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政治講座ⅴ1033「中国共産党は宗教を否定し、弾圧・抑圧する国」

  法輪功、仏教徒の弾圧、ウイグル人へのジェノサイド、女真族への弾圧、モンゴル人への弾圧、イスラム教への侮辱は中国共産党の国是であるから、いつかは暴動が起きると思っていた。見事予想が的中した。中国の歴史は弾圧政治の繰り返しである。それは、普遍的な民主主義・自由主義の思想がないから民衆を弾圧しないと統治できない。それが必然的に起こる原因でもある。今回は宗教がらみの報道記事を紹介する。「解放!解放!」と叫んで理想を訴えた中国共産党は、今や真逆の「弾圧!弾圧!拘束!拷問!」へと変質した。共産党の組織防衛が目的化した少数民族弾圧に変質した。これが共産党が理想とした世界なのか? 事実・情報を隠蔽して滅んだ旧ソ連があったことはお忘れかな? 社会主義実験は失敗に終わった。民衆を弾圧しなければ存続できない政治体制は、明らかに共産主義実験も失敗である。哀れな国である。被害者は国民であり加害者は共産党である。

     皇紀2683年4月24日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

イスラム「侮辱」あわや暴動=中国・パキスタン関係に不協和音

1 時間前

 【北京時事】パキスタン北部で今月、水力発電所建設に携わる中国人技術者の男性が、イスラム教を冒涜(ぼうとく)したとして告発された。怒ったパキスタン人作業員らによる暴動を懸念した地元当局は、男性を遠隔地へ移送。パキスタンでは近年、中国権益への反発が強まっており、住民感情の刺激が両国の不協和音に発展しかねない状況だ。

パキスタンと中国の国旗が掲げられたイスラマバードの通り=2015年4月撮影(AFP時事)© 時事通信 提供

 17日のAFP通信などによると、男性はイスラム教のラマダン(断食月)期間のせいで「仕事の進行が遅い」と指摘。作業員との口論で、アラー(神)や預言者ムハンマドを侮辱するような発言があった。

 これに反発した地元住民ら数百人が抗議に集まり、武装警察が出動する騒ぎに発展。抗議参加者らは中パ国境につながる道路を一時封鎖したという。当局は男性を拘束しており、告発に基づく捜査を今後進める。

 中国外務省報道官は18日、「中国政府は在外中国人に対し、現地の法律、規制、慣習を尊重するよう求めている」と強調したが、詳細は明らかにしなかった。事件は中国でほとんど報じられていない。

 中国は巨大経済圏構想「一帯一路」の下、経済協力やインフラ建設を通じパキスタン進出を加速してきた。習近平国家主席が両国の「鉄の友情」をうたう半面、「中国がパキスタンの資源を奪っている」と見なす武装集団の攻撃も頻発。昨年4月には南部カラチで、中国語などの普及を図る「孔子学院」の車両が爆弾テロに遭い、中国人ら4人が死亡した。

 中国政府はパキスタン側に安全確保の徹底を要請しているが、対応が追い付いていない。香港メディアは、相次ぐ事件で「プロジェクト参加を思いとどまる中国人が増えれば、中パ協力への打撃となる」と指摘した。 

イスラム教を侮辱した中国人男性勾留 パキスタン

2023年4月19日 2023年4月19日 1分53秒

◎北西部カイバル・パクトゥンクワ州の住民数百人は先週末、この中国人男性の逮捕を求める集会を開いた。

パキスタン、首都イスラマバードの最高裁判所(Getty Images)

パキスタンの裁判所は18日、イスラム教を侮辱したとされる中国人を勾留するよう命じた。

イスラム国家で予言者ムハンマド(Prophet Mohammed)やイスラム教の聖典コーランを冒涜することは死罪に当たる。パキスタンの刑法も冒とく罪の最高刑を死刑としているが、実際に刑が執行されたことはない。

