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同じ仕事を長くつづけるには変化が必要

「古着の知識はいつどうやって身につけたの?」

16歳で古着屋をはじめたというと
よくこの質問をされるんですが
自分でもいつどのように身についたのかよくわかりません。

最初はありきたりですが、雑誌とお店です。

ヴィンテージジーンズ等のアメリカ古着に関しては、平成初期・1980年代後半にはすでに今の価値観がほぼ出来上がっていて、雑誌の特集なども多く、専門店も多くあったので知ろうと思えば知れる環境でした。

インターネットの時代ではなかったので、人力情報収集でしたが、先人たちの開拓した道にさえたどり着くことができれば、あとは道に沿って吸収するだけでした。

1980年代後半・中学生の頃
古本屋さんに何年も前のファッション雑誌が置いてあり、読み漁ってました。ごめんなさい立ち読みで。

リアルタイムではない時代のトレンドはそうやって吸収しました。
いまでもAmazonで古いファッション雑誌買ってます。

古着の買い付けと販売を始めたのはお店をオープンする一年前くらいで、1992年。

その頃は1970年代の古着がたくさんありました。

90年代の古着というのはまだ古着市場に少なく、
80年代の古着は当時単純に時代遅れでダサく見えていた。

自然と50年代から70年代の古着に触れる機会が多く
肌で覚えました。

1993年から今まではずっと仕事で扱ってましたし
古着以外のファッション全般に興味があったので
時系列に沿って記憶してます。

仕事で扱うと、趣味の場合より圧倒的にたくさんの数に触れることになり
個人差はあると思いますが、知識や目利きみたいなものは飛躍的に伸びます

また趣味の場合は自分の好きな特定のジャンルのみに詳しくなりますが、仕事だと自然と幅も広がります

振り返ってみるとわたしの場合、
予備知識の段階でさっさと仕事にしちゃって、仕事をしながら学んだ。
そして、それを一度も辞めずに継続し積み上げて今の知識があるといった感じですね。

多くの人が言ってますけど
一刻も早くその世界に飛び込み、継続することが最速で目標に近づく秘訣だと、わたしも思います。

ただ、これからは
古着の知識いままでほどは重要ではないと考えています。

もちろん無いよりはあった方が良いとは思います。

25年も続けて積み上げた知識は無駄になったとは思いませんが、残念ながら以前ほど特別な価値はないと仮定し、知識だけでは生き残れないと認めないことには成長はありません。

リユースショップなどでは既に
古着の査定はマニュアル化・データ化されていて、
現時点でマニュアル化されている作業は今後
AIなどによる自動化・機械化が進むでしょう。 

絶対的な「知識」と
トレンドなどの流れを読み解く「感覚」
理屈で説明できないセンス的な部分をかけあわせたものを、いわゆる「目利き」とすると

「目利き」の一部はマニュアル化・データ化ができそうですが、一部はそれが困難なのではないかと思います。

例えばジーンズの色落ちに関してもトレンドがあり、
いま好まれる色落ちのしかたと、10年前にいい色落ちとされていたものはぜんぜん違います。

こういった感覚に頼る部分が多いことはマニュアル化は難しいのではないでしょうか。

マニュアル化できる知識だけ持っていても役に立たずマニュアル化できない「目利き」を持つ人材は今後さらに希少になり、価値を生む。

ヴィンテージショップは今までよりもさらに専門性の高い分野になり
リユースショップは今までよりさらに効率化を目指すことが予想されます。

ヴィンテージショップ/ブランド古着店/リユースショップ/質屋などを全て「古着ビジネス」とくくると、
古着ビジネス」はメジャーになり、
ひとつの職種として十分考えられる時代になったかと思います。

将来古着屋になりたい
とおもっても現在では独学か、古着屋でアルバイトしたりするしかないので

そろそろ専門学校などに「古着ビジネス科」とか「ヴィンテージ専攻」みたいなのができてもいいかもですね。
たのしそう:)

古着は過去に生産されたものであり
トレンドや古着屋の都合で増産したり仕様変更したりできない。

だからこそ、その価値やその扱い方は時代とともに変わっていく。

わたしが今までに経験した25年間だけでも
古着をとりまく環境は大きく変化してきました。

今後も変化し続けることは間違いないでしょう。

わたしもこれからどのように向き合っていくことになるのか想像もできない。


いつまでもたのしくやれるといいな。




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