タダノツカサ

人生の経験のうち大半を愚行に費やす者 | 20字小説を書く人 | 時々音楽を語る | …

タダノツカサ

人生の経験のうち大半を愚行に費やす者 | 20字小説を書く人 | 時々音楽を語る | 稀に本の感想 | 合言葉は「Have a good day!」

マガジン

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  • ただの20字小説集

    「限られた文字が紡ぎ出す、無限なる物語」 シロクマ文芸部応募作品を含めた、これまで発表している20字小説をまとめています。

  • 父の背中

    父と歩いてきた日々を、忘れないための生きた証。

記事一覧

固定された記事

ひとり折り返し地点に入る

「えー皆さん、たぶんご存じかと思いますが、5月15日をもってタダノ君が退職することになりました」 4月16日、私が今勤めている会社を辞めるまで、丸一ヶ月を切った…

タダノツカサ
3週間前
70

空白と脱力で溶かした一週間の結果

気づけば、東京に戻ってから、丸一週間が経過していた。 この日に至るまで、私は大きいようで小さい一つの悩みに悶えていた。いつものように、此処での執筆活動の最中、日…

タダノツカサ
21時間前
32

歩き出すきっかけは些細なことでもいい

例えば、自宅から少し離れた行きつけのショッピング街まで歩く時、 もしくは、横浜駅の東口からランドマークまでの周辺を散策する時、 あるいは昼休みに、職場近くを流れ…

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迷走の立寄地 | 20字小説

また帰っておいで。いつでも待ってるから。

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迷走から始まり、瞑想して始まる

ここ数日、デスクの片付けや模様替えに勤しんでいた。 特に大まかな理由がなければ、明確な完成なるイメージすらまともに思い描いていない。それは、今現在もなお進行中で…

32

首都高 | 20字小説

二人を乗せて走らす物語に終着点などない。

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「持ってけ泥棒!」とは言わないけれど

引っ越しした翌日の朝、一本の着信が入った。 この日、某大型家具店のネット通販で注文しておいた物が入る予定でいた。もしかしたら、搬入予定時刻をお知らせする旨の電話…

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GW中の引っ越しまでの奮闘記?

思えば、自分が今の住居に引っ越ししたのは、このゴールデンウィークの最中であった。 「新生活」という言葉が絡んでくる3月と4月は、引越し業者にとっては繁忙期という…

42

窓より先の果て | 20字小説

「おばあちゃん、ここが新しいおうちだよ」

30

ランドセルの贈り主は祖母だった

私が小学生だった頃、学校に通うときにいつも背負っていたランドセルは、祖母が買ってくれたものだった。 母から時おり、祖母の話をするたびに、そう聞かされていたもので…

43

あなたが戻るべき場所へと帰っていく

私には現在、4つの腕時計を所有している。 その全てを、思いがけないことで無くしてしまわないよう、専用の収納ケースに収めている。 収納ケースは、全部で10本まで入…

42

余計な情は要らない

東京の家に着いたら、この曲を聴かずとも頭いっぱいに満たされるように流れ込んでくるだろう、おそらく。 最終出勤日を終えた日、ひとり会社を後にしてから家に着いた後で…

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孤高への疾走 | 20字小説

群衆など関係ない。お前はお前の道を行け。

34

母のスマホを自分の手で機種変更する

先日、母のスマホを新調した。 およそ3年ほど使い続けていた母のスマホは、この頃使いにくくなっていると悩まされていた。 各々のアプリがアップデートを繰り返していく…

34

歓迎会 | 新生活20字小説

この日を境に一変することを知る由もない。

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ぬるくなったビール | 炭酸刺繍

真夏の午後を通り過ぎた先 深い痛みを覚えてしまった 二度と味わうことはないと そう言い聞かせておいては 瞬く間に思わず目がくらみ 一つの泡沫におぼれてゆく 過ぎ…

タダノツカサ
2週間前
36
固定された記事

ひとり折り返し地点に入る

「えー皆さん、たぶんご存じかと思いますが、5月15日をもってタダノ君が退職することになりました」 4月16日、私が今勤めている会社を辞めるまで、丸一ヶ月を切った。 その日の朝、私が勤めている会社の営業所では、普段から滅多に行われることのないミーティングが行われた。そこで所長は皆の前で、私が退職する旨を通知したのだった。 すでに私は、今から1、2ヶ月ほど前に退職願を所長に提出している。そして会社がそれを受理したことを証明するかのように、退職証明書や失業保険を申請するのに必

空白と脱力で溶かした一週間の結果

気づけば、東京に戻ってから、丸一週間が経過していた。 この日に至るまで、私は大きいようで小さい一つの悩みに悶えていた。いつものように、此処での執筆活動の最中、日に日に異変を感じるようになった。 それが何かと云うと、うまいことまとめられるような言葉が、どうも浮かんでこなくなってしまったということである。 以前までにいた、実家の個人部屋に篭って綴っていた時と比べ、東京の自宅で綴っている方が、勢力が明らかに衰えていると自覚している。 そして、なぜ腕が落ちているのかという原因

歩き出すきっかけは些細なことでもいい

例えば、自宅から少し離れた行きつけのショッピング街まで歩く時、 もしくは、横浜駅の東口からランドマークまでの周辺を散策する時、 あるいは昼休みに、職場近くを流れる河川の堤防をひとりで歩く時、 他に…空から降りてくる飛行機を間近で見渡せる公園を散歩する時、 私は決まって、彼らの楽曲を不思議と聴き込んでしまう。 どんな場所にいても、空模様や心模様がスッキリとしていたり、 逆にそうでなかったりしても。 何も無くても、何一つ満たされることがなくても。 歩き出すことがで

