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政治講座ⅴ1175「国家に翻弄される中国人民」

北朝鮮もそうであるが、中国から人材流出が叫ばれている。日本にいても中国の本国の監視と指令がくる。そして、帰国しなければ、本国の家族に危害が及ぶのである。網の目のように監視されているのである。そして、技術の窃盗の指令がくるのである。全く、かわいそうなのであるが、同情していられないのである。日本も人口減少で労働不足も発生しているが優秀な中国人を雇いたいのであるが、産総研の技術漏洩事件もあり、中国の国防動員法という法律で日本にいつ危害を及ぼす指令が来るか分からないので、雇用にはリスクが伴うのである。そして、指令に従わない日本在住の中国人の家族に危害を加えるのである。中国に在住の家族は留学生の人質なのである。中国の歴史ではこのような家族を人質にとっておき、いざ指令に反する場合は家族全員を惨殺した歴史がある。現代社会においても同様の事をしている。これは、ウイグル人に行われている。海外にいるウイグル人を呼び寄せるために家族をに危害を加えるのである。
今回はそのような内容の報道記事を紹介する。

     皇紀2683年6月24日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

中国人留学生、中国でも日本でも就活地獄!超優秀でも「憧れの日本企業」が遠い残酷

姫田小夏 によるストーリー • 

写真はイメージです Photo:PIXTA© ダイヤモンド・オンライン

中国では5人に1人が大学を卒業しても職がないという大失業時代が到来している。この前代未聞の就職難を避けるようにして、日本に上陸しようとする中国人留学生たちがいる。「卒業後は日本企業に就職したい」と切望する中国人留学生だが、そこでも艱難辛苦が待ち受けていた。(ジャーナリスト 姫田小夏)

中国の就職難を回避し、日本に上陸したものの…

 コロナ禍の3年間は中国の若者にとって激動の3年間だった。時々刻々と進行するコロナ感染のリスク、米中対立の先鋭化と目まぐるしく変化する国際情勢、習近平政権下のゼロコロナ政策とこれがもたらす大失業時代――。自分たちではどうすることもできない運命にもてあそばれてきたのが、今の中国の学生たちだといえる。

 2022年、日本に滞在する中国人留学生は12万5940人(数字は出入国在留管理庁)で、前年比30.4%増となった。日本に在留する外国人留学生は30万638人、コロナで落ち込んだものの、2019年の34万人の水準に戻しつつある。その中でも中国人留学生は外国人留学生全体の4割強を占める存在だ。現在、日本に滞在する中国人留学生の中には、中国に明るい未来を描けず逃避してきた者もいる。

 彼らの日本語を習得する能力はすさまじく、わずか3カ月で、ある程度の日本語を話せるようになる。「独学で日本語能力試験のN1(最上級レベル)を取得した」「アニメを見て日本語を覚えた」といった人材はゴロゴロいる。彼らは子どもの頃から「暗記型の教育」を受けていることもあり、日本語のフレーズの暗記も苦にならないようだ。日本で1年も生活すれば、“立派な日本語スピーカー”になる学生は少なくない。

 中国の就職難を回避し、日本に上陸した彼らの中には東大、早稲田、慶応の学位取得を目指す、いわゆる“優秀な中国人留学生”もいる。その高い日本語能力とともに引く手あまたの就職活動を展開中なのかと思いきや、どうも彼らの顔色はさえない。

 その厳しい表情からは、過酷な就職戦線であることが見て取れる。一体、何が起こっているのだろうか。

就活の主戦場を日本に移した中国人留学生たちの苦難

 早稲田大学大学院・修士課程に在籍するA君はすでに30社にエントリーシートを送ったが、どの企業からも反応はなかった。

 東京大学大学院・修士課程に在籍するB君はインターンシップ先を探すのに大手有名企業100社に応募した。インターンシップは各社ともにかなり狭き門で、「99社に落とされて、ようやく最後の1社に拾われました」とB君は語る。

