見出し画像

【読書メモ】『村田エフェンディ滞土録』(著:梨木香歩)

政府は5日、外国人の送還や収容のルールを見直す改正入管難民法の完全施行日を6月10日とする政令を閣議決定した。難民認定申請の誤用・悪用を防ぐ制度を導入。不法滞在などで強制退去を命じられた外国人を本国に送還する仕組みが強化され、送還を拒む外国人の長期収容問題解消が期待される。

出典:「難民申請の悪用解消へ 3回目以降は強制送還に 改正入管法の6月10日完全施行を閣議決定」
(『産経新聞』2024年4月5日)

予定通りに6月施行が確定、ここ最近でいえば、埼玉県川口市で問題となっているトルコ系クルド人集団への抑止にもなるとよいのですが、、さて。

入管庁によると、5年中に難民認定申請した人は87カ国の1万3823人。多かったのはスリランカ3778人、トルコ2406人、パキスタン1062人の順で、この3カ国で全体の5割超を占めた。

申請者のうち複数回にわたって難民申請を繰り返した人は1661人で、申請者全体の約12%。トルコ国籍者が最多の402人で全体の約24%を占めた。

出典:「トルコ国籍者の難民申請5・4倍増の2400人で過去最多 大半は川口のクルド人か」
(『産経新聞』2024年3月26日)

そんなこんなで、トルコとのフレーズで思い出したのが『村田エフェンディ滞土録』との一冊。

舞台となるのは斜陽の時代のオスマン・トルコ、第一次世界大戦を目前に控えた1899年。「文明開化」という名の列車に乗せられた、一人の日本人留学生の物語となります。

著者の梨木さんは『西の魔女が死んだ』という本で知ったのですが、どこかその突き放したかのような文体が個人的には好みです。

興味深かったのは、この本の中で「エルトゥールル号」の逸話が取り上げられていた点でしょうか。トルコでは今でも日本に対する友誼の根拠の一つとして教科書にも載っているそうです。自分は寡聞にして2002年頃に初めて詳細を知ったのですが、最近の教科書には載ってたりするのかなぁ、、少し探してみよう。

さて物語では、歴史学を学びに留学して来た村田青年とその下宿先の、人種も階層も考え方も、何もかもが異なっている仲間達の交流の日々が、淡々と綴られていきます。

日常のちょっとした事件、ちょっとした不思議、そしてちょっとした楽しみと、そして哀しみ。最後に再会するどこか達観して見える「鸚鵡(オウム)」がまた、哀しみの余韻を残します。

青春というにはどこか、セピア色に包まれた一枚の写真を眺めているような、そんな印象が残った一冊でした。

この記事が参加している募集

読書感想文

わたしの本棚

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?