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「増やさない」という愛し方

一緒に暮らしていた犬が亡くなった。
このnoteにも登場してもらってた保護犬のボルゾイ君。

動物(ペット)の保護活動をされている方たちは皆、動物を愛している。
そしてその愛し方、活動方針の一つに「増やさない」というものがある。

行き場がなく殺処分されるペットたちが沢山いる。
その中で新たなペットを「生産」することを疑問視しているのだ。


わたしは服が好きで16歳で古着屋のオーナーとなった。

その後、服づくりを学びたくなって文化服装学院に入学するのだが、卒業後も古着屋を続けることにした。
金銭的な事情もあったのだが、それよりも自分が服を作ることへの違和感、自分が服をつくることの価値が見出せなかったからだ。

素晴らしいデザインの才能や、ビジネスプランや理念がある方は服づくりをするといいと思う。
人を笑顔にしたり、世の中の役に立てる服やブランドは素敵だと思う。

ただ、服が好きだから服をつくる。
というのはちょっと違うんじゃないかなって思う。

わたしは古着屋をはじめて27年目。
古着のみ(未使用のセカンドハンドも含む)を扱ってこれまで暮らしてきた。それも厳選した古着のみでやってきた。
同じように多くの人、企業が古着のみでやってきていると思う。

アパレルさんの大量廃棄などが問題視されているのでご存知かも知れないが、
服は大量に余っている。

その中で服をつくること。
自分のつくる服にはそれだけの価値があるのか?
自分たちの企画するファッションビジネスにはそれだけの価値があるのか?

歌が好きならヘタでも歌えばいい。
絵が好きなら描けばいい。
だけど服が好きだからといって軽い気持ちでブランドを立ち上げたり、むやみに量産しないでほしい。

保護犬との暮らしの中で、過去の自分が服が好きなのにアパレルに興味を持てなかった理由のひとつがわかったような気がする。

好きだから、作らない。

ペットだけでなく、あらゆる分野において「増やさない」という愛し方も選択肢のひとつとして定着するといいなと思う。

※ここでいう服づくりとはビジネスにおける服づくりのことで、個人の楽しみのために行う手作りのことではありません。

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