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17歳の夏は、7月におわった。

今年の梅雨は長くて、7月が終わろうとしているのにまた今日も雨が降った。梅雨は明けてほしいけど、夏は暑いし焼けるしきてほしくない。


でもそんなわたしも高校3年間は野球部のマネージャーで、毎日太陽の下にいた。


中3の時に甲子園で中京大中京が優勝したのをなんとなく思い出して、マネージャーといえば野球だろと思って入部した。

そんな感じでめっちゃ野球が好きなわけじゃなかったので、監督にも「しおりは野球好きじゃないのによく続くな〜。」って言われたりした。


甲子園の予選のための夏の大会は、7月から始まる。

愛知県は約180校の中から、甲子園に行けるのは1校。


17歳の夏、球場のベンチで私の夏は終わった。

相手校の選手が歌う校歌を、「もう練習行かなくていいんだ。明日から何しよう。」なんて思いながら聞いていた。


ベンチでは1,2年生のすすり泣く声が聞こえてきたけど、同期の3年生たちは早く片付けろよーって感じで「みんな泣かないんだ、強いな。」と私もまだ冷静だった。


それなのに、ベンチの片付けの最後の確認をしてロッカールームに入ったら、みんな声を出さずに静かに泣いていて。後輩のすみませんと謝る声が聞こえた。

空気が重すぎて、早くその場からいなくなりたかった。あれ以上重い空気の場所は、2度と経験しないだろうな。


ロッカールームを先に出て、今日で引退という実感が湧かないまま球場の外へ。

マネージャーの同期と後輩が私の名前を呼んで泣きながら階段を降りてきたのが見えて、その瞬間に私も堪えていたものが全て崩れ落ちた。


人目も気にすることなく、とりあえずみんなでわんわん泣いた。私の高校生活は、17歳の7月に終わった。

そっからの半年はただ何となく過ぎていって、卒業式も泣けなかった。


街でおっきいバックを担いだ坊主の少年を見ると、懐かしい気持ちになる。母校の後輩たちの夏は、今年も7月で終わったらしい。


来年は久しぶりに、夏大でも見に行きたいな。夏は嫌いだけど。