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黄昏のレトロ自販機とおむすびの未来 【前編】


「黄昏の空に浮かび上がってきたのは、ノスタルジックな自販機ワールドだった」


日本中のおむすびの食リポートを続けて3年以上になる。
この3年という時間の中で、世の中は大きく変わり、またおむすびの世界も大きく変わっている。

そのおむすびの世界の中でも、大きなニュースになったのがこちらだ。

《高速道路のサービスエリアとかでよく見かけたニチレイの自販機の焼きおにぎりがサービスを終了》



  ニチレイフーズ広報はJ-CASTトレンドの取材に、自販機自体の生産を2010年に終了していたと話す。また、自販機向け食品は21年3月に生産を終えた。これは、「工場の最小ロットに未達」となりはじめたことが理由だ。各所に現存している自販機は利用可能だが、順次撤去となる。
  冷凍食品自販機を再び提供していく可能性については「残念ながら、現状は予定がございません」とした。



これが昨年2021年春のことだった。

実はこのニュースを受けて、最後の自販機焼きおにぎり探しに出かけていたのだ。
(それなのに、なぜ1年以上リポートを上げていなかったのかについては、後ほど話したいと思う)

その時点で、サービスエリアなどではすでに自販機は無くなっているらしく、焼きおにぎり自販機がまだ設置しているらしいという情報をネットでかき集めていた。


そこで、設置しているらしいという情報があったのがこちら…




群馬県藤岡市にある「ドライブイン七輿」

レトロ自販機の聖地と言われるマニアにとっては有名な場所らしい。

最近では、レトロブームもあってテレビの取材も多いみたい。




郷愁を誘うようなレトロな外観。
「昔は、こういうところあったよなあ」


店内は自販機コーナーとビデオゲームコーナー2つに分かれていて、ビデオゲームコーナーにはテトリスやコラムスと言った懐かしいゲームが並んでいる。

今は使われていない自販機などが積まれているゾーンもあった。



お目当ての自販機コーナーへ向かう。
そこは、懐かしい昭和の世界だ。

自販機って普段は匂いを感じることがないけれど、ここのコーナーは、いろいろな食べ物の匂いが詰まっている感じがする。


さて、目的だったおにぎりの自販機探しをしよう!



目を凝らすと奥の方までいろいろな自販機がある。

ジュース、ラーメン、ハンバーガー、うどん、トースト…


ガーーーン

おにぎり自販機がない…

そうなのだ。
ネットの少し前の情報だとおにぎりがあったようなことが書かれていたのに…
遅かった。
すでにおにぎりの自販機は、外されていたみたいなのだ。

※当時は、毎日おむすびの食リポートをしていくおむすび1000日チャレンジの真っ最中。
おむすびを食べられないと訪問リポートも書けないことも多く、この訪問もお蔵入りになっていた。
この春にようやく1000日を達成し、おむすびに辿り着かなかった話も書けるようになった。


まあ、せっかく群馬県の藤岡まで来たので、なにか食べて帰ろう。

何がいいかな?

先客はおじさんがひとりだけ。
しかも、ちょうど入れ替わりで帰ってしまったので、参考にすることができない。

そこで、まずは自販機のビジュアルが気になったトーストサンドを買うことにする。

トーストサンドのロゴの書体も惹かれるものがあるし、お洒落な食器の上にトーストサンドと巨大なパセリという組み合わせの写真にもそそられる。

この自販機には、ボタンが2つついていて、マジックで「ピザ」と「ハム」と書かれている。

んー
どっちにする!?



ボタンを押して、なぜか1分くらい待たされる。
(まさか後ろに人がいて作業しているとか!?)

でもその1分が大切だった。
だって、普段飲んでいるコンビニのコーヒーを待つ時間の10倍くらいワクワクできる時間だったのだから。

ウィーガチャガチャ、トン。

どうやら、出てきたらしい。


あちゃ、あちゃちゃ。

手で持てないくらい熱々のトーストが出てきた!
なんと、あの待ち時間は温める時間だったらしいのだ。

香ばしいパンの香りが広がる。

アルミホイルの中にあったのは、食パン2枚に挟まれたハム。
とろけたチーズと粒胡椒との組み合わせも良く、普通に朝食とかで出てきてもいい感じ。



気になる自販機を見つけた。

天ぷらうどんとチャーシューメン。
入り口にカップヌードルの自販機もあったけれど、こっちの自販機の方がワクワクできそうだ。

どちらにするか迷ったけれど、チャーシューの方の自販機には、「絶品自家製チャーシュー」と書かれた貼り紙が!
よし、こっちにしよう。

お金を入れて、ボタンを押す。

自販機では、出来上がりまでの時間が表示される仕組みみたいだ。

えっ、20秒?

そんなに早くできるの?


下の方の取り出し口から、本当にチャーシューメンが出てきた!
蓋もなく、スープも溢れてない。
ちょっと不思議。




ちゃんとしたチャーシューメン。
これで、350円!(当時)
コスパはかなりいいかも!


でも、問題は味なのだ。

よし、食べてみよう。
ふーふー

麺は太麺で、伸びているということはなく、ちゃんと腰があってモチモチしている。
スープは醤油味。
温度もかなり熱々。

合格!

さらに評価を上げるものがある。
それが、厚みのあるチャーシュー。
有名なラーメン店とかで出てきてもおかしくないくらいの味わいだ。
このチャーシューのためだけに、食べにきてもいいくらい。


ふう。満腹!


黄昏の時間。
ドライブインの奥には「七輿山古墳」が見える。

情報化や効率化の波の中でなんとか生き残ってきたレトロ自販機たち。
そのノスタルジーな佇まいに、いろいろな気づきを見つけることができた。

そして…

おむすび自販機の文化は、日本から本当に絶滅してしまったのだろうか。
もう見ることはないのだろうか。


この後も1年以上いろいろなサービスエリアやお店などを巡ったけれど、結局出会うことはなかった…

《後編: 1年後にとうとう見つけた自販機おむすび》


【今日のむすび062】 #1120日目






ノスタルジックなおむすびの世界へようこそ。


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