 C君は早稲田大学でファイナンス理論を学んだ日本語が堪能な人材だが、100社にエントリーシートを提出しても、面接の案内をくれたのはわずか1社だったという。

 昨年も、中国人留学生にとって日本での就職戦線は厳しいものだった。Dさんのハイレベルな日本語は、社内でのコミュニケーションもまったく心配はない。性格も快活で人からも好かれるタイプだ。しかし、約80社にエントリーシートを送っても日本企業には引っかからず、最終的に都内の中国資本の企業に入社した。

 日本での就職活動について、多くの中国人留学生は「大手有名企業に就職すること」を夢に描いている。国際的な比較をすれば給料水準は低いが、買い手市場の中国企業にある“首切り”や“重労働”もない、そんな日本企業が再評価されるようになってきているのだ。

 だが、近年の就職戦線では中国人留学生に「憧れの日本企業」が振り向いてくれないケースが出てきている。昨年就職が決まった筑波大学卒業のEさんは「自分の志望をランクダウンさせた企業で妥協するしかありませんでした」と振り返る。

 ビザの有効期限という問題もあり、就活は時間との戦いだ。ここに登場した“突き抜けて優秀”といわれる中国人材でも、その現実は決して甘くはないことが見えてくる。

中国の日系企業で働く中国人を日本で引き取る企業もあるが…

「中国の日系企業にとって、カントリーリスクは高まっています。撤退のシナリオが大筋ではないでしょうか」――。金融業界のF氏はこう語る。完全撤退にまでは至らないが、中国事業を縮小するなどの動きはすでに始まっている。

 ある製造大手の管理職G氏は「弊社の場合、今まで通り中国から調達するという方針は変わりませんが、新規の調達が生じた場合は、なるべく中国以外から調達するようにという通達が出ています」と話す。昨年、ホンダが中国事業を切り離してサプライチェーンを再編するという報道があったが、大手自動車メーカーの動きは、日本企業全体に影を落とす。

 もともと日本企業は、中国の拠点数を拡大させていて、それに応じて本社採用の中国人も増加する傾向にあった。しかし、昨今の米中対立を発端に中国からのサプライチェーンの切り離しを進める企業が続々と出始める中で、「中国との取引を前提にしていた企業は、日本での中国語人材の採用枠を減らしている可能性があります」とG氏は語る。

 ちなみに、G氏の所属する会社はロシアにも拠点があったが、ウクライナ戦争を機に活動を縮小した。その結果、これまで継続してきたロシア語人材の採用は打ち止めとなった。中国については「目下、中国の拠点を整理しているところですが、従来雇用していた中国人を日本本社で引き取るケースも検討しています」(G氏)という。

 そうなると、国内で新たに行う中国語人材の採用は必要なくなってしまうことになる。

日本の人材不足を“川上”の中国で補う企業も

 一方、ITソフトウエア開発企業の留学生採用は、好景気を背景に今年も採用枠を拡大している。ITサービスを取り扱うH社の場合はDX需要の急増もあり、人材不足が続いているようだ。

 同社管理職のI氏は「弊社で働く中国人社員は東大、早大、慶応の理系院卒がほとんどですが、国籍別に採用枠が明確にあるわけではなく、日本人と平等に面接を行って審査します」と話す。

 中国人留学生にとって、競争相手は同じ国の出身者だけではない。日本人のみならず、アジア全域から集まるインド人、ベトナム人、韓国人も参戦してしのぎを削る。

 一方で、H社は、中国における大卒の就職難を「“好機”に転じられないか」と虎視眈々と動向を見つめている。2023年、中国の大卒者は1000万人規模となり、ますます新卒者の就職が厳しくなる中で、I氏は「中国での新卒採用で、日本の人材不足を補う戦略を模索中です」と話す。

