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まさにDo or Die? ものすごく大変だけれど楽しすぎた政治の授業

授業二日目。今日は、Globalisationつまり世界の政治の動きについての授業です。私はファッションと社会状況の結びつきについてリサーチしたいのでこの授業を取りました。このクラスは8人しかいない私のコースと違って15人ほどの大所帯。生徒も私のコースはイギリス人しかいないのに対して、このクラスには留学生も5人ほどいて、少し気が楽です。教授に授業前にメールで英語への不安を打ち明けたら、「そもそも僕もネイティブじゃないから全く気にしなくていいよ」と。とにかくこのクラスが、スーパーエキサイティングだった!今までの人生で最も面白い授業だったと言ってもいいかもしれない。テーマは「誰が次なる超大国となるか、中国か、ロシアか、それとも」。誰もがわかっていることだけれどアメリカの覇権は終わろうとしています……と言われています。次は中国か……というのがジェネラルな予測だけれど、中国には人権、ソフトパワー不足、エリート層の流出など問題山積みです。そんな議題について事前に3〜4本論文と本を読み、授業に臨みます。今回はプーチンがこの20年間余り外交と戦争で何をしてきたか、という本の章と、中国が覇権を取るのがそう簡単ではない理由についての本と、トランプ以降のアメリカの世界警察引退についての章が課題図書でした。

授業は教授を囲むように机を輪にして並べ、みんなが手を挙げて教授の質問に対する自分の意見を次々発言していきます。これが、かなり白熱した議論で、目の前でグローバルな朝生が繰り広げられている。みんな臆せず自分の見解を繰り広げる。基本的に手を挙げた人しか発言しないのかなと油断したら、先生が「僕は東アジアからの生徒がここにいてくれて本当にうれしいよ。日本人から見て、中国がパワーを持つことはどう考えられている?」といきなり当てられました……!ただこの問題については以前から多少考えていたので、この回のブログで書いたようなことをかいつまんで、かなりチャイルディッシュな見解ではありますがなんとか自分の意見を表明できました。ちょっと笑いも取れたし、たった20秒かそこらだったけど、とても嬉しくて、どれだけこの教授に感謝したか。「Voice」という言葉がありますが、それは単に声ということだけでなく、意見というか思いを表明すること、発言権の意味もあります。今までの世界史では西洋の白人の主に男性にしか与えられていなかった「Voice」。それを決定権のある現場でもっとマイノリティに広げようというのが最近の動きです。もちろんヨーロッパやアメリカにひとたび出れば、日本人だってマイノリティ。私はこのときこの小さなクラスという世界で、文字通り「Voice」を与えられた気がしたんです。自分では絶対手を挙げなかったろうから、ある意味当てられてよかったと思う。自分で勝ち取れたらもっと素晴らしいけど、時に「せざるを得ない状況」が功を奏すこともある。

ただ集中して聞いていないと話を逃すし、それに当てられる可能性もあるときたら、もう「Do or Die」の緊張状況です。崖のぎりぎりの淵のところで机を置いて授業を受けているところをイメージしてください。

この授業ではみんなのパッションがすごくて、英語が早すぎてディスカッションの理解はそうですね、30%くらい笑。ただOtterというアプリがあってこれは録音しながらトランスクリプトを作成してくれるというAIの力を結集した神の産物。毎授業をすべてこれで録って、後からもう1回聞くことで復習しようと思ってます。

悔しかったのが二人の生徒が日本について言及してたときに全然理解できなかったこと。一人の子はドランゴンボールとかソフトパワーの話をしていたな。後から考えればいかに日本のアニメーターが薄給でアンフェアな扱いを受けていて、多くの優秀なアニメーターが高賃金を払ってくれる中国の企業に流れているかとかを話せばよかった。要は頭脳の流出です。しかもそのうちの一人の男性がわざわざ休み時間に話しかけてくれたんだけど、そのときは「ソーリー、ジャパン、イラストレーション、ゴーファー……」という言葉しか聞き取れなくて、何を言ってるかわからなかった。何回か聞き直したけど本当わからなくて笑。「ごめんなさい、私聞き取りに本当に苦労していて」と謝ったら「いや僕のアクセントのせいだよ」なんて言っていて、せっかく彼が話しかけてくれたにも関わらず、私は彼と友人になる機会を失ったんだなってこの瞬間ほど悔しいことはなかった。ただ後から冷静になって聞こえた単語を集めて気づいたんだけど多分彼は、「僕の日本に関する描写が行き過ぎていないことを願います。もしそうだったらごめんね」と言ったと思うんですよね。ていうのもIllustrationというのは絵の方のイラストレーションじゃなくて説明・描写のほうのイラストレーションだと気づいたから。最初この人、「日本でイラストレーターをしたことあるよ」と言ってるのかしら、と思った私を笑ってください。これから録音とトランスクリプトを聞いて、彼が日本について何て言っていたのかを理解して次会ったときには、「この前は答えられなくてごめんなさい」から話しかけてみようと思います。

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