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雨宮塔子さんが書かれた、「息子はフランスの高校1年生、生活指導の面談で感じたこと」からわかる、外国で生きていくことの苦悩


雨宮塔子さんが、「文藝春秋」6月号「巻頭随筆」に書かれた、「息子はフランスの高校1年生、生活指導の面談で感じたこと」という記事を読んだのですが、、、、

最初に言っておきます。これは雨宮さんが思っているような、ジェンダーの問題ではありません。こういった思い違いをする背景には、外国人とし海外に生きることの難しさがあることは間違いありません。問題を解決してよりよい状態にしていくためにも、ここは、もう少しフランスのことを理解した上で、今後対応していくことが一番大切なことではないでしょうか。

理解するべきこと

この話は、日本と違ってフランスがジェンダーに関する問題が優れているから、「悪い母親扱いされなくて済むんだ~」なんて話ではありません。

どうちらかと言えば、子供を面倒みる義務を課せられた親が、本当だったら子供が授業を欠席しないように気を配り、欠席の理由を届けなければいけないのにもかかわらず、それを怠った場合、子供の扱いはどうなるかという話です。

そのため、親がどのような状態であるかを確認するために親が学校に呼ばれたのです。でも、呼ばれた親はこう言いました。

「働くのに忙しく、子供を1カ月置き去りにして日本に行っていて、面倒がみれなかった」

そこで、学校の生活係担当職員(先生ではない)が、子供の面倒を見れないシチュエーションの家庭であることを理解して、子供に、世話してくれる親が居ない状況の中なのだから、自分自身ががんばってこの状況を乗り越えていくよう諭したのです。親からこういった返答があれば、それが女性の親ではなく男性の親に対しても、同じ言葉を返したでしょう。

実は、フランス人でもこういうパターンの親が多いのです。特に、庶民家庭で、共働きやシングル家庭の多い。(お金持ちは、人を雇うなどお金で解決することが多いので)

庶民家庭には、親自身がギリギリ一杯になっており、子供まで十分面倒見切れないシチュエーションの家族が多く存在します。働くことは生きていくことに大切なことであり、無理なものは無理なのだから、それはしょうがないことだと思います。

昔は、フランスでは都市部で働く親も、子育てとの両立に同様に大変だったけれども、子供を里子に出すことで解決していました。里子に出すことで子供が亡くなるリスクが高くなるのにもかかわらずです。

大昔は、生きることに精いっぱいで生存本能の方を優先していたフランス。↓参照

現代社会ではさすがに子供が亡くならないように努力はされていますが、それでも、こういった時代に培われてきたであろう、この苦境の中を生き抜くのは、子供自身の生命力と、頑張ることでしかないという考え方は残っています。

日本のように親が大変な時に先生が世話を焼いてくれる環境があればいいのですが、フランスでは通常の学校ではほぼありません。

今回のように一時的に親があまり子供の世話をみれない環境である場合なら、学校での態度が悪くても、もう、学校側そこまで厳しくはしなくなるでしょう。でも、長期にわたって著しく子供の世話ができる範囲が低い場合は、他のもっと世話をしてくれる学校を勧められるかもしれません。

また、高校にあった学力がない状態でこの勉強態度であれば、高校の1年目までは義務教育ですが、2年目からは進路を決めていくことになるので、2年目からは違う高校にいくことを勧められるかもしれません。

フランスの普通の学校は日本のように底上げするために、子供に勉強させようとしてくれる場所ではありません。勉強したいという生徒を助ける場なのです。だからこそ、「親のバックアップがない状況ならなおさら、自分自身が、がんばらなくてはいけない」ことを子供に伝えたのです。

しかしながら、日本人の親に育てられた子供が、その意味を分かったかどうかはわかりません。

少なくとも、ジェンダーに話をもっていって日本たたきで終わっている点で、親はわかっていないだろうことが読み取れます。

というか、どちらかと言えば、これは、海外の学校でうまく対応できていないがどうすることもできない親と、その子が発しているアラートなのかもしれないとも思えてきました。

ということで、ここから改善していくことが大切になっていくのですが、解決策は個々違うとしても、

私ができることとして、先を考えるためのベースとなるフランスの学校事情や、フランスと日本の違いについて説明していきたいと思います。そのことがどこかで何かの役に立てることを願いながら…

フランス社会のルールを知っていれば行動できたこと


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