一人の私も「ふたりはいらないなぁ」と思っている。だから私はもう一人の私を、ぜんぜん私
『キッチン』吉本ばなな/新潮社文庫
吉本ばななの『キッチン』では、主人公は台所に安寧を見いだしている。
「キッチンで死にたい。それは安心で、すこし前向きになる」
私はこの一文にとても、とても感動したから、ばななの真似っこをしようと思った。けれどできなかった。私の安いおんぼろアパートのキッチンは布団が引けないほど狭いし、何より、玄関を開けるとすぐそばにキッチンがあるせいで、とてもじゃないけど寒くて眠れない。
友達の前では「すぱっ