 日本ではソフトウエアエンジニアが圧倒的に不足しているが、これに加えH社ではDXに精通している人材、AIやメタバースなどの新領域への研究人材などを“川上となる中国”で積極採用しようと検討を進めている。優秀な中国人留学生でも日本の就活に苦戦しているのは、こうした事情が絡んでいる可能性もある。

 また、中国人留学生の就職支援を行う都内団体の責任者J氏は「競争相手は優秀なアジア人だけにとどまらない」と近年の傾向をこう説明する。

「日本で育った2世たちが日本で就職する時期を迎えています。彼らは高学歴である上、日本と中国の両方の習慣を熟知し、なおかつ日本語、英語も堪能です。中国人留学生はこうした人材とも競争しなければならないのです」

中国人材に警戒する日本企業も

 ある消費財メーカーが採用したのは、J氏が説明するような「日本育ちの中国人材」だ。

「日本語ネイティブであり、顧客満足度の追求など日本の習慣を熟知している」と高い評価を与えている。一方で、近年来日した中国人留学生については「米中関係の悪化もあり企業によっては採用を迷い、香港や台湾の出身者に関心を示すところもあります」(消費財メーカーのK氏)と話す。

 最近は、ある研究所のデータを中国人が漏えいする事件が報道された。ちまたでは「中国には『国防動員法』があるため、有事の際は日本在住の中国人も動員の対象となり中国の戦闘員になる」などといった懸念がまことしやかにささやかれている。業界によっても異なるが、一部の日本企業は採用の扉を大きく開けられずにいる。

 中国から逃避行をして日本の就活に挑んだものの、中国にいても就職難、日本に来ても就職難…。中国人留学生にとってはどちらに転んでも厳しい現実が待ち構えている。

 しかし、彼らは転んでもただでは起きない。「自ら日本で起業する」という最終手段も散見されるのだ。艱難辛苦を舐めながら、隣国の日本で強い経営者として、のし上がっていく――。彼らの“打たれ強さ”には脱帽するしかない。

産総研の技術漏洩事件は「氷山の一角」か 他山の石とせよ

2023.6.23
3件のコメント

細川 昌彦
明星大学経営学部教授(元経済産業省中部経済産業局長)

  • 茨城県つくば市にある国立研究開発法人「産業技術総合研究所」(写真:共同通信)
     国立研究開発法人・産業技術総合研究所(産総研)に所属する中国籍の研究員が自身の研究データを中国企業に漏らしたとして6月15日、不正競争防止法(不競法)違反の疑いで逮捕された。国の研究機関から中国への技術情報の漏洩を立件する異例のケースだ。経済安全保障が焦点になっている状況だけに注目される。
    機微な技術ではないが、問題は中国との関係
     容疑者は絶縁ガスにも使われるフッ素化合物の合成技術に関する研究に携わっていた。絶縁ガスは電気を通さない気体で、変圧器など電気機器の絶縁体として使われる。絶縁ガスは温室効果が高いため、温室効果の低い代替物質を開発して地球温暖化の防止に役立てようというものだ。2018年にその研究データを中国企業にメールで送信した疑いだ。送信先の中国企業は化学製品の製造会社で、データを受け取って1週間後には中国で特許を申請しているという。
     ただし現時点で流出が判明している技術自体は、外為法で規制対象となっている技術ではなく、安全保障上「機微な技術」というわけではない。適用法令も外為法ではなく、不正競争防止法だ。
     むしろ注目すべきは、容疑者の中国政府との関係だ。
     容疑者は中国政府が海外の高度な研究人材を招致する計画である「千人計画」にも選出されている。直前の18年1月、中国で研究実績が評価され表彰を受けたこともあるという。
     また中国軍とつながりが深いとされる「国防7校」の1つである南京理工大学の出身で、02年4月から産総研で勤務していた。同じく国防7校の1つである北京理工大学の教職に就いていたこともあるという。国防7校は中国人民解放軍と軍事技術開発で提携して、先端兵器の開発に貢献している。
     こうしたバックグラウンドを持つ人物が国の研究機関に長年在籍し、特定分野の主要ポジションに就いていて、研究成果を流出させた疑いがある事案だ。経済安保の観点から検証すべきだろう。


