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「バカにしないでよ〜」と歌いたくなる映画。

ごくたまに映画を見ていて、ぜんぜんカンケイないBGMが頭の中を流れることがある。

これがそうだった。

「女神の見えざる手」

ジェシカ・チャステイン扮する主人公エリザベス・スローンは、バリキャリウーマンなんて言葉が霞んで見えるほどの敏腕ロビイスト。そんな彼女が次の案件として挑むのが、銃大国アメリカにおいて、銃規制を強化しようとする法案を如何にして通すか。大手のPRコンサル会社をいとも簡単に辞めて、当時の部下たちを引き連れ、中小の競合他社に転職して彼女が手に入れたかったものは何だったのか。

彼女の早口でまくし立てながら理詰めで攻めていく口ぶりが、この映画の疾走感をいい具合に表していて、この歌を歌いたくなったんです、山口百恵の「プレイバック Part2」。特にサビの「バカにしないでよ〜」の部分。何でだろ。見ていて何度も私の頭の中を駆け巡っていた。

「緑の中を走り抜ける 真紅(まっか)なポルシェ…」私、全然百恵ちゃん世代じゃありません。カラオケも行きません。加えて、エリザベス・スローン、運転免許持ってません。それで、この歌が思い浮かぶって、ある意味すごくない? (映画がすごいのか、この曲の持つ普遍性?がすごいのかは、自分でもよくわからない)

ということは、さておき、この映画の持つ威力はあらゆるところで語り尽くされているので、私がここで改めて書くまでもないんですが、ロビー活動やロビイストとは何たるかを知らずとも惹き込まれることは確かです。

実際ロビー活動とPRがどう違うのか知りたくて記事検索をしてみたら、もはや「違う」のではなく、アメリカでは同一化されたもののようです。そして、オバマ政権では締め出されていたロビイストらが、トランプの当初の公約とは裏腹に、現政権ではより力を発揮し、優遇されているのだとか。

★元ネタはこちら…

トランプ政権の規制緩和、ロビイストは「わが世の春」

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それと映画のテーマには関係ないけど、見ていて思い出した本があります。かの「民族浄化(エスニッククレンジング)」という言葉を生み出した過程をつぶさにまとめたルポです。

ドキュメント 戦争広告代理店 -情報操作とボスニア紛争-

書きたいことがありすぎて、全くまとまりのない内容になりましたが、なかなか1つの映画を見て、ここまで探求心をくすぐられるものもなく。

エリザベス・スローン自体のキャラ設定も独特で、全ての欲(食欲、睡眠欲、性欲)を削ぎ落として生きている彼女が求めたのは、名声でも権力でも友情、愛情でもなく。それでも彼女に肩入れして、事の成り行きを見つめてしまうのは、根っこの部分で、彼女が「人間」だからなんだろうと思いました。

それにしてもね、男どもは、女を舐めすぎ、でも一方で、恐れすぎ。大抵は軽視してるのに、変なところだけ重要視する、みたいな?
それに、よく女はコワイとか陰湿やとか言いますけど、私から言わせたら、男の方がその倍くらい陰湿よ。ということも思い知らされる内容。

エリザベス以外の女性たちもなかなかニクいキャラで、皆見事に男たちを良い意味で欺いていて、双方は味方同士であっても、カンペキに分かり合うことはないんだなって、改めて感じた次第です。それは、今、我が国でも不自然なくらい「女性活躍」が声高に叫ばれる中、一方でものすごい理不尽なバッシングがあったり、妬みや嫉みを感じることもある。あらゆる世代や立場の女性が感じているモヤモヤをこの映画を見たら感じてしまうかも。まぁそれと同時に「してやったり」感も強いのですが。

年明け早々、とっちらかりのレビューになりましたが、最初は何のことやらわからなくても、目を凝らして、耳をすませて、この映画と向き合えば、向き合うほど、新たな世界が開けることは間違いないです!そんな映画も滅多にないので、本当に今年の1本目がコレで、よかったなと。

Play back, Play back!!

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