北西部カイバル・パクトゥンクワ州の住民数百人は先週末、この中国人男性の逮捕を求める集会を開いた。この集会から数時間後、警察は男性を逮捕した。

この男性は水力ダム建設に関わる技術者のひとりで、建設現場で働くイスラム教徒の祈りの時間が長すぎると批判したとされる。

地元メディアによると、男性は無罪を主張したという。州地検の報道官は17日の声明で、「容疑者はイスラム教徒もムハンマドも侮辱したことは一度もないと反論している」と述べていた。

中国外交部の汪文斌(Wang Wenbin)報道官は18日、イスラマバードの大使館が状況を確認していると述べた。

また汪氏は「中国政府は海外で生活する自国民に対し、常にその国の法律、規則、慣習や伝統を尊重するよう求めている」と強調した。

一部の地元メディアは「州警察は男性を暴徒から守るために逮捕した可能性がある」と報じている。

パキスタン警察は冒とく罪で多くのイスラム教徒・非イスラム教徒を逮捕しているが、外国人を逮捕することは滅多にない。

中部パンジャブ州のスポーツ用品工場で働いていたスリランカ人男性は2年前、ムハンマドを侮辱したとして暴徒に殺害された。暴徒は男性の遺体を公道で燃やした

中国籍の男性、「イスラム教への冒とく」容疑で逮捕か=最高で死刑も―パキスタン

Record China によるストーリー • 水曜日

独メディアのドイチェ・ヴェレ(中国語版)は18日、パキスタンで中国籍の男性が「イスラム教への冒とく」の容疑で逮捕されたと報じた。

独メディアのドイチェ・ヴェレ(中国語版)は18日、パキスタンで中国籍の男性が「イスラム教への冒とく」の容疑で逮捕されたと報じた。© Record China


報道によると、同国のカイバル・パクトゥンクワ州コミラの通りで、現地の労働者らが中国人男性の逮捕を求めてデモを行った。警察は暴徒によって危害が加えられかねないとして、男性をヘリで安全な場所に移動させたという。
SNS上では、デモ隊が「アッラーは偉大なり」とスローガンを叫ぶ中、警官が上空に向けて発砲し、デモ隊を解散させようとする様子をとらえた映像も出回っている。地元警察は「警察が(男性に対する)冒とく罪の起訴状のコピーを群衆に見せると、人々は去って行った」と説明した。パキスタンの法律では冒とく罪が成立した場合、最高で死刑が下る
発端は同州ダスで行われているダム建設工事だった。この工事は中国葛洲堰集団が請け負っており、男性は技術者だった。現在はイスラム教のラマダン(断食月)に当たるが、男性は「仕事の進度が遅い」と現地労働者らに不満を述べた。一方、労働者らは「断食と工事の進捗には関係がない」として反発、双方が激しく主張し合い、トラブルに発展したという。
地元警察は、「労働者らは男性がイスラム教の神・アッラーに対して侮辱的な言葉を使ったと主張している」と説明し、男性がイスラム教を冒とくするような言動をしていたことが捜査によって明らかになれば、裁判にかけられるだろうとコメントした。
記事は、「これまでパキスタン国内で冒とく罪で極刑に処された例はないものの、神への冒とくによって暴行を受けたり、リンチを受けて処刑されたりする事件はたびたび起きている」と伝えた。(翻訳・編集/北田)

