【読書メモ】『村田エフェンディ滞土録』(著:梨木香歩)
予定通りに6月施行が確定、ここ最近でいえば、埼玉県川口市で問題となっているトルコ系クルド人集団への抑止にもなるとよいのですが、、さて。
そんなこんなで、トルコとのフレーズで思い出したのが『村田エフェンディ滞土録』との一冊。
舞台となるのは斜陽の時代のオスマン・トルコ、第一次世界大戦を目前に控えた1899年。「文明開化」という名の列車に乗せられた、一人の日本人留学生の物語となります。
著者の梨木さんは『西の魔女が死んだ』という本で知ったのですが、どこかその突き放したかのような文体が個人的には好みです。
興味深かったのは、この本の中で「エルトゥールル号」の逸話が取り上げられていた点でしょうか。トルコでは今でも日本に対する友誼の根拠の一つとして教科書にも載っているそうです。自分は寡聞にして2002年頃に初めて詳細を知ったのですが、最近の教科書には載ってたりするのかなぁ、、少し探してみよう。
さて物語では、歴史学を学びに留学して来た村田青年とその下宿先の、人種も階層も考え方も、何もかもが異なっている仲間達の交流の日々が、淡々と綴られていきます。
日常のちょっとした事件、ちょっとした不思議、そしてちょっとした楽しみと、そして哀しみ。最後に再会するどこか達観して見える「鸚鵡(オウム)」がまた、哀しみの余韻を残します。
青春というにはどこか、セピア色に包まれた一枚の写真を眺めているような、そんな印象が残った一冊でした。
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