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アダムスとして生きる -不謹慎でめちゃくちゃな魅力- -アダムスファミリー1(実写版)- #031

「アダムスファミリーを知らないのは、人生を損してますよ」

と、ある人に言われた。

その人はアダムスファミリーが大好きで、何度も繰り返し見ており、先日もテレビで再放送するにあたって、吹き替えの声優が違うから楽しみなのだ、と話していた。

何がそんなに面白いのか、と聞くと「いや、もうすごいんです。すべて」と、全然わからない。

私は映画のタイトルや、あの有名なオープニングの曲は知っていた。

妻にそのやりとりを伝えると、彼女は言った。

「アダムスファミリーを知らないのは人生の損だよ!」

妻もか。

そうだったのか。いや、妻がそこまでアダムスファミリーを好きだったことを今まで知らず、そんなにも熱意があったことに驚いたのだったが、身近な人に、こんなにも立て続けに、熱心に薦められるとは。


そして、私は観た。


なぜ今まで観なかったのだろう。私は、人生を損していた。アダムスファミリーの世界は、あまりに魅力的ですごいものだった。


アダムス家は、当主のゴメズ、魔女の血を引くモーティシア夫人、ウェンズデーとパグズリーの姉弟、夫人の母で同じく魔女のグラニー、フランケンシュタインのような使用人のラーチ、手首から先の部分だけで賢く動き回るハンド、の7人家族だ。

彼らは不気味で大きな洋館に住んでおり、不幸なこと、邪悪なこと、不気味で忌まわしいようなものが大好きである。映画ではそれを、恐ろしいもの、というよりはとてもユーモラスに描かれている(と思う)。

彼ら一族の絆は強く、映画は、25年前に失踪した当主ゴメズの兄、フェスタ―が家に戻ってくるドタバタ騒動、という話である。

私はその筋書きそのもの、というより、家族同士の細かいやりとりに衝撃を受けた。(以下、訳やセリフは正確ではない)。


モーティシア夫人が夫のゴメズを心配して言う

「あの人時々血を吐くのから、心配なの。…前は毎日吐いてたのに」

そっちか。そんな気遣いの仕方が、今まであっただろうか。

そんな夫ゴメズは、妻が大好きである。夫は、愛する妻に言う。

「アンハッピーかい?ダーリン」
「ええ、あなた。不幸のどん底よ」

二人ともとても幸せそうな表情だ。

親子の関係も、独特である。

長女が弟と遊ぼうとして、ナイフを持っていると、モーティシアが「そんなのだめでしょ」とナイフを取り上げる。

それはそうだろう。ナイフで遊ぶなど危なすぎる。

「こっちにしなさい」

モーティシア夫人は、あろうことか大きなナタ(斧)を渡すのである。

弟のパグズリーの部屋は、道路から盗んできた「STOP(とまれ)」の標識で一杯である。その標識が道路からなくなるとどうなるかは想像にお任せするが、そんな息子(保護観察中らしい)を、父は誇りにしている。


彼らは「常識的」な意味では、不謹慎でむちゃくちゃではあるが、基本的には悪気や悪意はない。ただ先祖代々そういうものが好きで、自分達それぞれのやりたいことに対して一途なのである。

そういう意味で、私も含め、つなまよ日記に出てくる人達と似ていると言えなくもない。


映画を観た後寝て起きると、私の髪の毛にガムがくっついていた。食べたまま寝てしまったのだ。なかなかとれなくて、髪の毛はめちゃくちゃだ。

私もアダムスに近づいたかもしれない、と少し幸せな気分である。

(追記1)
イラスト担当のmaemuki氏が今回のイラストでこだわったのは、「ウェンズデーは笑っていなくて、パグズリーはふにゃっと笑っている。フェスタおじさんはニカっと笑っているところ。アダムス家はお墓が大好きだからぜひ描きたかった」とのこと。相当、アダムスファミリーが好きらしい。

一番好きなシーンはウェンズデーが手をクロスして寝るところで、この就寝ポーズはウェンズデー役のクリスティーナ・リッチ本人による案とのこと。参考サイト

私が一番好きなシーンは、ウェンズデーとパグズリーの姉弟が2人で血まみれ姿になってアダムス家以外の父兄をドン引きさせる学芸会のシーンである。そのイラストも描いてくれた。

(ちょっとマジメな?追記)
どこでも通用する「常識」や「普通」というのはない、と私は考えている。

そこに集まっている人たちの中での、多数派の考えや行動パターン、誰かによって決められたルールがあるだけである。人がつくった社会や集団のルールや法律があれば、「それらへの違反」というのはある。道徳という観点からの善悪という考えもあるだろう。

でも、それはいつの文化や時代でも正しいわけではない。別の集団に行けば別のルールがある。たった数年前までは、いろいろな場所でタバコが吸えたし(私は吸わないが)、学生がお酒も買えた(高校生の制服で飲んでいたのは内緒)。裸で過ごすのが「常識」である文化だってある。

もしあなたが周囲の「常識」「普通」と違っていても、それは「生きにくく」はあるかもしれないが、あなたが「間違っている」わけではない。「違いが間違いではない」とみんなが思える世の中になってほしい、と思う。

だから、みんなアダムスファミリーを観るといいのだ。

2023年11月23日執筆、2023年12月4日投稿

最後にいちおう、日本語字幕や吹き替えのあるBlu-rayのリンク貼りましたが、僕はTSUTAYAでレンタルして観ました。

日本語吹き替えや字幕があるものが何故か高すぎる。安く買いたい場合は中古のDVDがいいかも。

金曜ロードショーを待つのもありです(by妻)

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