欧米、中国に制裁を発動 ウイグル族への「人権侵害」で

2021年3月23日

画像提供,REUTERS

画像説明,中国・新疆では少数民族を収容する施設が建設されている

欧米各国は22日、イスラム教徒が大半を占める中国の少数民族ウイグル族の人権を侵害しているとして、中国当局者らへの制裁を発動した。

中国は、北西部・新疆の収容施設でウイグル族を拘束している。同施設をめぐっては、拷問や強制労働、性的虐待の告発が出ている。

今回の制裁は、欧州連合(EU)とイギリス、アメリカ、カナダが、歩調を合わせる形で発動した。

これに対し中国も、欧州各国の当局者に制裁を発動し返した。

中国は虐待の疑惑を否定。収容施設は、テロ対策の「再教育」施設だと主張している。

インド与党のイスラム侮辱 中東など15カ国が非難

2022年6月7日 20:00

パキスタンのシャリフ首相は「イスラム教徒を迫害している」と非難を表明した=ロイター

【ニューデリー=馬場燃】インドのモディ首相が率いる与党インド人民党(BJP)前報道官がイスラム教を侮辱した問題が波紋を広げている。インドの報道メディアによると、7日時点でイスラム教徒が大半を占める中東諸国など少なくとも15カ国がインドへの非難を表明した。インドは原油調達などを中東に依存しており、経済関係に影響を及ぼす恐れもある。
BJPで報道官を務めていたヌプール・シャルマ氏は5月末に地元テレビの討論番組で「(イスラム教の聖典)コーランは世の中が平等だと述べているが、そんなバカげたことは言うな」などと発言した。イスラム教の預言者ムハンマドをおとしめる内容の発言も飛び出し、イスラム諸国が猛反発している。シャルマ氏は5日に報道官の職務を解かれたという。
インドの報道メディアによると、イラン、イラク、クウェート、サウジアラビアなど中東諸国に加え、インドネシアなども非難を示している。パキスタンのシャリフ首相は5日に「我々の最愛の預言者に関する有害なコメントを非難する。モディ政権は宗教の自由を踏みにじり、イスラム教徒を迫害している」とツイッターに投稿した。
インドは人口の約8割をヒンズー教徒が占め、与党BJPはヒンズー至上主義を掲げている。モディ政権は2019年10月にイスラム教徒が多い北部ジャム・カシミール州を政府の直轄領にしたことで、少数派のイスラム教徒と衝突した。モディ政権がイスラム教徒を軽視しているとの見方が広がると、中東諸国などとの経済や外交関係に影を落としかねない。


中国、イスラム教指導者を標的に 新疆のウイグル族弾圧

2021年5月17日

ジョール・グンター、BBCニュース

画像提供,GETTY IMAGES

画像説明,新疆・喀什(カシュガル)の男性が朝の祈りへと向かった

中国政府が西部・新疆地区で2014年以降、イスラム教の指導者(イマーム)など同宗教の関係者630人以上を収監または拘束しているとの新たな調査報告を、ウイグル族の人権団体がまとめた。

人権団体「ウイグル人権プロジェクト」(UHRP)は、調査によって、イマーム18人が拘束中または拘束の直後に死亡したことを示す証拠が見つかったとしている。BBCは、この調査結果をUHRPから入手した。

調査によると、拘束されたイマームの多くは、「過激思想を広めた」、「社会秩序を乱す目的で人を集めた」、「分離運動を扇動した」といった、大まかな容疑がかけられていた。

イマームの親族らは、そうした容疑の裏で実際には、説教をしたことや、礼拝集会を開いたこと、単にイマームとして振る舞ったことが、犯罪とみなされていることが多いと話した。

今回の調査でUHRPは、裁判記録や家族の証言、公的および民間のデータベースにあるメディア記事を手がかりに、計1046人のイマームの消息を追った。その大多数がウイグル人だった。

1046人は全員、ある時点で拘束されたとみられる。だが、それを確認できる証拠がないケースも多い。新疆地区では、中国政府が情報を厳しく統制しているからだ。

証拠が見つかった630件では、少なくともイマーム304人が、ウイグル族の集団拘束と関係の深い「再教育」施設ではなく、刑務所に送られたとみられる。

刑期に関しては、裁判の記録や証言から、新疆における厳罰傾向がみて取れる。96%が5年以上、26%が20年以上で、うち14人は終身刑だった。

画像提供,GETTY IMAGES

画像説明,新疆・カシュガルの閉鎖されたモスク。鉄条網が張られ、監視カメラが設置されていた(2019年6月)

ウイグル族の活動家アブドワリ・アユップさんによる調査、「新疆被害者データベース」、「ウイグル移行期正義データベース」を基にしたこうした数字は、決して全体を反映したものではない。新疆にいると推定されるイマームのうちの、ごくわずかでしかない。

