【気まぐれエッセイ】One and only

唯一無二の存在。
誰だって、生まれたときからそうだけど、捉えようによっては、そんな人は存在しないと思うのだ。だってどんなに偉大な発明をした人にも後を受け継ぐ優秀な弟子がいて、どんなに人気の芸能人にも、後釜はちゃんといるでしょ。


自分にしか出せないアイディアや自分にしかできないやり方などを模索することに、意味がないって言っているわけじゃないよ。


その瞬間、一部の場所だけででもそれが新しければ、きっと自分は唯一無二の存在だと自負できるだろうし、周りからも、そう評価されるだろう。でも長い歴史と広い世界を対象にすればきっと、やっぱり"似たモノ"や"似た人"は存在するんだと思う。


それでもあなたは、私は、Mr.ステーブ・ジョブズの目を借りて物を見ることはできないし、Ms.アンジェリーナ・ジョリーの口で会話を楽しむことも出来ない。食べ物の美味しさも、人の温もりも、喜びも、怒りも、哀しみも、楽しみも、自分という感覚器官を通してしか、感じることはできないんだよね。


世界の中で、どれほどありふれた存在だったとしても、私に「生きている」と感じさせてくれるのは私しかいない。例え誰かが素敵な贈り物をくれても、受け取るのは私。私がいなくてははじまらない。唯一無二って、そういうことなのだ。誰かにとって代わりがいないって話じゃない。


私にとって、私しかいないのだ。


この文章だって、きっと似た内容を、とっくの昔にどこかの誰かが記しているのだろう。だから読む人にとっては前にも聞いたことがあるような、ありふれたものかもしれない。でも、他者にとってどうであろうと、この意識は、紛れもなく私だけのものなんだよね。


時々自分に飽き飽きして、あの人みたいに素敵になれたら、なんて思うけど、どうあがこうと、私は私という感覚器官を通してしか生を味わうことが出来ない。それならもっと、うんと大事にしてやろうじゃない、なんて思うのだ。


幸せな時間で人生を埋め尽くしたい私にとって書くことは、不幸を無駄にしない手段の1つ。サポートしていただいたお金は、人に聞かせるほどでもない平凡で幸せなひと時を色付けするために使わせていただきます。そしてあなたのそんなひと時の一部に私の文章を使ってもらえたら、とっても嬉しいです。