生方学

モノに溢れ、便利で楽になったけど、何かギスギスした現代。今や古典芸能になりつつある昭和…

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モノに溢れ、便利で楽になったけど、何かギスギスした現代。今や古典芸能になりつつある昭和の古き良き時代の仕事ぶりをご紹介し、もう一度人間らしくイキイキ楽しく暮らしてほしいと切に願っています。

最近の記事

【ポンポコ製菓顛末記】                   #47 理想と現実

 今や各企業は持続的成長の為に人財育成が大事と謳っている。企業の資産で最も大切なのは人的資本で、社員の能力を如何に経営に活かせるか否かに関心が高まっている。残念ながら社員のやる気の無さについては日本は最低レベルだ。原因に社会の仕組みももちろんあるが、トップの意識の影響も大きい。 言ったとおりだろ!!  ポンポコ製菓は創業家企業で代々創業家がトップを務めてきた。創業者は田沼平次郎と木村一雄の二人で起業した。片方が職人、片方が経営という2人3脚で会社を大きくしたが、

    • 【ポンポコ製菓顛末記】                   #46 がんばらない、がまんしない

       世の中、黒か白か、イチかゼロか、良いか悪いかで決められるほど単純ではない。真相を見極めるセンスが肝心だ。  センスを磨く「どれくらいか」の例を旬の話題の「賃金」でご紹介する。 業種別所得中央値  日本の賃金が低いと昨今盛んに言われている。この30年間全く上がらないため他国に比べ差が開く一方だと言うのだ。実態はどれくらい低いのか?   国税庁と厚労省の統計データから日本の業種別の年収中央値と労働人口のマップで分析した。年収を比較する場合、平均値ではなく中央値でみ

      • 【ポンポコ製菓顛末記】                   #45 マーケティングの肝はセンスだ

         数回にわたって経済、商売、そしてマーケティングのお話をしてきた。このシリーズの締めとしてマーケティングの要綱をお話ししたい。  マーケティングで最も大事なのは何か?それはセンスである。そう、ファッションや美術と同じ、センスが肝心である。 無人工場  ポンポコ製菓でNO1の商品は、合理化投資を何代にもわたって行ってきた。それこそ旧ソ連ではないが、第1次、第2次合理化計画とあくなき追及を進め、第5次まで進めて飛躍的に原価低減を実現した。その結果、最高の利益率、利益

        • 【ポンポコ製菓顛末記】                   #44 お客様は神様か

           顧客のニーズ・欲望にマーケティングとテクノロジーの発展で世界中が応えた結果、売って、買って、捨てて、また買ってと、売り手も買い手もラットの如く走り続ける事態になってしまった。  しかしコロナでそんな世界はおかしいと、皆、気付いたはずだ。 割って差し上げます  #27でタラバガニのようなロボットがビスケットの1枚1枚の向きを直す新鋭工場の設備を紹介した。向きが上を向いていようが下を向いていようが顧客にとってどちらでも良いような気がするが、生産部門は悦に入っていた

        【ポンポコ製菓顛末記】                   #47 理想と現実

        • 【ポンポコ製菓顛末記】                   #46 がんばらない、がまんしない

        • 【ポンポコ製菓顛末記】                   #45 マーケティングの肝はセンスだ

        • 【ポンポコ製菓顛末記】                   #44 お客様は神様か

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #43 価格とは消費者が得る便益の対価である

           TVやマスコミは安いニッポンを賛美する。値上商品をまるで悪玉のように祭り上げる。しかし適正でない価格、安売りは便益が低いということ。そして結局自らの首を絞めていることに皆さんは気付いているのだろうか? 製造原価100%  ポンポコ製菓にこんな商品があった。非常に手間がかかり、ユニークな商品をある時マーケターが企画した。    通常菓子はビスケット等焼き物を作るベーカリー技術と、チョコレート・キャンディーを作るコンフェクショナリー技術に大別される。両者は全く異な

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #43 価格とは消費者が得る便益の対価である

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #42 商売とは三方良し

           前回までオカネの話から始まり、市場経済、資本主義の功罪を述べてきた。  経済の原点、商売はそもそも売り手と買い手双方の価値観が合致して成り立つものと先日お亡くなりになった100円ショップDAISOの創業者・矢野博丈氏は述べている。その合意が崩れ、売るほう買うほう両者の欲の張り合い、弱肉強食の状態が現代だ。 美味しいかどうか決めるのは消費者ですよ  日本製品は昔から良いモノを安くお届けしているという自負?があった。「安いニッポン」を自慢し、安いことこそ正義、要求

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #42 商売とは三方良し

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #41 資本主義の本質は搾取だ

           かつてチャーチルは「民主主義は最悪の政治形態だ。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば」と述べたという。確かに崩壊した共産主義より民主主義のほうがまだましだと思う  翻って資本主義にも果たしてあてはまるのか? 他の社会形態よりましなのか? 人類を幸せにしたのか? スーツを着たオオカミ  株価は一般的に業績の良い会社の株価が高いと思われがちだがそれは間違いだ。株式市場は業績に加え需給、即ち売り買いで成り立っている。しかも、長期的にはフラッ

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #41 資本主義の本質は搾取だ

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #40 銀行の罪とワナ

           どんな企業も銀行から借金をしている。企業は借金で経営が出来て、銀行は利息を得て商売が成り立っている。特に日本は欧米に比べると銀行への依存割合が高いという。その持ちつ持たれつの持たれあいが緩いぬるま湯体質を温存してきた。 銀行員の経済オンチ  読者の会社も多かれ少なかれ銀行から借金をして経営しているだろう。そして最も多く借りている借入先をメインバンクと称して大事にしている。大概メインバンク、または準じる銀行とは互いの株を持ち合い、資本関係を濃密にしている筈だ。大株主