それでも、新疆で宗教関係者を特別に標的にしている現状が浮かび上がる。そして、中国がウイグル族の宗教的伝統を壊し、ウイグル族を漢族の文化に同化させようとしているとの見方を、補強する内容となっている。

中国は、そうした見方を否定している。新疆のいわゆる「再教育」プログラムは、ウイグル族などイスラム教徒の少数民族の中にある、過激主義を根絶するためとしている。

宗教と過激主義の関連付け

中国は新疆で、ウイグル族などのイスラム教徒を100万人以上拘束しているとみられている。新疆は中国北西部に位置し、チュルク語系のさまざまな民族が暮らす広大な地域だ。その新疆で、中国は強制労働や強制不妊手術、強姦(ごうかん)などの人権侵害をしていると非難されている。

新疆で拘束された人のほとんどは「再教育」施設に送られる。そして、刑務所に似たこの収容所で、起訴されないまま不定期間、拘束される。一方で、正式に刑期が言い渡される人もいる。刑期の長さと厳しさは、2017年から急激に増している。

画像説明,中国(CHINA)西部の新疆地区(XINJIANG REGION)には多くのウイグル族が暮らしている

拘束や訴追に関する記録で、公開されているものはきわめて少ない。しかし、公開されているものからは、中国が新疆でいかにして、ごく普通の宗教的表現を過激思想や政治的な分離主義と結び付けてきたかが読み取れる。

新疆・哈巴(カバ)のイマーム、オケン・マフメトさん(51)の逮捕通知書には、容疑が「過激思想を広めた」と記されている。しかし、「新疆被害者データベース」が照合した彼の家族の証言によると、イスラム教の礼拝所モスクで金曜日の礼拝を導いたことと、結婚式を執り行ったことを理由に、逮捕されたという。

マフメトさんの当初の拘束通知書には、「結婚の誓いの朗読、教育、公的統治に関する国の法律に違反するよう人々をそそのかし、過激思想に関係するものを広めた」ことが拘束の理由だと書かれている。マフメトさんが裁判で言い渡された刑期は8~10年だったとされる。

画像説明,オケン・マフメトさんの拘束通知書。罪状は「過激思想を広めた」などとなっていた(新疆被害者データベースより)

哈密(ハミ)で暮らしていた国公認のイマーム、バキサン・ミルザンさん(58)も、「過激思想を広めた」として逮捕された。2018年8月に捕らえられ、2019年5月に、ビンチュアン・ウルムチ刑務所での禁錮14年の刑が言い渡されるまえ、拘束施設で勾留された。ミルザンさんの家族は、彼の唯一の罪はイマームとしての責任を果たしていたことだと話す。

阿図什(アルトゥシュ)の著名学者でイマームのアビディン・アユプさんも、罪を犯したとされる。しかし、その罪状を知る手がかりは、漢族の当局者が被告となった別の事件の長たらしい裁判記録に出てくる、ほんの数行の記述だけだ。この当局者は、アユプさんの逮捕後、拘束施設の病棟でアユプさんの息子がアユプさんに面会するのを許可したとして起訴された。その裁判記録に、2017年の拘束時88歳だったアユプさんのことが「宗教的過激主義者」と書かれているのだ。

アユプさんのめいのマリアム・ムハマドさんは、アユプさんのことを、「優しく、仕事熱心で、慈悲深い人で、知識と教養があり、若者に宗教だけでなく学校のすべての教科を勉強するよう勧めていた」とBBCに語った。

現在アメリカで暮らすムハマドさんは、アユプさんが逮捕されてから、親類の60人近くが拘束されていると話した。その中には、彼女の夫と、アユプさんの8人の子ども全員も含まれているという。

