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夏シリーズ

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夏の詩や小説
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小説:坂の途中

小説:坂の途中

 初めに宅間さんが立ち止まったのは、改札を抜け、階段を下りてすぐだった。
目を細め、なにかを確認するように、雲の切れ間に覗く太陽を見上げていた。
 私の方はというと、太陽を見上げる宅間さんを見上げていた。
「行こうか」とふいに宅間さんが言って、私は「はい」とうなずいた。
歩きだしてからも、私には紡ぐべき言葉がなかった。というか、言葉を探す努力をしていなかった。私たちの周りにあるのは、平

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あの夏の魔物

あの夏の魔物

 冬。
 違う、雪だ。
 そして、夏だった。
 二度と間違えるなよ。

 魔物は穴蔵に一人で暮らしてる。
 穴蔵の周りには、園児がクレヨンで描いたふざけた青空と渦巻きの太陽とぐちゃぐちゃのひまわり畑が、

「なんだ、じゃあその魔物って、ただの絵の中の話ってこと?」
「そういうこと言ってるやつが、真っ先にやられるんだよ。お前はもう終わった」
「はは」と笑った三時間後に、自分の部屋で壁に磔にされていた

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見つけて(八月の詩)

そぞろにぶらつく枝切れが
路傍の石ころ転がして
伸ばした小さな手を止めた
近づかないでと声がした

気のせいだ

朝食の鐘の音を残し
門をくぐってひた走る
背を向けることは初めてで
だからその日を覚えてる

それだけだ

後悔したのはそうじゃなく
ミルクだけでも飲んでれば、
だって力が入らない
苦しませたくなかったのに

君は消えた、君は消えた
傾いだ日の瞳のなか
君は消えた、君は消えた
口を開け

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