中国「海外警察」 違法な活動を即刻停止せよ

2022/12/29 05:00

 他国の主権や法制度を侵害し、国際法に違反する活動である可能性が高い。中国は各国の懸念を深刻に受け止め、現状を直ちに是正すべきだ。

 中国の公安当局が「海外警察」と呼ばれる出先機関を諸外国に設け、反体制派中国人らの追跡や、中国への連れ戻しに使っている実態が明らかになった。

 スペインの民間活動団体が公表した報告書によると、欧米など53か国で102か所の海外警察の拠点が確認された。日本でも東京など2か所にあるという。

 海外警察は、国外に逃亡した容疑者を取り締まるだけでなく、民主活動家らの連行にも関与している疑いが強い。オランダに移住した中国人男性は、中国に残した家族に危害が加えられると脅され、帰国を要求されたという。

 報告書は、2014年~22年10月に強制帰国させられた人は1万1000人に上るとしている。

 当事国の了解を得ない水面下での警察活動は重大な主権侵害だ。到底認めるわけにはいかない。

 海外警察を運営しているのは、華僑を多く送り出している福建省福州市や浙江省温州市など、地方の公安当局とされる。アイルランドのダブリンでは、福州警察の「海外サービスステーション」と称する看板が掲げられていた。

 華僑が世界中に持つコミュニティーは、中国を逃れた犯罪者や民主活動家らが身を隠す場になりうる。当局としては捜査の足がかりにしたいのだろう。

 中国側は報告書の指摘を「完全な誤り」だとし、問題の施設は「海外在住中国人のために運転免許証などの更新をオンラインでサポートしている」と説明した。

 だが、相手国の同意なしに、領事館のような役割を持つ機関を別に設けて活動すること自体、ウィ

ーン条約違反である。中国は現地の状況を精査し、違法な活動を停止しなければならない。

 日本をはじめ、各国政府は厳しく対処する必要がある。国連の場でもこの問題を提起し、国際世論の関心を高めるべきだ。

 オランダやアイルランドはすでに海外警察の閉鎖を命じた。オランダでは、脅迫に関わった関係者が拘束されたという。米国も「司法と法執行の協力プロセスを逸脱し、主権を侵害している」と批判して監視を強めている。

 日本政府は「仮に主権侵害の活動が行われているなら、断じて容認できない」との立場だ。国内の中国人の弾圧に拠点が使われる事態があってはならない。


中国“海外警察”、背景には何が 実態と現状を分析【動画あり】

NHK

2023年3月7日 午後3:08 公開

去年(2022年)、中国の海外での警察活動についての報告書を人権NGOが発表。そこには、中国の警察が出先事務所を開設し、その数は世界50か国以上・102か所にのぼると指摘されていました。

欧米各国が懸念の声を上げる一方、中国政府は「中国の“海外警察”など存在しない」と、真っ向から否定。

海外での中国の警察活動の実態、そして背景には何があるのか。 望月キャスターが、報告書の作成に携わったNGOメンバーと中国の専門家に話を聞きました。

(「キャッチ!世界のトップニュース」で3月6日に放送した内容です)  

・「1年強で在外中国人23万人を“説得し帰国させた”」

中川キャスター:中国が海外に開設しているとされる、警察の出先事務所の存在を明らかにしたのが、人権NGO「セーフガード・ディフェンダーズ」です。このNGOは、中国の人権活動家らの支援などのため2009年から北京で活動していたNGOの後継組織として、2016年にスペインで設立されました。  

中川キャスター:「セーフガード・ディフェンダーズ」の最新報告書によると、中国の警察の出先事務所は、世界50か国以上、あわせて102か所あり、このうち2か所は日本にあるということです。

