多羽(オオバ)くんへの手紙 ─7─
あれから母とは特に変わらず普通に日常生活を送っていた。
本人は言ったことすら忘れているだろう。
ああいった悪気のない言葉は、時に人を傷つけることもあるが
私は「もういいや」という気持ちになっていた。
なろうとしていた。
一方、父に対しては母とは違った感情があった。
父親というより同志。
中学生が、同志がどんなものを指すか理解はしていなかったであろうが、シンパシーを感じていたと言えばよいだろうか。
ボワっと大きくなった炎も、また遠くでぼんやりと灯る小さな明かりになっていた。