市毛陽子

蝶活動してます。猫好き。文章はフィクションです。目次(小説) https://note…

市毛陽子

蝶活動してます。猫好き。文章はフィクションです。目次(小説) https://note.com/treetree_tree/n/nd604d7d947ab目次(短編) https://note.com/treetree_tree/n/n71002b3be1d8

最近の記事

近日中に出版します。一部を紹介します。

Chapter 22: The Grand Chrysanthemum Ryoko hurried on her way home. The season had transitioned from summer to fall, and the days had grown shorter. Wanting to pass the gravesite on her way home before it got dark, she hastened towards her

    • アファメーションを半年続けて起こった事(1)

      あなたは、もうすぐ自分が死ぬのではと思った時に最後に何をしたいですか? 私は今、南フランスの田舎の村に住み始めて3週間が経ちました。周囲は葡萄畑に囲まれた長閑な村に住んでいます。周囲にはワイナリーや中世の古城が点在し、毎週ハイキングや登山を楽しんでいます。 そんな私も、1ヶ月前は、三重県の会社で働く普通の労働者でしたが、すでに少し遠い日々のように感じています。ほんのつい先日まで、毎日とても忙しい日々を送っていましたが、こちらの人々は、のんびりと過ごしています。まだ引っ越し

      • Save My Sky 3

        Jhon's Advice Panting, Ryoko quietly opened the front door which wasn't locked. It was almost pitch dark inside. Peeking into the living room, Ryoko saw my sister, who's two years younger than me and in the first grade, napping on two cush

        • Save My Sky 2

          The Way Home The trees rustled softly, like a gentle breeze. But the rustling grew louder, the trees creaking and leaves brushing against each other. Ryoko felt like she was lying on a grassy patch. When she managed to open her heavy eyes

        近日中に出版します。一部を紹介します。

          Save my sky 1

          "On the Way Home" As I walked home, my arms swayed like the branches of a weeping cherry tree, and for a brief moment, I saw crushed lotus flowers underfoot as if someone had stepped on them. It was just a fleeting glimpse, but in that mom

          法人営業 (同人誌「流星」2023年5月掲載予定)

          私はとある店舗の前で、アポイントの時刻になるのを待っていた。あと5分で約束の時間になる。まだ10分しか待っていなかったが身体の震えが止まらなかった。一月の最終週の中日、数日前に降った雪がまだ所々に解けずに残っていた。丈の長いコートもマフラーもカイロも無意味に感じた。 約束の時間になり、訪問予定の店舗のドアへ近づいた。ドアに鍵が掛かっていた。営業時間内のはずなのに。半分閉まったカーテンの隙間から覗き込んだ店内に人の気配は無かった。そして、何とも言えない不自然さがあった。汚れが

          法人営業 (同人誌「流星」2023年5月掲載予定)

          俳句会 11月

          ①木犀に 腹膨らみぬ 大蟷螂 ②持つ人の 手に乗ってみる 猫じゃらし ③酢の香立つ 菊の紫(し)ぱっと カラフルに ④糸芒 光の線の 撫でる宙(そら) ⑤鶏頭の 花先くるり 手いたずら 帰り花 小春の関連語句 11月に咲く桜など。 根深 大楠公 色鳥 出雲の朱糸 木守柿 寒復習(かんざらい) 秋の声

          俳句会 11月

          拝啓 李春雲 様

          すっかり秋も深まってきました。いかがお過ごしでしょうか。 紫禁城からはたまに出られていますか。 中秋節は西太后様へお支えしていたのですか。 いつもお疲れ様です。 いつもは無音でお話ししていますが、今日はお手紙にしました。 いつもあなたは伏魔殿のような紫禁城の中でも、誰に対しても分け隔てなく優しく接してています。ほんの少し踏み外したら奈落へ落ちてしまうような危うい細い道を、ニコニコしながらスキップしているように見えたりします。そんなあなたを思ってる時は、宝物って何かなと思っ

          拝啓 李春雲 様

          非合理な特殊解 23

          エマがいなくなった週の土曜日の夜10時、夏子はローラのお部屋のドアを叩いた。 「誰?」 「私。夏子。」 髪を黒く染め、黒いリップを塗り、とても硬そうな太い首輪をしたローラがドアから首を出した。 「は?何なのその格好。」 ローラは急に怒り出した。 「何?ドレスコードあるとこ行くの?ドレス全部処分しちゃったよ。」 「特にあるわけじゃ無いけど。とりあえず、ちょっと部屋入って。私の着よ。」 「ローラの?」 「うん。」 見せられた服はどれも着たことがないようなゴスロリなのか、何なのか