中国当局は、海外在住の中国人によるオンライン詐欺の大々的な取り締まりを行い、2021年4月から2022年の7月までに、23万人の在外中国人を“説得し帰国させた”とし、報告書は、「この取り締まりが出先事務所の開設につながった」と指摘しています。  

望月キャスター:報告書は、こうした海外の出先事務所が、現地に住む中国人に圧力をかけているとしています。

報告書をまとめた主要メンバーの1人で、人権NGOのキャンペーン・ディレクターを務めるローラ・ハースさんに、話を聞きました。  

・中国“海外警察”の実態、“帰国させる”ための3つの手法

望月キャスター:(帰国させる)対象者は犯罪の容疑者なのですか?

ハースさん:犯罪の疑いがない人々も含まれていることが中国当局の発表で分かっています。違法な手段で帰国させられており、人権を著しく侵害しているうえに、滞在国の主権も侵害している。この点に注目しなければなりません。

反体制派や活動家のコミュニティー、そして中国国外に逃れた少数民族の人たちからの証言によると、彼らは国境を越えて弾圧の標的になっているということです。  

ハースさんたちがまとめた報告書は、対象者を“帰国させる”ために、主に3つの方法がとられているとしています。

①中国に住む家族らに嫌がらせや脅迫をするほか、家族らを拘束・逮捕して、自発的な帰国を促す方法

②対象者に、インターネットを通じてまたは直接に接近し、脅迫など行って自発的な帰国を促す方法

③対象者を誘拐して帰国させる方法、です。

ハースさん:家族が狙われても、逆らうことができるのは本当に一部の人だけです。

中国当局は、これを(方法②のように)ほぼオンラインで実行できます。したがって、当局は海外に出かけていって作戦を行う必要がありません。

しかし、それがうまくいかない場合、海外の諜報員などを対象者のいる場所に送り込み、大使館や領事館の職員を使うかもしれません。または、警察の出先事務所や統一戦線ネットワークの人たちを代理として使うこともあります。最悪の場合、中国当局によれば“合法”なのですが、誘拐にさえ及びます。世界中で、国外で誘拐されて中国に連れ戻された人々が実際にいるのです。  

・「統一戦線工作部」との緊密な連携が?

中国の警察の出先事務所について、ハースさんは中国共産党で少数民族政策などを担当し、対外的な世論操作も行っているとされる、「統一戦線工作部」とつながりがあると指摘します。  

ハースさん:中国の公安当局によると、海外の出先事務所は、統一戦線工作部との緊密な連携によって設立されるそうです。ですから、出先事務所は、すでにあるネットワーク上に作られていると言えます。そのネットワークとは、その国の合法的な住民で、地域である程度の地位があり、さらに地元の政治家、警察、コミュニティーと関係ができている人たちのネットワークです。

そして、ここで重要な問題が持ち上がります。警察の出先事務所が関係するような活動は、その事務所が開設されている国や地域内だけにとどまることがないからです。統一戦線のネットワークは事実上、世界中のあらゆる国で活動しています。ですので、正式な警察の出先事務所がなくても、現地の人が同じような任務を求められることがあるわけです。

ハースさん:海外の出先事務所は氷山の一角であることを認識することです。本当に氷山の一角なのです。このような事務所を手がかりに違法な秘密活動に従事している個人・組織のネットワーク全体を明らかにしていくことができます。

私たちは、海外の出先事務所に関するこの報告書が民主主義国家の当局を問題の徹底的な調査の動きへと導くものになることを望んでいます。国境を越えた弾圧行為、統一戦線のネットワークを通じて行われている作戦や干渉の調査につながって欲しいと思います。  


望月キャスター:中国政府は、警察の海外出先事務所の存在を否定。「中国の公安部門は国際法を厳格に順守し、ほかの国の主権を十分に尊重している」と反論しました。そして、指摘されている施設では海外在住の中国人の運転免許証の更新を支援しているなどと説明しています。