画像説明,漢族の当局者が被告となった事件の裁判記録(抜粋)。アビディン・アユプさんの罪状を知る唯一の手がかりだ

新疆では「犯罪とはいえない犯罪」で、「薄弱な法的根拠」に基づいて、過激思想という罪名が使われる――。米ジョージ・ワシントン大学で中国の法律を研究するドナルド・クラーク教授は、こう指摘する。

「『過激思想を広めた』というのを正当な罪状として認めるかどうかはいったん脇に置くとして、問題なのは、その罪状がもっともだと思わせるだけの事実があるかだ」と教授は述べた。「ひげを生やしている、酒を飲まない、外国を訪ねるといったことが犯罪とされていることからすると、そうした事実はなさそうだ」。

イマームたちが標的にされたのは、「地域の人々を結束させる力をもっているからだ」と、人権団体「ウイグル人権プロジェクト」のシニア・プログラム・オフィサー、ピーター・アーウィンさんは話した。

「国はイマームの影響力を理解している。それゆえ長い間、慎重に対応してきた」とアーウィンさんは言う。「ここ数年で実施されている拘束や収監は、ウイグル族の文化と宗教の締め付けを目的に、30年にわたって続けられてきた抑圧の極みだ」。

一方、中国政府の報道官は、新疆が「宗教的信仰をめぐって、前例がないほどの自由に恵まれている」とBBCに説明した。

「新疆では『非急進化』の取り組みを進め、宗教的過激思想の拡散をしっかり抑え込んできた。そのことで、世界の『非急進化』の取り組みにも大きく貢献してきた」

画像説明,アビディン・アユプさんは2017年に拘束された。現在は拘束施設の病棟にいると、アユプさんの家族はみている

「再教育」のはじまり

中国北西部でチュルク語系の民族が標的になるのは、新しいことではない。1950~1970年代、イスラム教徒の少数民族は、長期間にわたって抑圧された。コーラン(イスラム教の聖典)が焼かれ、モスクや墓地は荒らされ、伝統的な服装や髪型が禁止された。

1980年代は、比較的オープンな復興期だった。傷ついたモスクは修復され、新たなモスクが建設された。宗教的な祝祭が許可され、イマームらの移動も認められた。ウイグル族の著名学者ムハマド・サリ・ハジムさんによって、コーランが初めてウイグル語に訳された。

ところが1990年に新疆・巴仁(バレン)で、ウイグル族の武装集団による暴動が発生中国当局は弾圧に乗り出し、その後20年にわたって締め付けを徐々に強めていった。地域の有力者とみられていたイマームは次第に、国家への忠誠を示すよう求められるようになった。

2000年代初めには多くのイマームが、現在の集団的「再教育」プログラムの前身となる、公式教育課程で学ぶことを強いられた。人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」によると、2001~2002年には、イマームなどの宗教関係者約1万6000人が「政治的再教育」を受けたという。

その1人が、イマームのトゥルスンさんだ。彼のめいによると、トゥルスンさんは信徒仲間のため、アラビア語の祈りの言葉をウイグル語に訳したとして、2001年に初めて拘束された。

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画像説明,新疆・カシュガルのモスクでは2014年6月、イマームが殺害される事件が発生し、中国軍の兵士が出動した

トゥルスンさんは、「労働を介した再教育」のための収容所で2年を過ごした。中国国外にいる彼のめいは、これがその後20年にわたる、国家の手による辛苦の始まりになったと、BBCに話した。トゥルスンさんは2002年、労働収容所から解放された。しかし、警察から絶えずいやがらせを受け、2週間の「学習」へとしょっちゅう連れ去られたという。2005年には再び拘束され、4年の実刑判決を受けた。

「私たちには裁判所からの通知はなかった」とトゥルスンさんのめいは話した。「私の家族が警察署に行っておじの消息を尋ねると、警察は実刑判決の情報と刑務所の住所を手書きしたメモを差し出した」。

トゥルスンさんは2009年に刑務所を出所した。だが新疆地区のトップに、強硬派で知られる政治家の陳全国・共産党委員会書記が就任し、ウイグル族への圧力を強める政策が取られるようになった2017年、またも拘束された。

