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ゾンビを見たことで。

自分が初めてレンタルビデオを借りに行ったのは、確か小学校5年生。

クラスメイトのお宅でビデオ鑑賞会をしようと、4人くらいで近くに新しく出来たレンタルビデオ店へ出掛けました。

いまはレンタルビデオ店も減りましたね。


お店は半地下と中二階の不思議な作りでした。

レンタルビデオ店なんて初めて入るお店ですし、何となくみんなドキドキ。

とりあえず誰ともなく半地下へテクテクと階段を降りていきます。

すると何となく、何となくですが「来るな感」があり、パッケージを吟味している人も男性のみ。

すぐにピンと来るべきでしたが、そこは子ども。

キャッキャしながら陳列棚へ雪崩れ込んでいきます。

しかし、パっと掴んだパッケージにみんな沈黙。

キョロキョロしてみるも、どうもフロア全部がそんな雰囲気。

ようやく「場違い」に気付いた面々は、ソロソロソロっと中二階へ移動。

進入注意な「ピンクの暖簾」とか無かったなぁ(笑)


中二階の普通の映画ポスターやパッケージに安堵しつつ、「これが良い」「面白そう」「これ知ってるぅ!!」など、どれを取っても楽しいひと時。

そして選び抜いた映画は、急に「ゾンビ(Dawn of the Dead)」♪

4人いれば怖くない!!が根底にあったに違いありません。

普段見ることの無いホラー映画に興味津々だったと思います。


一番お金持ちなクラスメイト宅へワクワクと向かいます。

お菓子やジュースを準備して、いざVHSをデッキへIN!!

映画会社の宣伝が数本流れた後に、おもむろに映画が始まります。


どこぞのビルかアパートか。

屋上にSWAT部隊が集結し、中に立てこもるギャング達を包囲しています。

投降を促しますが返事は無く、強硬突入をすべく準備しているロジャーが新人隊員に「無理はするな」と話している矢先、扉をぶち破り飛び出して来たギャングの放つ拳銃の弾が、新人隊員の頭を打ち抜きます。

そこから一気に部隊が建物へ突入開始します。

ギャングを一掃した建物内には、実はゾンビも巣食っているのです。

部屋をひとつひとつ確認していく先々で、生存者は救出、ゾンビは始末する。隊員たちが淡々と「作業」をする内に、絶望に苛まれた同僚は拳銃を自身に撃ち込み果ててしまったりします。


刺激的なシーンの連続に「うわッ」「ギャーー!!」「ヒーー!!」っと、お菓子やジュースを嗜む余裕はありません。


そんな「作業」を隊員達が行う中、ロジャーは死者であるゾンビにも敬意を払いながら「作業」を行うピーターに、友人のスティーブンとその恋人フランとヘリコプターで街を脱出するから一緒に来ないかと誘います。

その頃、テレビ番組制作をしているフランは、ゾンビに関する情報をリアルタイムでニュースとして流していますが、状況が悪化の一途を辿り、正確な情報を流せなくなっている状況、この期に及んで視聴率を気にする上層部に嫌気が指しています。

スティーブンとフランはヘリコプターでテレビ局を後にし、ロジャーとスティーブンと合流しますが、その最中では生存者同士のエゴが全面に出ることも多々。

しばらくヘリコプターを飛ばし安全な場所を探す中、地上では荒くれ者たちが徒党を組み、それはそれは酷い「ゾンビ狩り」でお気楽に移動をしている様を目撃します。


そしてご存じ「ゾンビ映画ならこのシーン!!」といった有名な大型スーパーへ4人で侵入し、地上階の出入り口を外側にバリケードを施し封鎖、ゆっくりと店内のゾンビを一掃。一時の平穏の場を確保します。

しばし穏やかな時間が過ぎて行きますが、実はフランが妊娠していることが判明したり、荒くれ者がスーパーの品物を強奪すべく、外からバリケード封鎖した店の解放を虎視眈々と狙って来ます。

荒くれ者がバリケードを突破した時、4人 vs 荒くれ者 vs ゾンビの壮絶な戦いが始まります・・・


小学校5年生で残酷で刺激的なシーンの連続はテレビで見ることがある訳無く、目を背けることも無く、ただただ釘付け。

映画鑑賞後は素早くみんなで返却に走ったと思います。


自分はその日から約1週間、大量のゾンビに追いかけられる悪夢を見続けました。

ある時は電柱の影に隠れて難を逃れ、ある時はブランコに乗って揺れていることで被害に遭わないといった「そんなことで逃れるんかいっ!!」な展開で助かってはおりましたが。。


そこから時は流れて高卒で就職した18歳頃。

近所のレンタルビデオ店を訪れた際、ホラーコーナーで因縁の「ゾンビ」と遭遇します。

トラウマがフラッシュバックするでもなく何故かレンタルし、実家でひとりで鑑賞したところ・・・

唐突に「大ハマり」!!!

確かにシーンの残酷さは否めませんが、何と言ってもストーリーが素晴らしい。

子どもの頃には分からなかった人間関係であったり、社会風刺的なことに気付いたのです。

そこからジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ映画を片っ端からレンタル。

何回も見直しては、また後日レンタル。

とうとうVHSテープを購入するところに至り、DVD化されてからは、ゾンビ初期三部作と後期三部作も発売と共に購入。

繰り返し、繰り返し、鑑賞したものです。

今もVHSは廃棄していません。

DVDの映像のクリアさに比べると荒いですし、編集も微妙な作品だったりしますが、捨てきれません。

いまはあまりDVDを観る習慣が無くなりましたが、それでもパッケージを見ると熱い気持ちがよぎります。


今は早送りで映像を観る「タイパ」とやらが、ヤングに当たり前となりつつあるようですが、映画やドラマには本の行間のような空気感というか、訴えるものがあると思います。

ただの映像として観るだけでは無く、その状況や登場人物の思いを考えたり感じるための時間のような。

ほんの数時間にギュギュっと詰め込まれた作品、ふんわりとしている作品。

何なら何だかわからない作品。

色々な映画があり、同じ作品でも人によって捉え方や感じ方で全く違い、自分の「ゾンビ」みたいに時間が経ってから全く違う感想を持つ作品が選り取り見取り。

映画館に足を運ぶ機会も減っていますが、部屋でDVDをセットしたり、動画をポチっとスタートしたら止められない、そんな楽しみや思いが映画にはあると思います♪


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