問題の背景や中国側の思惑などについて、東京大学の阿古智子(あこ・ともこ)教授に聞きました。  

・「国の主権の侵害」と「人権侵害」という2つの問題点

望月キャスター:今回の報告書が発表された意義についてどのようにお考えになりますか。

阿古さん:本来はそれぞれの国で民主主義的な価値が重視され、その中で法の支配というものが徹底されていくべきですが、中国の政治システムの論理において、それぞれの国では違法な活動が合法的に行われる可能性もあります。ですので、どういった事例があるのかを世界的にしっかり集めるのは非常に意味があると思います。  

海外に開設した警察の出先事務所を通じて、現地の中国人に圧力をかけているとされる中国政府。阿古さんは、「国の主権の侵害」と「人権侵害」の、2つの問題があると指摘します。

阿古さん:民主主義の国であれば表現の自由は保障されていますし、自分が行動すること発言することに対して不要な圧力というのを感じずに「自由である」ということは、権利として認められているはずです。

中国政府は政権維持のための「国家安全」が一番大切ですので、何か打撃になるような言論活動だと中国が認定すれば、犯罪容疑者としてその人の情報を集めようとします。ですから、その基準が異なるのです。

その中国が、中国国内では非合法だとされていることについて、日本の領土範囲内で情報収集して犯罪容疑があると認定し、もし取り調べを行うようなことがあったとすれば、それは日本国内の警察などが関わる領域内に介入しています。

中国は中国の論理があると思いますけれども、日本国内においてそういったことを行うことは日本の主権を侵害しているということになると思います。  

阿古さん:不当に監視をされている。そして、監視だけでなく具体的に圧力をかけられている。家族があなたがちゃんと言うことを聞かないと怖い思いをするよとか、そういった具体的に恐怖を抱かせるような状況に追い込まれているというのが、人権侵害に当たると思います。  

・現在、中国国内で「言論統制が強まっている」と分析

3期目に入る習近平体制は、「ゼロコロナ」政策の影響を受けて停滞する経済の立て直しが喫緊の課題です。阿古さんは、中国政府は、国内の安定化のために、言論統制をより強めていると分析します。  

阿古さん:経済が非常に厳しい状況の中で、中国国内や政権内部にも異論を唱える人たちも出てきていると言われています。そうすると、習近平氏と周辺勢力にとってみれば非常に不利な環境ができるので、より警戒心が強まってしまうんですね。その中で「言論を監視する」という風潮が強まってしまっていると思います。

何か本当に些細なことで批判したと認定されて拘束されてしまうことや、本来疑われるべきではないような情報に関しても疑いを持たれてしまって、そこに関わっている人たちが逮捕されてしまうとか、そういうことが起こりやすくなっている環境があると思います。

一方、欧米では、問題に対応する動きも出ています。

アイルランドは、首都ダブリンに開設された出先事務所を閉鎖するよう中国側に要求。

アメリカではFBI=連邦捜査局が去年の秋、ニューヨークにある出先事務所とみられる建物を捜索したと、ニューヨーク・タイムズなどが報じました。  

阿古さん:欧米諸国は、民主主義の秩序が脅かされてしまう、自分たちの主権が侵害されてしまうことへの危機感が非常にあると思います。市民レベルでもそういったところに対して、「もっとしっかりと中国に対して物を言ってほしい」という動きがあると思います。

中国の統一戦線の考え方ですと、敵と味方をはっきり区別する傾向が強くなってしまいますが、そうではなく、「歩み寄れるところはどこにあるか、探し、模索している」と伝えて対話をしつつ、同時に「人権侵害や表現の自由を制限することはあってはならない」と伝えていくべきだと思います。


・日本の対応は

望月キャスター:報告書は、日本にも中国警察の出先事務所があると指摘しています。

林外務大臣は去年(2022年)11月の記者会見で、外交ルートを通じて中国側に対し、「仮に我が国の主権を侵害するような活動が行われているということであれば、断じて認められないという旨の申し入れを行っている」と述べています。