他のイマームらのケースと同様、トゥルスンさんの場合も、家族がその後そろって当局の標的にされたと、めいは話した。めいは、その時までには中国を去っていたという。

「おじとおじの妻が逮捕されたという知らせを受け、その後に私の母と親類の多くも逮捕されたと聞いた。14歳以上はみんな連れて行かれた」と彼女は話した。「この4年間、みんなの行方、特に母の行方について、情報を探し続けている」。

画像説明,イマームに適用される罪状として多いのが「過激思想を広めた」(propagating exremism)というものだ

1カ月ほど前、トゥルスンさんのめいは、母親が13年、弟が5年の実刑判決をそれぞれ受けたと知った。ただ、罪状は不明だ。父親は「違法な説教」と「分離主義」を理由に2008年に言い渡された終身刑で服役中だと、彼女は述べた。

「母親はただの主婦だったのに、13年もの刑が言い渡された」と彼女は言った。「おじがどれだけ長い刑で刑務所に入れられているのか、想像もできない」。

おじたちが標的にされたのは「見えない権威があるため」だと、彼女は付け加えた。「国は何としても、おじたちを参らせ、破滅させようとしている。宗教指導者はもちろん、イスラム教を静かに実践し、ウイグル族であることに誇りを持っている人たちに対しても同じだ。国はそうした人たちを見つけ出し、破滅させようと懸命になっている」。

拘束された人の中には、二度と戻らない人もいる。データベースに名前が記載されていた18人のイマームは、拘束中または拘束から間もなく、死亡したとされた。

2人の子どもの父親で、政府公認の新疆イスラム教経学院を卒業後、国が認めた宗教誌の編集長を務めていたヌルガジ・マリクさんは、拘束中の2018年11月に亡くなったとされる。真偽不明の報道によると、中国当局は家族に死亡を伝えたが、遺体は引き渡さなかった。これは、同種の報道でもみられる状況だ。マリクさんの友人と親類は、遺体がないまま、カザフスタンで葬儀を行った。

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画像説明,新疆・カシュガルのモスクで祈る人たち(2014年7月)

ひそかな祈り

2019年後半になって、「再教育」収容所のネットワークに外国の厳しい目が向けられるようになると、中国は拘束していた人はすでに全員、解放したと説明した。かなりの人数が解放され、自宅監禁や、新疆で他の管理状況下に置かれたとされた。しかし、複数の人権団体は多くの人について、単に正式な刑務所に移されただけとしている。

最初からずっと刑務所に入れられていた人が何千人もいたことを示す証拠もある。米紙ニューヨーク・タイムズなどの報道によれば、新疆では2017年と2018年に収監率が爆発的に上昇。それまでと比べ20万人近く多い、23万人以上が検挙されたという。

中国政府のデータによると、2017年の中国全土における犯罪容疑者の逮捕総数のうち、21%が新疆での逮捕だった新疆の人口は、中国全体の約1.5%でしかない。

正式な実刑判決は「再教育」と異なり、記録をたどることができるはずだ。しかし、「新疆被害者データベース」調査員のジーン・ブニンさんは裁判記録が「どこにも見当たらない」と話す。

ブニンさんによれば、新疆では2018年に7万4348件の犯罪事件が記録されているが、刑事裁判の判決が確認できるのは7714件にとどまる。「過激思想を広めた」、「分離運動をあおった」など、ウイグル族の宗教関係者に適用されることが多い罪状をめぐる裁判の判決がほとんど見つからないことからは、中国がそれらの記録を意図的に除去している様子がうかがえる。

細部に及ぶ正式な記録も、いくらかある。それらからは、犯罪とされたことがいかに無害かに驚かされる。

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画像説明,破壊されたモスクは、全体の3分の2に当たる約1万6000棟に上ると専門家はみている

2018年に出された判決の1つでは、「過激思想を広めた」として10年の刑で服役中だったウイグル族の農民、イスマイル・シディクさん(当時55)が、「刑務所の共同部屋でイスラム教の祈りをするため、見つかりにくく単純化した方法を用いた」として、刑期を2倍に増やされたことがわかる。この判決は現在、政府の記録からは削除されているが、「新疆被害者データベース」が保存している。

