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あんときのデジカメ 初夏の訪れを告げる紫陽花 with Nikon COOLPIX P1


(はじめに)紫陽花の美しい季節になりました。今年の讃岐は、雨が少なく過ごしやすい天候が続いています。しかし陽に照らされる紫陽花はどこか大変そうな様子です。今回は初夏の訪れを告げる大輪を、ニコンのCOOLPIX P1でスケッチしてみました。


初夏の訪れをつげる紫陽花

 梅雨の花と聞けば、真っ先に連想されるのが紫陽花ではないでしょうか。陽が翳りがちな梅雨時に太陽の花と表象した感覚には、迫りくる真夏の陽光への祈りにも似たセンスを感じるは筆者だけではないと思います。


紫陽花や 帷子時(かたびらとき)の 薄浅黄(うすあさぎ)
(出典)桃隣編『陸奥鵆』

 江戸前期の俳人桃隣が編んだ俳句集に載せられている松尾芭蕉の一句です。夏用の衣を帷子といいます。「紫陽花が咲き、今年も帷子を着る季節がやってきた。ちょうど紫陽花も帷子と同じ薄浅葱色をしている」といったところでしょうか。芭蕉の俳句は、花や衣類を通じて、梅雨から初夏の訪れを「予感」していた気分を伝えているように思います。現代を生きる私たちの季節感とどこか似たものを感じますね。

 「はじめに」でも言及しましたが、今年の讃岐の梅雨はどこか控えめです。おかげでロードバイク通勤では助かっておりますが、通勤ルートで大輪を輝かせる紫陽花はどこかキツそうです。


「真新しさ」が全く欠けるカメラだが、よく写る

 今回で「あんときのデジカメ」も10回目の連載になります。我ながら続いていることに驚きを隠せませんが、日本を代表するカメラメーカーであるニコンを取り上げるのを失念しておりました。杉下右京さんに従えば「僕としたことが!」と絶叫しなければなりません(汗
 今回紹介するのは、2005年製造のコンパクトデジタルカメラになります。この時期の製品はすでにその基礎あるいは骨子というものが出来上がっている世代になりますので、画素数やレスポンスの水準を割り引けば、使用には全く問題のないカメラのひとつと評価できると考えます。しかし、そのぶん、出来上がっている製品になるので、少々「面白み」に欠けるのかなという感もあります。加えてデザインが2000年代前半のニコンのコンデジの「ぼってり」としたそれを引き継いでいるのが「真新しさ」に欠るという印象もおまけとしてついてきます。 ちなみにP1の「P」とは通常Professionalの「P」を表し、「撮影機能や操作性を追求したシリーズ」と位置づけられています。センサーサイズ(1/1.8型原色CCD)などは確かに上位クラスのものとなっており、プログラム撮影のほか絞り優先の露出モードもあります。ただ、絞り優先を搭載するなら、シャッタースピード優先も搭載すべきだよね、なんて思ったりしまして、ちょっと「中途半端」な感が否定できません。ただ、さすがニコンとしか唸るほかないのは、やはりきっちりとした写りということです。

贅沢に言えば凡庸。しかしそれがニコンのニコンらしさ

 では、簡単にスペックを紹介します。撮像素子は、800万画素1/1.8型原色CCDで、2005年に一番うれたRicohの初代GR Digitalにも引けを取らないハイエンドCCDになるのではないでしょうか。単焦点のGRと比べると酷ですが、レンズは、35mmフィルムカメラ換算で36-126mm(F2.7-5.2)の3・5倍ズームニッコールレンズです。広角端が中途半端で、望遠端が暗いということを除けば、こちらもセンサー相応のニコンらしい絵作りです。

 全体として、ハイエンドというにはちょっと足らず、エントリークラスというには、なかなかどうしてというカメラで、カメラの(購入層をどこに絞るかという)「設定」としては、中途半端な印象が拭えませんが、ニコンのニコンらしいカメラとしての完成度は非常に高く満足のいく絵作りのできるコンパクトデジタルカメラという使用感です。

 贅沢に言えば、カメラとして面白くないカメラというところでしょうか。あっ、ちなみに世界で初めて搭載された「無線LAN」機能は試していないです(汗

 ちなみにアジサイの花の色は土壌のpH(酸性度)によって変化します。酸性ならば青、アルカリ性なら赤になると言われていますが、白と青が多いので、酸性が強そうですね。



ということで撮影データ。プログラム撮影、ISO100 ホワイトバランスオート、露出補正なし。撮影は5月30日~6月15日。撮影場所は香川県善通寺市。

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氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。