また人権NGOのハースさんは先月(2月)、中国に対する政策を議論するグループの会合に参加するために来日。日本が議長国を務める5月のG7広島サミットでも、この問題の対応について各国の連携を望みたいと話していました。


すでに23万人を連行済み…中国が「各国の反体制派狩り」で動かす秘密警察ネットワークの恐ろしさ東京にも1箇所の「警察署」がある

PRESIDENT Online

表向きは「サービスセンター」を名乗っている

中国政府が独自の「警察署」を世界各地に展開し、各国政府を激怒させている。

こうした拠点は、表向きは海外に住む中国系住民などを支援する「サービスセンター」を名乗っており、免許の更新などを中国国外で容易に受けられる施設として運営されている。

写真=iStock.com/AdrianHancu※写真はイメージです

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しかし英BBCは、その実態は中国国外に住む反体制派を取り締まる捜査機関だと報じている。本国での裁判にかけるため、数十万人規模で市民を送還するなど、サービス窓口とは程遠い活動を行っている模様だ。

米フォックス・ニュースは、中国が当該の偽装警察署を「五大陸じゅうに幾つも」展開しており、米ニューヨークやカナダのトロントなどにも存在すると報じている。記事はスペインの人権監視団体「セーフガード・ディフェンダーズ」による報告書を基に、「国際法違反」の疑いがあると報じた。

多くの国において警察は「法執行機関」、すなわち各国が主権の下に定める法律の遵守を担保する機関と位置付けられている。中国政府の意図をくんで動く独自の警察網を展開することは、各国に対する「主権侵害」であり、「厚顔無恥」な行為だとの指摘が相次ぐ。

NYの中華料理店の2階が「警察署」だった

凝ったことにこのような警察署の一部は、民間の施設に偽装して運用されているようだ。

ニューヨークでは、1階はラーメン店、2階は鍼灸しんきゅう院という雑居ビルの一角に身を隠すようにして、秘密の警察署が今年2月に開設された。

このビルはニューヨークのマンハッタン島南東部のメインストリートである、イースト・ブロードウェイ沿いに位置する。一帯はチャイナタウンに近く、中国関係の店が軒を連ねる。

米共和党のジャック・ロンバーディ2世議員はこの拠点をめぐり、米紙記事を基に、「FBI長官は、ニューヨークにある中国の秘密警察署が『主権を侵害している』と述べている」とツイートした。
1階は何の変哲もないラーメン店、2階が鍼灸店となっている。チャイナタウン近辺によくあるタイプの雑居ビルであり、中国の出先機関が入居しているとは想像もつかない。

英デイリー・メール紙は実際にこの拠点を訪れ、その様子をリポートしている。同紙が周辺に聞き込みを行ったところ、この警察署は表向きは「海外サービスセンター」を名乗っているという。中国本土に帰国せずとも、書類の発行や身分証の更新ができる模様だ。

だが、窓口はほぼ常時閉鎖されており、開くことはめったにない。サービスセンターとは名ばかりで、内部が中国側の警察のオフィスとして利用されている可能性が疑われる。同紙記者が隣接する鍼灸院の受付に取材したところ、隣が秘密の警察署だと知って驚いた様子だったという。

記事はこのような警察署は中国共産党が運営しているものであり、少なくとも世界30カ国に54カ所の存在が確認されていると報じている。多くは偽装されており、中華料理店やコンビニのスペースを一部利用して運用されているという。

セーフガード・ディフェンダーズによると、中国共産党は2021年4月以降に海外市民の監視を強化しており、これまでに23万人の中国人を「説得」し本国へ帰還させたという。反体制運動の支持者が多く含まれるとみられる。

米紙は「世界100拠点以上」と報じる

中国が秘密裏に運営する警察署は、世界各地に存在する。フォックス・ニュースはその多くがヨーロッパに位置し、ロンドン、アムステルダム、プラハ、ブダペスト、アテネ、パリ、マドリード、フランクフルトなどに点在していると報じている。北米ではニューヨークの1拠点に加え、トロントに3拠点が設けられている。