シディクさんは実質、刑務所でひそかに祈っただけだ。収監仲間に通報され、「違法な宗教活動」と「民族的な憎悪と差別の扇動」の罪に問われた。後者の罪状は、シディクさんがウイグル族同士で密告し合うべきではないと大声をあげたとされることに対して適用された。彼は2038年に解放される予定だ。

刑務所ではなく収容施設で拘束された人のほうが、数カ月や数年で解放される可能性は高い。だが、新疆においては、解放が自由を意味するとは限らない

新疆から逃がれたウイグル族のメメトさんは、長年平穏にイマームを務めてきた父親が2017年に拘束されたと、BBCに話した。彼はここ数年、家族の近況を、新疆にいる知人女性から聞いていたという。その女性はメメトさんの家族と関係が薄く、中国のメッセージアプリ・徴信(ウィーチャット)で海外にメッセージを送っても、安心できていたとされる。それでもメメトさんは4年間、父親の状態に関する情報は、ほぼまったく得られていなかった。

ところが最近になって、メメトさんは父親が解放されたと聞いた。そして、何年かぶりに話をしたいと願った。彼は前述の知人女性に、父親を見つけ出し、女性の電話を使って会話をさせてくれるよう頼んだ。

約束の日、メメトさんは知人女性から、ウィーチャットのメッセージを受信した。父親を見つけた、でも息子と話をしないほうがいいだろうと言っていた、という内容だった。メッセージが届いた後、知人女性はメメトさんをブロックし、二度と連絡が取れなくなった。

中国のウイグル族弾圧は「地獄のような光景」=アムネスティ報告書

2021年6月11日

ジョール・ガンター、BBCニュース

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画像説明,中国・新疆地区における少数民族への「弾圧」に対し、国際的な批判が起きている(イスタンブール、2月26日)

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは10日、ウイグル族などイスラム教徒の少数民族が多く暮らす中国北西部の新疆地区で、中国政府が人道に対する罪を犯しているとする報告書を公表した。

報告書でアムネスティは、中国政府がウイグル族やカザフ族などイスラム教徒の少数民族に対し、集団拘束や監視、拷問をしていたと主張。国連に調査を要求した。

アムネスティ・インターナショナルのアニエス・カラマール事務局長は、中国当局が「地獄のような恐ろしい光景を圧倒的な規模で」作り出していると非難した。

「ものすごい人数が収容所で洗脳、拷問などの人格を破壊するような扱いを受け、何百万人もが強大な監視機関におびえながら暮らしており、人間の良心が問われている」

カラマール氏はまた、BBCの取材に対し、国連のアントニオ・グテーレス事務総長が「責任を果たしていない」と批判した。

「(グテーレス氏は新疆の)状況を非難せず、国際調査も指示していない」

「国連がよって立つ価値を守り、人道に対する罪に対して声を上げる責務が彼にはある」

報告書の中身

報告書は160ページからなり、かつて拘束されていた55人への聞き取り調査を基にしている。中国政府について、「少なくとも以下の人道に対する罪」を犯していたとし、「国際法の基本ルールに違反する、収監など厳格な身体的自由の剥奪」、「拷問」、「迫害」を挙げている。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチも、4月に同様の報告書を発表。中国政府は、人道に対する罪に対する責任があるとした。

欧米の一部の国や人権団体も、中国が新疆地区で、チュルク系民族に対するジェノサイド(集団殺害)を進めていると非難している。ただ、中国の行為をジェノサイドとしていることについては、反論も出ている。

今回のアムネスティの報告書をまとめたジョナサン・ロウブ氏は10日の記者発表で、報告書について、「ジェノサイドの犯罪が行われたすべての証拠を明らかにはしたものではない」、「表面をなぞっただけだ」と説明した。

