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300年続く老舗のお麩専門店って、どんな感じ?京都五条へ確かめに。

ずっと行きたかった、お麩専門店の老舗「半兵衛麩」を訪れてきました。

半兵衛麩の創業は1689年の江戸時代。300年以上続いているお麩の専門店って…。関東生まれの私からすると想像を絶します。

そもそも麩は室町時代に中国へ渡った修行僧によって日本に伝えられたそうです。主に精進料理の食材として用いられてきました。

麩は小麦粉に含まれるタンパク質(グルテン)を原料としていますが、当時は小麦が高価だったことから、お寺や宮中の中で作られ、特別な時に食べる希少価値の高いものでした。

江戸時代になると料亭の懐石料理にも登場するようになり、ようやく庶民の間に広まってきます。

この頃(1689年)、宮中で麸の作り方を覚えた「半兵衛麩」の初代・玉置半兵衛が、京都で麩屋を開いたのだとか。当時から名だたる料亭や寺院に麩を納めているそうです。

生麩についてはこちらで書いたので、今回は割愛します。

牛若丸と弁慶が出会った場所とされる五条大橋の、ごく近くにある静かな通りに、半兵衛麩は本店を構えています。

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古い洋館を活かした建物。京都タワー設計の棚橋諒さんが建築に関わったのだそう。(店内撮影は許可を頂きました)

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生麩、湯葉、焼き麩、麩のスイーツなど、麩をベースにした豊富な商品がずらりと並べられています。

店員さんが「色々チャレンジさせて頂いたはります」とおっしゃるように、特にスイーツはアイデアの凝らされた逸品ぞろい。目を奪われます。

麩饅頭はもちろん、麩をチョコレートでコーティングしたもの。苺味、ほうじ茶味、柚子味、抹茶味など色とりどりの麩クッキーも。

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写真:半兵衛麩オンラインショップより

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写真:半兵衛麩「ふふふあん」ウェブサイトより

スイーツにも惹かれましたが、ここは冷静になり、まずはベーシックなものを。店員さんに一番のおすすめを教えていただき、生麩と自家製田楽味噌を購入しました。

生麩は「あわ麩」と「よもぎ麩」(¥519 税込)、田楽味噌は「白味噌」(¥357 税込)を購入しました。他に生麩は「ごま麩」、田楽味噌は「赤味噌」などがありました。

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それから日持ちのする焼き麩と乾燥ゆばのセットも。こちらは後日改めて自宅で楽しみたいと思います。

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そして生麩の田楽を早速頂きました。

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お店の方に教えて頂いた通り、フライパンできつね色になるまで炙って、田楽味噌を塗るだけ。

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思った以上にコシがあってもっちり。白味噌がまたほのかに甘くて優しいお味に仕上がっております。

よもぎ麩はよもぎの香りと濃厚な味がクセになる感じ。あわ麩はつぶつぶした食感がアクセントのシンプルなお味。

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京都駅のお土産屋さんの一角でも購入できたので、帰る時に早速リピートしてしまいました(どんだけ…)。

ちなみに半兵衛麩の本店の向かいには、茶房「半兵衛」があります(現在改修工事のため一時移転だそうです。普段は本店の奥にあるのだそう)

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ここでは麸とゆばのお料理「むし養い 京麸と京ゆばの点心」(¥3500税抜 )というメニューを頂けます(※むし養いとは京言葉で、お腹の虫を養う軽い食事のこと)。

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写真:半兵衛麩ホームページより

今から35年ほど前、一般の家庭でも生麩を簡単に調理できる方法を知ってもらいたいという目的で、定期的な料理教室を開いたのが始まりだとか。半兵衛麩さんの高い志と深い情熱を感じます。

今でも茶房「半兵衛」では、お食事を頂きながら調理法や扱い方などのお話を伺うことができるそう。この日は予約でいっぱいでしたが、いつかお邪魔してみたいです。また京都を訪れる理由が、ひとつ増えてしまいました。

■おまけ:京都「有次」の両手鍋

いずれ我が家に迎え入れたいと思っていた有次の両手鍋。ちょうどよいタイミングだったので、今回の訪問で購入しました。

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元々使っていた木蓋を合わせると何ともレトロな風合い。

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京都有次のキッチンアイテムについては、こちらで書いています。

和食も含めて、ルクルーゼやストウブの万能選手に頼りきりだったけど、和食(特に煮魚と煮物)は和製の鍋で作りこんでみたいと思うようになってきました。

これはアルミ製なのですが表面が凸凹に打ち出されているので熱が伝わりやすく保温力にも優れているとか。何よりびっくりするくらい軽いのでガシガシ使えそうです。

これまで購入してきた京都有次の道具は、作りがとても丁寧で、フォルムも美しく、素材の良さも伝わってくるので、使う時に気持ちがシャンとするのです。ここの落とし蓋を鍋から外した時、フワッと木の香りが鼻先をかすめてくれる瞬間も好き。台所でほこっと幸せな気分になります。

私や家族のおうち時間が長くなり、それにつれて台所で過ごす時間も長くなっています。だからこそキッチン道具は、幸せや新たな気付きをもたらしてくれるものを手元に置いておきたい。いつか息子や娘が結婚するときには、長く使える質のよい調理具を選別してプレゼントできるくらいに、知識と経験を積んでおければと思っています。

参考:

・半兵衛麩ホームページhttps://www.hanbey.co.jp/

・麩嘉ホームページ「生麩について」http://fuka-kyoto.com/about/

・全国製麩工業会「お麩の歴史」http://fc17470220180501.web4.blks.jp/zenfukai/rekishi/index.html

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