迷走の立寄地 | 20字小説

また帰っておいで。いつでも待ってるから。

迷走から始まり、瞑想して始まる

ここ数日、デスクの片付けや模様替えに勤しんでいた。 特に大まかな理由がなければ、明確な完成なるイメージすらまともに思い描いていない。それは、今現在もなお進行中でもあったりする。 机自体の向きであったり配置などと、細かい部分で気に入らない一方で、個人的に「いいな」と思った機材を、片っ端から購入してみたりしている。 ただ、ほとんど頭の中で理論的に考えようとせず、自身の脊髄反射で行動してばかりいる。我ながら、呆れた手段に出し続ける日々を過ごしていた。 いずれ、自分の思い描い

首都高 | 20字小説

二人を乗せて走らす物語に終着点などない。

「持ってけ泥棒!」とは言わないけれど

引っ越しした翌日の朝、一本の着信が入った。 この日、某大型家具店のネット通販で注文しておいた物が入る予定でいた。もしかしたら、搬入予定時刻をお知らせする旨の電話かと思いつつ、スマホを手に取った。 画面には、見に覚えのない電話番号が表示されている。それも携帯番号ではなく、市外局番から始まるものだった。この場でどう考えても、トラックドライバーの携帯であるとは考えにくい。そう察知した私は、恐る恐るその電話に応じた。 相手先は、私が先日までノイローゼ気味になりながら、引っ越し作

GW中の引っ越しまでの奮闘記?

思えば、自分が今の住居に引っ越ししたのは、このゴールデンウィークの最中であった。 「新生活」という言葉が絡んでくる3月と4月は、引越し業者にとっては繁忙期ということもあり、相場も他と月と比べて割高だ。 土日や月末も、人気が集中しやすいうえに日程が思うように取れず、料金も言うまでもなく比較的高めの設定となっている。 新居先が決まったのは、大半の企業や学校が、新年度に切り替わろうとしている時期である。 前述のことを踏まえ、業者と電話やメールでやりとりしながら悩みに悩んだ末

窓より先の果て | 20字小説

「おばあちゃん、ここが新しいおうちだよ」

ランドセルの贈り主は祖母だった

私が小学生だった頃、学校に通うときにいつも背負っていたランドセルは、祖母が買ってくれたものだった。 母から時おり、祖母の話をするたびに、そう聞かされていたものである。しかしながら私自身、祖母がどういう人物であったかを、まったく覚えていない。 どんな食べ物が好みで、どんな趣味をもっていたかはおろか、どんな声色にしてどんな口調だったのかさえ尚更だった。もし、祖母自身が映ったビデオテープが残っていれば、いくらか見当はつけられるかもしれない。 だが生憎と、そういった記録なる物は

あなたが戻るべき場所へと帰っていく

私には現在、4つの腕時計を所有している。 その全てを、思いがけないことで無くしてしまわないよう、専用の収納ケースに収めている。 収納ケースは、全部で10本まで入る仕様となっている。因みに私自身、これといってマニアと云えるほどのコレクターではない。だが、いずれ何かしらの形で増えていくであろうと思い、敢えてたくさん収められる物を用意した次第である。 一つ目は、主にプライベートを中心に身に着けているカシオの青い電波時計と、 二つ目は、数年前にAppleの初売りで買ったアップ

余計な情は要らない

東京の家に着いたら、この曲を聴かずとも頭いっぱいに満たされるように流れ込んでくるだろう、おそらく。 最終出勤日を終えた日、ひとり会社を後にしてから家に着いた後で、母と合流した。 降り頻る雨の中、数年ぶりに一昔前に家族でよく食べに行っていた老舗のラーメン屋へ車で向かい、お互いに好き好んで食べていた塩ラーメンと餃子を食す。 「とうもころしが残っちゃったよぉ〜」と笑いながら、一通り麺を食べた後に、スープの底に残ったコーンをレンゲで掬っては頬張る母。 帰りの道中で、弟が先日会

孤高への疾走 | 20字小説

群衆など関係ない。お前はお前の道を行け。

母のスマホを自分の手で機種変更する

先日、母のスマホを新調した。 およそ3年ほど使い続けていた母のスマホは、この頃使いにくくなっていると悩まされていた。 各々のアプリがアップデートを繰り返していくうちに、容量がいっぱいとなってしまう他、使い始めの時よりも動きがニブイと嘆いていたらしい。 母は昨年あたりから、そろそろ機種変更をするべきだろうかと、検討していたところであった。だが案の定、各機種の異常な値段の高さに抵抗を覚えてしまい、この日に至るまで変えず仕舞いとなってしまう。 元から機械音痴である母は、本体

歓迎会 | 新生活20字小説

この日を境に一変することを知る由もない。

ぬるくなったビール | 炭酸刺繍

真夏の午後を通り過ぎた先 深い痛みを覚えてしまった 二度と味わうことはないと そう言い聞かせておいては 瞬く間に思わず目がくらみ 一つの泡沫におぼれてゆく 過ぎ去ってしまった時間は 二度と取り戻せやしないと いつだったかそう口にした あなたが置いていったもの ガラス製のジョッキの中に 飲み干し損ねたほんの僅か 輝きがとっくに消え失せた そこには酸いも甘いもなく これからの未来を暗示する ような抜け切った苦みだけ 記憶の底に焼き付いたまま 大人