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嫌いに出会ったとき、そこには好きが隠れてる。

わたしは嫌いなものに出会ったとき、やった!!となります。
ちょっと前は、え、嫌いなものっていやでしょ~と思っていました。
でも今ならその状況を楽しめる。好きなものに喜びがあるなら、嫌いなものは唯一無二の面白さを秘めていると私は感じます。


モネの展覧会に行った時のこと。

モネというだけで絶対行こうと決め、カレンダーに書き込んでました。
もしかしたら面白くないかもしれない、なんてひとつも考えず、
絶対いいものが見れるという、無意識にかなりの期待を込めていきました。

しかも小中学生500円。
安!!と思われたかもしれませんが、ほとんどの展覧会は中学生以下"無料"なんです有難いことに!!
だからギリギリ中学生の私は、無料でモネやらゴッホやらピカソを見てこれたわけです。
そんな学生に優しい美術館さんたちが500円を取る!というのは、それほど貴重な名品がそろった展覧会なのかしら!と期待は膨らみました。

ワクワクしながらチケットをピッとして入場。
一番初めにどーんとある絵がまず刺さりました。

「ルーヴル河岸」

これ写真で見るより実際目で見た方がすきなんです。
奥行きがもっと感じられて、写真とも違う生を感じるというか。
モネのイメージとはちょっと違う、黒がアクセントになった締まりのある作品ですよね。

でも次々と順に見ていくうちに、私の中にモヤモヤが渦巻きはじめました。
モネは遠くから見たり、写真で見るといいなと思うのですが、
近寄ってよく見てみると筆使いが荒いんです。
印象派代表の方ですから、そういう特徴があることは知っていました。
むしろ、正確さじゃない一瞬の印象を大切にするという描き方がすこし夢を感じて好きでした。
私ゴッホも大好きなんですが、彼も雑に描いたようにもみえる筆のタッチやバランス感が逆にいいんですよね。

でも違う。
モネの作品はなにか違う。

モネらしくはあるんです。
あわい色を重ねて、観る人の心をあたたかくでも爽やかに照らしてくれるような。
想像の余地をあえて残してるから、思わず立ち止まってその情景を味わいたくなる。

でも私は、どうしてもグニャっと描いた筆のタッチが気に入らなかったんです。
ペッペッペっと描いた絵具の重なりも。
全体をみれば素敵な作品なのに、細かいところが気になってしょうがない。
私が描いたら絶対納得できなくてボツにしちゃうな、
これでよし!と筆をおくことはできないだろうな、と思いました。
もっと綺麗に、正確に、バランスを考えて描いてほしい。

こんな綺麗な額にいれられ、長年愛されてきたモネの作品が好きになれないなんて、私センスないのかな、もしや感性おかしい??
これじゃモネを当初バカにしてのち屈辱をうけた批評家たちと同じじゃないか。。。
明るい「積みわら」の連作品をみながら、心の中で悶々としていたところ、

あ、私、完璧主義者なのかも。

そう気づきました。
彼はそこが大事じゃない!と思って印象派を確立したわけですが、私は、そうじゃなかったんです。
全体的なバランスがカチッと決まってる方が好きだし、筆のタッチから丁寧さを感じたいし、色のコントラストを大事に思ってる。
完璧主義者というのかわからないけど、
ただただ私の好みじゃなかった、ということなんです。

そう思うと急に面白くなってきました。
嫌いなものを知ると、反対に好きなものを知れるんです。
モネの作品を見ながらあぁここはこの色入れたいなとか、もっとキュッってしてた方が好きかもと心の中で呟きながら、新しい自分に出会えたことに興奮し、そんな状況を楽しめるようになっていました。

今までの美術館巡りで、この作品嫌いかも‥なんて思ったこと無かったんです。
むしろ、好きーなにこれ面白しろー!!て興奮することが多くて。
だから初めての感覚でした。
いい、これはいい。
ピンとこないな~と思った作品を見る展覧会というのは、案外、いやかなり楽しめるものだ。

そして前もこんなことあったな、と思い出しました。
従妹の大学でのスピーチを聞きにいった帰り、古民家リノベーションの素敵なカフェに入ったんです。
そこで私以外の人はグラタンを頼み、私はカレーを頼みました。
大きいソファに座れたし、店員さんもいい感じで、きっとおいしいんだろうなとワクワクしながら待っていたら、見たことないものがいっぱいのっかったオシャンカレーが運ばれてきました。

あれ、なんかドキドキしてきた。
恐る恐る口に運ぶと、ドカァーーンと衝撃が!!!!
といのは私の印象の話で、実際は真顔でしたが、ほんと衝撃のお味だったんです。
なんかねぇ、むっと鼻にくる感じ?
苦みと臭みの間、みたいな。
食べたことないけど、パクチーがこんな味なのかもしれないです。
今でもあのトッピングが一体どんな食材で、どんな味付けをしていたのか全然分かりません。

正直おいしくない。これはおいしいと言えない。
でも口には出さず、もくもくと食べ続けます。

するとなんかやってやるぞ!って気になってくるんですよ。
おもしれえ、こんな味は初めてだぜ!
てな感じで必死に食べました。
完食はできず、お腹いっぱいのふりしてちょっとだけ残しちゃったものの、口の中はその味でいっぱいでもはや何も感じなかったです。

でも、なんでかな、全然嫌な気持ちにならなかった。
店員さんいい人だし、手を込んで作ってるのが分かるんです。
おいしくないという新しい味を経験させてくれたんだなって。
その時も、悪くないって思ったんですよ。
むしろ食べてやったぜ、ふう。と満足感を感じるぐらい。

私はこういうカレー好きじゃないかも。
とっても王道なバーモンドカレー中辛がいっちゃん好きだ。
でもきっとこういうの好きな人もいるんだろう。
面白いな。と思いました。

ピンとこない、つまんない、おいしくない、楽しくない、がっかりする、こういう体験って、実は楽しめるんだ!!
そして楽しいだけじゃなくて、そこから気づきも得られる。
自分が好きなこと、大切にしていることが逆の方面から見えてくる。
これすごい発見じゃないですか?!
私はこのマインドに気づいてから、何にでも挑戦できる勇気をもらったと思います。
嫌だ、きらい!って思った感覚さえも大切にしていこう。そう思います。

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