カナダ民放最大手のCTVは、同国に設けられた3拠点を実際に訪れている。1カ所目は平凡な事業所に紛れる形で、2カ所目は閑静な住宅街にある家の一角に、そして3カ所目は既存のコンビニの住所を借りる形で存在していることが確認された。いずれも東岸の大都市・トロント大都市圏に位置する。

ほかの国においても、既存の商店に身を隠すようにして設営されているようだ。英スコットランドのヘラルド紙は、スコットランドのグラスゴーにある有名ショッピング街に位置する人気中華料理店の住所が、秘密に設けられた警察署のものと一致したと報じている。中華料理店の一角が、中国政府とつながる捜査組織の拠点となっていた。

少なくとも世界じゅうに54拠点という報道があるなか、米ニューヨーク・ポスト紙は世界100拠点以上とも報じており、中国警察網の規模は想像以上に広大なようだ。

セーフガード・ディフェンダーズが公開した報告書によると、詳しい所在地は明かされていないものの、東京にも1拠点が存在する模様だ。

ニューヨーク・ポスト紙はまた、中国政府が各国の政府や自治体関係者らとのパイプを築いていると指摘している。

ニューヨークのラーメン店2階に構えた警察の事例を前掲したが、このビルの3階に入居し福建省長楽市と関係が深いとみられるアメリカ長楽協会は、ニューヨーク市のエリック・アダムス市長を招いた豪華な晩餐ばんさん会を開催している。同協会には中国市民を監視している疑いが掛けられており、また、米国税庁によってブラックリストに登録されている。

写真=iStock.com/Peeter Viisimaa※写真はイメージです

狙いは香港人、ウイグル人、反体制派…

米国議会が出資する報道機関のラジオ・フリー・アジアは、セーフガード・ディフェンダーズによる報告書を取り上げ、「報告書によるとこうした警察署は、中国の2つの省の公安局が海外で運営しているものである。本国の家族に圧力をかけるなどを通じ、市民に中国への帰還を説得する目的で利用されている」と報じている。

中国の国防動員法

同法は主に以下の内容を含んでいる。やばい法律がこれでわかる。中国共産党の恐ろしいところである。

  • 中国国内で有事が発生した際に、全国人民代表大会常務委員会の決定の下、動員令が発令される

  • 国防義務の対象者は、18歳から60歳の男性と18歳から55歳の女性

  • 国務院中央軍事委員会が動員工作を指導する

  • 個人や組織が持つ物資や生産設備は必要に応じて徴用される

  • 有事の際は、交通金融マスコミ医療機関は必要に応じて政府や軍が管理する。また、中国国内に進出している外資系企業もその対象となる

  • 国防の義務を履行せず、また拒否する者は、罰金または、刑事責任に問われることもある

在日中国人 - 外国(日本)に居住する中国人にも適用され、有事の際には命令を下される


参考文献・参考資料

中国人留学生、中国でも日本でも就活地獄!超優秀でも「憧れの日本企業」が遠い残酷 (msn.com)

中華人民共和国国防法 - Wikipedia

国防動員法 - Wikipedia

社説:中国「海外警察」 違法な活動を即刻停止せよ : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

中国“海外警察”、背景には何が 実態と現状を分析【動画あり】 - キャッチ!世界のトップニュース - NHK

すでに23万人を連行済み…中国が「各国の反体制派狩り」で動かす秘密警察ネットワークの恐ろしさ 東京にも1箇所の「警察署」がある | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

自民党議員が警視庁マークの「中国人女性」に溺れて首相に紹介 夫婦関係は危機に、情報漏洩リスクも | デイリー新潮 (dailyshincho.jp)

産総研の技術漏洩事件は「氷山の一角」か 他山の石とせよ:日経ビジネス電子版 (nikkei.com)

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