見出し画像

親の仕事は社会のためではあるが、子育てには役立たない

「結論から話しなさい」

このように偉そうに言ってくる上司や先輩には、ありがたいことにまだ出会ったことがない。

しかし、裏を返すと、仕事の常識みたいなものも叩き込まれることのないまま、30歳を超えてしまった。

ビジネスメールの常套句的なものは、くそくらえ、と思っているので学びたくもないが、どうしても使わざるを得ない時もあるので、やりながら掴んでいった。

どんな仕事、どんな業界、どんな職場にも、その中での常識や、慣例、商習慣、があるはずで、その多くが、業務の効率化であったり、リスクヘッジ的な側面から用いられることが多いと思う。

冒頭の、「結論から話しなさい」とかは営業職とか、プレゼンとかコンペ的なものがある仕事では必須のスキルかと考える。

だらだら話をしたり、余計な脱線の多い論文のようなプレゼン資料よりは、まず結論を明示し、理由であったり補足であったりを付け加えるプレゼンや資料の方が聞きやすいし、読みやすいのであろう。

これは経験則であったり実績、成功体験が部下や後輩へのアドバイスとなり、常識になっていくように思う。


「今日な、学校でな、〇〇ちゃんと〇〇くんが、言い合いしてて、途中から見たから何の言い合いやったんかは分からんのやけど、先生も途中から来て止めようとしてたんやけど、〇〇ちゃんと帰る約束してたから帰るに帰れへんかって、今日って晩御飯何?」

と子どもが言った場合、


「結論から話しなさい」という常識が蔓延している職場に身を置いている親であれば、


「ん?言い合いはどうなったん?その話のオチは?晩御飯何ってのと導入の話に全く接点がないんやけど、どういうこと?要点をまとめてから話せる?」

と言いかねないと思う。

「課長、本日、A社とB社に新商品の提案に行ってきたのですが、A社の方の窓口担当が、私の大学時代の同期で、彼はゼミ長とかも任されていて、フットサルサークルの代表もしてて、確かそのサークル自体も立ち上げてたんです。B社の方は、担当の方が急遽来られないとのことで、社長直々に対応してもらったんですけど、なんかあの社長って社長ぽくなくて、経理課長ですって言われたら、そうなんやって思う感じの人ですよね。で、課長、今日の飲みなんですけど、駅前に新しく焼き鳥屋できてたので、予約してあります」

となれば、

「いや、提案の結果は?両社はなんて言ってた?窓口のやつとの関係も、社長の人柄も後で役立つかもしらんけど、今はいらんねん。今は相手側からの反応を知りたい。その後、個人的な関係とか感想を聞くわ。店選びくらい仕事も能動的にやってくれ」

となりかねないと思う。


多分なる。

なので、結構仕事で求められること、求めてしまうことと、育児で必要なことが正反対で、


まるで違うと思う。


あ、今日学校で〇〇ちゃんと〇〇くんが言い合いしてたなー、

何で言い合いしてたんやろ?

そうや、途中からしか見てないし分からんかったんや、

そういえば、先生も途中からきてたなー、

〇〇ちゃんと一緒に帰る約束してたから待ってたんよなー、

だから、いつもより帰るん遅いんか、

うわー、お腹減ったなー、

晩御飯何やろ?

と頭の中で色々浮かんできて、それを親に話しているはずで、そこに効率さとか、危機管理の側面は絶対にいらない。

実際、親になってみてやるべきことが多く、仕事しながらでは時間が足りないと感じることも多々ある。

我が子は、まだストーリーを話せる年齢ではないが、その分、何を言いたいのか分からないことも多いので、しっかり聞くようにしている。

どんな話でも否定せず聞くことが、もっと話せるようになった時の心理的安心につながると思っている。



ただ、経済的安心を与えるために「働かないといけない」という部分が、子育てを難しくしている側面だということも、ひしひしと感じる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?