          非合理な特殊解 23

          非合理な特殊解 22

          夏子は大きなリュックを背負い、大きなキャリーケースを引き上げた。その瞬間山手線のドアが閉まった。ものの数十分の電車移動、あっけない引越しだった。 エマの家を出る瞬間を思い起こした。玄関のドアが閉まる瞬間のエマを思い出した。もっと悲しくなると思っていた。でも実際は、そんな事は無かった。あっけなかった。 目白駅から徒歩数分のところにある引越し先の白いシェアハウスのビルへ着くと、自分の部屋番号の302の番号が書かれた下駄箱へ靴を収納し、すれ違う人に挨拶をしながら自分の部屋に向か

          非合理な特殊解 22

          文章の寺子屋の宿題 課題「違和感」(お直し前)

          「ミセスは振袖着ませんね。振袖はいわゆる、異性へのアピールですから、ミセスが着てはおかしいわけです。」 数日前の着付けの教室日のこと。半年くらい前に、急に昔に出会った人の言葉を思い出して、なんとなく始めてみた着物の着付けだった。 「あなた着物似合うわよ。機会があったら着てみなさい。」その人は気難しい老女だった。 着付けを始めた当初は何も分からず、新鮮に思えた。月に2回、半年も習うと、割りと着物が着れるようになってきた。あと勉強すべきは着物の格や柄、色などかと思った。でもそうで

          文章の寺子屋の宿題 課題「違和感」(お直し前)

          非合理な特殊解24(完)

          エマや西田が居なくなって2ヶ月が経とうとしていたある週末。夏子は朝から張り切って祭りの身支度を整えた。そして目白のシェアハウスを出ると、日本橋へ向かった。 先週末、夏子は神輿を組み立てたり神輿が練り歩く路地に、藁の結界を張ったりと、街の人たちと神田祭りの準備をした。塚越の言う通り、引っ越してもみんな前と変わらずに接してくれた。 祭り支度をして一人地下鉄に乗った。あの時、塚越と電車の中で会えなったら、きっと今日、神田祭へは行けていなかっただろうなと夏子は思った。 曇り空の下

          非合理な特殊解24(完)

          かの日の熊野神社礼大祭

          2008年9月のとある休日の朝、私はシャワーを急いで浴びると、股引をはき、半纏に着替え、足袋を履き、外へ出た。マンションの前の、一日中日陰になりがちな通りを歩く自分の草履の足音がいつもより心地良く感じられた。少し前に同じ半纏の背中が見えた。私は早足になった。 「源さん、おはようございます。」 「陽子おはよう。」 「今日宜しくお願いします。熊野神社の祭礼はまだ参加したことがありません。初めてなんです。」 「大丈夫だよ。ウチらは西新宿の町会の人達の神輿を担ぐけど、その町会には塚越

          かの日の熊野神社礼大祭

          非合理な特殊解 21

          エマとの平穏な日々はあっという間に過ぎ去った。 夏子のシェアハウスへの引っ越しの日が近付くにつれ、物が徐々に減り、夏子は何も持っていない人になった。 夏子の全所有物は1つのキャリーケースと鞄に入るくらいの荷物のみになっていた。エマの家を出る日の前日になっても、まだ信じられなかった。 いつものように散歩をして、スーパーで美味しそうな食材を買い、料理して食べて、少しリビングでゴロゴロとした後、お風呂に入った。 今日でこれもうお終いだなんて信じられなかった。 「エマ、何度も聞い

          非合理な特殊解 21

          俳句会10月

          ①寒露 二十四節気のひとつ(十月八日頃)。白露が露のはじまりであるのに対し、霜降(二十四節気のひとつ、)を控えた寒さに、露が凍った状態。かつて、霜は露が凍ったものと考えられていた。 糠床に塩を混ぜたる寒露かな ② そぞろ寒 冷やかよりやや強く感ずる寒さ。「そぞろ」は「何となく」「わけもなく」の意味があり、体で感じる寒さというより、季節が移ろっていくさまを心に受け止め感ずる寒さ。 そぞろ寒 カマキリの腹 ふくらみぬ ③秋の虹 秋に立つ虹のこと。夏の虹ははっきりと大空にそ

          俳句会10月

          非合理な特殊解9

          昨日のクリスマスも、いつものように昼は会社へ行き、夜は銀座のお店へ出勤した。 お店ではお客様の席へ着かせてもらうことは無くなった。待合の席に一人佇む日がもう1週間ほど続いていた。弥生のお客の山本から、退店や引退が近くなるとこうなると予め教えてもらっていなかったら、きっと落ち込んでいただろうと律は思った。 この1ヶ月、律はお世話になった方々へお礼をして回った。律のお客様へはほぼ終えたが、宮本からは返信が無かった。ルールでは宮本からメールがあった日に一度だけ返信することになって

          非合理な特殊解9