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #40 銀行の罪とワナ

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #39 騙しのテクニック part2

           東京オリンピック贈収賄、CM制作費過大請求、と広告業界のカネにまつわる話は後を絶たない。エリート業界で憧れである(あった?)筈の広告、メディア業界だがその実態をたどれば・・・ 猫が見ていても視聴率  TV広告は番組と番組の間にCMが入る。CMは基本的には15秒だ。読者の皆さんはあの15秒1本のCM放映料はどれくらいと思われるだろう?  媒体費は極めて複雑、かつ、取引先毎に価格設定しているので一概に言えない。一口にTVCMといっても地上波とBSやCSの衛星放送

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #39 騙しのテクニック part2

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #38 騙しのテクニック

           先日、博報堂がサントリーに広告制作費を過大請求していたので返納したというニュースがあった。  コンプライアンスの時代にいまだにこのような取引が行われていることに唖然とすると同時に、何年たっても変わらないなという印象であった。 ガムテープ1本5千円  読者の皆さんはラクスルという会社のTVCMサービス『ノバセル』のネットCMを見たことがあるだろうか?TV広告CMの効果についてクライアントの女社長と広告部の担当とのやりとりのCMだ。  社長が担当に広告効果はどうな

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #38 騙しのテクニック

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #37 市場経済の罪とワナ

           前回に続き、オカネの話をしよう。それも経済に絡む話だ。 モノがあふれ便利になって一見過ごしやすくなった現在。 しかし世界中何でもモノ、カネで決めるようになって問題視する声も多い。だがそのようになったのは実は最近の話だ。  とりわけ日本は物価が安いと同時に給料も上がらず格差も広まるデフレが続いている。デフレは人間でいえば病気の状態。体力も出ないから安いもので我慢して大人しくしていようという状態だ。 銀行は貸すのが商売 返さなくてもいいんだろう?  日本はたった30年前は

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #37 市場経済の罪とワナ

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #36 オカネの使い方

           日本のGDPがついにドイツに抜かれ世界第4位に落ちた。もう先進国ではない、貧乏国だと世間で言われ始めて久しい。  最近アフラックのCMが耳に残る。「良~く考えよぉ!オカネは大事だよ~」と。アフラックは保険の勧誘で怪しいが、オカネは本当に大事だ。  資本主義の反省からおカネ以外の価値こそ人間の真の幸せだと言われても最低限のオカネは必要。上手にオカネと付き合わなければいけない。 全然違いますよ!!  本編ではオカネの付き合い方、特に財務リテラシー、計数管理はビジネスマ

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #36 オカネの使い方

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #35 手のひら返し

           コンプライアンス・テーマの最後に今をときめくジャニーズ問題に触れようと思う。  ポンポコ製菓、とりわけ広告に携わった筆者として他人事でないからだ。 いい加減な業界  今年春先の英・BBCドキュメンタリーで報じられ、夏に国連調査が行われてから、日本社会もようやく事の重大さに気付いた。これまでまともに向き合わなかったジャニーズ事務所も対応し、マスコミも毎日扱うようになってきた。  この問題の要点は大きく2つあると思う。 第1点はジャニーズ事務所当事者が事件

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #35 手のひら返し

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #34 タスマニア人

           20世紀初頭のイギリスの小説家 サマセット・モームの名言 「もちろん知っていると思うけど、不倫を決してしなかったタスマニア人は絶滅したからね」  さて、我々はタスマニア人になれるのか?? お前、いい加減にしろ!!  ポンポコ製菓の役員は創業家を除いて程度の差はあるが、皆、オンナ好きでご盛んである。とりわけF役員はいわくつきであった。本社にいる時は、それこそ目立たないようにしていたが、海外子会社の社長に赴任した時は、野に放たれた野獣の如く、やりたい放題になった。単

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #34 タスマニア人

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #33 酒、オンナ、カネ

           時代は変わり、一人一人の道徳、倫理観が本当に必要になった。しかし、そうはいってもなかなか、その変化を理解できず、つい従来感覚で接してしまうのが昭和のオジサンたちだ。法令違反をごまかすのは持っての外だが、良かれと思って接した説教や冗談も相手や場面のケースバイケースでハラスメントになる。 品格を落とす常套手段  人間の欲望はすさまじく、懲りないもの。道理をわきまえるというのは苦手。でも、これまではその弱い面、その欲望があるから成長もし、発展もし、幸福も掴んできた。

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #33 酒、オンナ、カネ

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #32 人間が何をすべきか、何をなすべきでないかの線引きは学問では出来ない

           コンプライアンスは一人一人の道徳、倫理観で成り立つ。 良き市民、良き企業であるために、道徳、倫理を極める、品格を高めるには、どうすれば良いか?何をしてはいけないのか? 学問と社会は地図を見る時と実地歩行の時との如きである  「品格を高めるには物事の様子を比較して、上を目指し、決して自己満足しないようにすることだ」 と福沢由紀は『学問のすすめ』で述べた。  知見を高める、知識を得るのはもちろん大事だが、頭でっかちだけではだめで、実践が必要ということだ。それは

          【ポンポコ製菓顛末記】                   #32 人間が何をすべきか、何をなすべきでないかの線引きは学問では出来ない