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『アクアマン』DCの『スター・ウォーズ』、加えて海の『バーフバリ』。神話の中に母あり 公開中

舞台となる海中世界もまた、もう1つの宇宙であり、“海の『スター・ウォーズ』”とは然り。その点、かなり王道、ヒーロー誕生映画として大正解

原題:Aquaman ★★★★☆4.5

海中の『スター・ウォーズ』は本当です

最初のWB(ワーナーブラザース)のロゴ、DCのアバンタイトル出しから海、海中! 
エンドロールまでド派手で美しく、かつ繊細に世界観が作り込まれ、クール。


灯台守の父(テムエラ・モリソン『SWエピソード2/クローンの攻撃』のジャンゴ・フェット!)とアトランティス帝国の女王(オスカー女優ニコール・キッドマン!)を両親に持つ、アーサー・カリーことジェイソン・モモアのアクアマン(以下、モモアマン)は、自分探しの冒険に飛び出します。

それが宿命だと薄々感じていながら踏み出せなかった1歩を、やんちゃなプリンセス、メラ(アンバー・ハード)によって誘われます。

そして挫折を経験し、アイデンティティを探求し、苦悩し、試練を乗り越え、“選ばれし者”としてヒーローになっていくのです。

「Who(What)  am I ?」の物語であり、用意されている答えがまた、とびきりにカッコいい。

『スター・ウォーズ』であり、『バーフバリ』であり、『キング・アーサー』であり、『インディ・ジョーンズ』でもあり、『ワイスピ』っぽい強引さ(それがよい)もあり、もうてんこ盛りというわけです。

加えて、母なる海と例えられるように、ニコール・キッドマン演じる母の愛やメラの存在が大きなカギを握ります。『スター・ウォーズ』が父権主義的であるとするなら、こちらは母性が根底に流れているように思います。


ジェイソン・モモアの魅力炸裂

モモアはハワイ生まれ、アイオア育ち。ハワイ先住民族や、ネイティブ・アメリカンの血を引いています。

監督を務めたジェームズ・ワンもまた、マレーシア生まれでオーストラリア育ち。2つの故郷を持っています。

主演と監督のこの2人の背景が、海と陸の分断、海底帝国側が地上に戦争を仕掛ける、という本作の物語に大きく貢献しています。

また、アトランティス帝国の王オーム(パトリック・ウィルソン)が自身の王国だけでなく、海底世界を守るためと称して地上を制することが断固として、絶対的に正しいと狂信するところなどはマーベルのサノスみたいとも思ったり。

「ゲーム・オブ・スローンズ」で初めて知ったモモアですが、彼が演じるアクアマンてどうなの!? と思っていたら、『ジャスティス・リーグ』でも垣間見せた豪傑さと茶目っ気にあふれ、どんな時でもユーモアやポジティブシンキングを忘れない姿が(DCヒーローとしても?)とても新鮮。

最高のハマリ役を手に入れました。

こちらにも、モモアマンにクローズアップした記事を書いています。


【注意】津波の描写があります!!

また、動くラッセンの絵、とも言われておりますが、海中の描写は確かに画期的であり、海洋汚染や捕鯨問題、環境破壊にも、しっかりと目配せしてあります。

ジェイソン・ステイサムの『MEG ザ・モンスター』もド派手な海洋アクションの中に、フカヒレの問題にもきちんと触れてありました。大事なポイントかと思います。

ただ、その裏テーマを伝えるために、序盤のあるシーンで津波のかなりリアルな描写があるので、要注意。

これはきちんとアナウンスしなければ、と思い、「津波、これやばい」と手帳にメモもあったのですが、

なんと最後のヒーロー爆誕の展開に、すっかり飛んでしまいました…。不覚。これは確かに、事前にアナウンスすべきだったこと。なぜ、日本だけ2月公開なのかは不明ですが、もし他国と合わせて12月公開だったとしても必要だったことでは?

そんなに昔の、忘れ去ってしまったことではないはず。

これからどんな映画を作るにしろ、配給するにしろ、無視できないことではないでしょうか。



© Warner Bros. Pictures & © DC Comics

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