中国は新疆地区で人権侵害はないと、一貫して主張している。

<関連記事>

拘束や拷問の疑い

専門家らは、中国が新疆地区で少数民族への弾圧を始めた2017年以降、約100万人のウイグル族などのイスラム教徒が拘束され、さらに数十万人が収監されているとの見方でほぼ一致している。

報道では、刑務所や収容所で身体的、心理的拷問が行われているとされている。

人口管理のため、中国当局は強制不妊手術や中絶、強制移住を実施しているとも言われている。宗教や文化に基づく伝統の破壊を目的に、宗教指導者を迫害しているとの批判も出ている

中国はそうした指摘を否定。新疆地区の収容所は、住民らが自発的に職業訓練を受けたり、テロ対策として過激思想を解いたりするためのものだと主張している。

アムネスティは、テロ対策は集団拘束の理由にならないと報告書で反論。中国政府の行動は、「新疆の人口の一部を宗教と民族に基づいてまとめて標的にし、イスラム教の信仰とチュルク系民族のイスラム教文化の風習を根絶するため厳しい暴力と脅しを使うという明らかな意図」を示しているとした。

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画像説明,中国政府はウイグル族などの少数民族を100万人近くを、新疆地区の収容所で拘束していると非難されている

アムネスティは、新疆地区で収容所に入れられた人が「止まることのない洗脳と、身体的かつ心理的拷問を受けている」とみられるとした。

拷問の方法としては、「殴打、電気ショック、負荷が強い姿勢を取らせる、違法な身体拘束(「タイガーチェア」と呼ばれる鉄製のいすに座らせ手足をロックして動けなくするなど)、睡眠妨害、身体を壁のフックにかける、極めて低温の環境に置く、独房に入れる」などがあるとした。

タイガーチェアを使った拷問は、数時間~数日にわたることもあり、その様子を強制的に見せられたと証言した人もいたという。

アムネスティはまた、新疆地区の収容制度について、「中国の司法制度や国内の法律の管轄外で運営されている」とみられると説明。収容所で拘束されていた人々が刑務所に移されたことを示す証拠があるとした。

中国へのさらなる圧力

今回の報告書の内容の多くはこれまで報道されてきたものだが、新疆地区での行動をめぐって、中国に国際的な圧力をかけるものになるとみられる。米国務省はこれまでに、ジェノサイドが行われていると表現。イギリス、カナダ、オランダ、リトアニアの議会も、同様の表現を含んだ決議を採択している。

欧州連合(EU)、アメリカ、イギリス、カナダは3月、中国当局者に制裁を課した。これに対し中国は、それらの国の議員や研究者、研究施設などを対象に報復的な制裁を実施した。

中国は国際刑事裁判所(ICC)の署名国になっておらず、同裁判所の権限が及ばないため、国際機関が中国を調査する可能性は高くない。一方、国連の国際司法裁判所(ICJ)が事件として取り上げても、中国は拒否権を発動できる。ICCは昨年12月、事件として取り上げないと発表した。

ロンドンでは先週、一連の独立した聞き取り調査が実施された。イギリスの著名法律家サー・ジェフリー・ナイスが中心となり、ジェノサイドの訴えについて調べるものだった。

(英語記事 China 'has created dystopian hellscape' in Xinjiang

参考文献・参考資料

イスラム「侮辱」あわや暴動=中国・パキスタン関係に不協和音 (msn.com)

イスラム教を侮辱した中国人男性勾留 パキスタン地裁 暴徒から守るために逮捕した可能性も (kagonma-info.com)

中国籍の男性、「イスラム教への冒とく」容疑で逮捕か=最高で死刑も―パキスタン (msn.com)

欧米、中国に制裁を発動 ウイグル族への「人権侵害」で - BBCニュース

インド与党のイスラム侮辱 中東など15カ国が非難 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

中国、イスラム教指導者を標的に 新疆のウイグル族弾圧 - BBCニュース

中国のウイグル族弾圧は「地獄のような光景」=アムネスティ報告書 - BBCニュース

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