第一回Kino-Kuni文学賞で佳作をいただいた

 本日、第一回Kino-Kuni文学賞の最終発表が公式サイト上で行われた。そして、ありがたいことに長編小説『おやすみの代わりに爪痕を』で佳作をいただいた。

 同時に応募した他の作品の中で唯一未完成のまま送ったものだったので、正直、喜びよりも「まさかこれが選ばれるとは」というおどろきの方が大きかった。

 作品名・作者名とともに、選考委員の方の選評が掲載されていたのだが、その中に次のような言葉があった。

一つ一つのエピソードを綺麗に着地させ、丁寧に次のエピソードに行くことができる。
男と女の感傷についてかたる文章は、ややもすると情感に訴えすぎて外連味(けれんみ)がでるが、この作者はよく制御している。

 会社員時代、限られた時間の中で細部を作り込みながら一年かけて書き溜めた作品だったので、そこを汲み取っていただけたことが何よりもうれしかった。また、文学に精通した人から見た「私の小説の魅力」を言葉というはっきりとした形で知ることができたのも大きかった。

 もうひとつ心に残ったのは、発表に際して主催団体が記された文章の一部分だ。以下に引用させていただく。

すべての作家業に言えることですが、「必ず売れるジャンル」があり、作家の誰もがそこを狙うようになった時、文化は終焉に向かいます。

 いま、これまでの小説の常識を大幅に逸脱したまったく新しい文体を開発中である身としては、奮い立たされる一文だった。評価していただいた部分は大切に育てつつ、独自の文体を完成させて来年再挑戦を果たしたい。

(※文中の引用はすべて一般社団法人紀州文芸振興協会公式サイトから)



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