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【日本史7】鎌倉史備忘録30

鎌倉時代の学習を深めていきます。

本日の学習は、

①鎌倉時代の文学は傑作が多い。

軍記物には保元・平治の乱を描いた『保元物語』『平治物語』、承久の乱を描いた『承久記』などがある。

②平氏の盛衰を描いた『平家物語』が有名である。

仏教思想の影響を受けており「諸行無常」「盛者必衰」の価値観が描かれて琵琶法師たちが歌い語る平曲により文字が読めない層にも普及した。

③軍記物語は脚色が多いため必ずしも史実通りに
表現されているとは云えない部分がある。

④仏教思想や出家よって俗世から離れた隠者文学がある。
武士の家に生まれた西行は妻子を捨て出家し放浪した末に
和歌集『山家集』をまとめた。

⑤神社の家系に生まれた鴨長明の『方丈記』は出家後に庵に住み当時の社会の移り変わりを観察し世の無常を嘆いた。

⑥卜部(吉田)兼好が執筆したのが『徒然草』である。同様に隠者となった兼好が世の中の動きを描き出した名作である。

⑦古代から鎌倉時代までの歴史書が登場した。貴族生まれで出家して天台宗の座主になった慈円は『愚管抄』を記した。

古代の神武天皇から鎌倉時代までの順徳天皇までの出来事が記されている。

⑧鎌倉幕府による公式歴史書『吾妻鑑』や老女が平安時代初期までの歴史を語り伝える体裁をとった『水鏡』などもある。

⑨平安時代以来、朝廷を中心につくられた宮廷文学が勢いがあった。とりわけ和歌の分野に傑作が多い。承久の乱で敗北した後鳥羽上皇は文化の巨人であり文化的才能に恵まれていた。

⑩和歌、音楽、漢詩、蹴鞠、武芸に精通しており『小倉百人一首』の選者である藤原定家や藤原家隆などの優れた歌人5人を選び勅撰和歌集を編纂させた。

1205年(元久2年)に『新古今和歌集』が成立した。

⑪その後、1216年(建保4年)まで後鳥羽の意向により編纂作業は続けられた。承久の乱以後、後鳥羽が隠岐に流されてからも自身の編纂は続いた。また文芸に造詣が深い源実朝(3代目将軍)が『金槐和歌集』を編纂した。

⑫旅にまつわる「紀行文学」も多く出てきた。京都から鎌倉への旅路を描いた『海道記』や『東関紀行』阿仏尼の著作である『十六夜(いざよい)日記』などがある。

⑬神話や伝説、民間伝承などをまとめた説話文学には『宇治拾遺物語』『十訓抄』『古今著聞集』などがある。これらの文学は庶民の生活実態や価値観を知る材料となっている。

⑭貴族たちは古典の解釈や朝廷の儀式や作法に関する研究として有職故実に精を出した。江戸時代を通じて知識人の世界観のベースとなった朱子学(宋学)が禅僧によって宋から日本へと伝えられたのもこの時代である。

⑮北条氏一門で北条義時(2代目執権)の孫である北条実時は鎌倉の外航の金沢(神奈川県横浜市金沢区)に和漢書を集めた倉である金沢文庫を創設した。ここは好学の武士に慕われた。

■参考文献 『1冊でわかる鎌倉時代』 大石学 河出書房新社

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