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2024年4月14日「めんどくさがりの自分を予定通りに動かす科学的方法―意志力を使わずに自分が勝手に動き出す!」感想


Audibleでアガサ・クリスティを聴きまくっていたのですが、流石に食傷してしまいました。
人が死ぬのも、人に言えない秘密があるのも、探偵が出てくるのも、少しうんざりしてしまいました。
何より、うんざりしたのが、聴き終えるのに、長時間、かかること!
「サクッと聴き終えられる長さのものに変えた方が良さそう…。このまま行くと、Audibleに飽きてしまうかも…」という危機感を感じて、短いもの、人が死なないものを探していて、見つけたのがこちらの本です!
3時間57分!長編ミステリになれたものとしては、あっという間に聴き終えられる長さです。
著者は、竹内康二、出版社は、ワニブックスです。
予想通りさくっと、聴き終えたので、感想です。


このタイトルに惹かれない人間がいるのか?

「めんどくさがりの自分を予定通りに動かす科学的方法―意志力を使わずに自分が勝手に動き出す!」
長いタイトルですが、ほとんどの人間、おそらく大谷翔平選手や羽生結弦選手レベルでない限り、素通りできないタイトルです。
しかし、このタイトル、著者は不本意だったのは…と思います。
タイトルだけ読むと、自己啓発、しかも意識高い系の人が読み、気合を高める本のような印象を受けますが、
しかし、そういう本ではないのです。
この本は、著者の専門である、応用行動分析学を一般の人にもわかりやすく、そして使いやすくした本で、どちらかといえば、非常に真面目で地道な本なのです。
夢みたいなことは1行も書いてません。
どちらかと言えば、現実に次ぐ現実の本なのです。行動を記録し、分析、変えるべきところを変えるための行動を起こすやり方を伝える本です。
読んでいるだけで魔法のように解決する本ではなく、応用行動分析学に基づいて、「行動しよう!ちょっとでいいから」という背中を押してくれる本です。
何もしなくて、勝手に変わる本ではありませんので、それはお気をつけください。
しかし、聞いていると何か行動をしたくなる本ではあります!
これを聞くと、ジムに行きやすかったです。

やる気なんてものはない


個人的に、ようやく最近、「やる気なんてものはない」ということがわかってきました。
この世にやる気なんてものはなく、「やるか、やらないか」だけがあるのです。
やる気がやってくるのを待っていては、一生行動を起こさない可能性が高いのです。
この本はまさしく、そのあたりのことを応用行動分析学によって説明してくれています。
やる気がないこと、もしくはやる気のせいにしないということですね。
大きすぎる主語になりますが、日本人はやる気信仰が強すぎる気がします。
「そんなもなぁ、どこにもないんだぁッ!」と、やる気に対する信仰をかなぐり捨てるところから、めんどくさがりの改善は始まるのです。
「意志」とか「お気持ち」で何とかしようとする国民性を変えていく時期に来ているような気がします。
これ、政治にも仕事にも、深く関連する話なのではないか…と思っています。
国民や社員の「やる気」に期待しているんじゃないですよ…。
ちゃんと結果をくださいよ…と思ってしまいました。

即時結果>遅延結果の原則


第3章までは、理論の説明、第4章からはより実践的な話になってきます。
3章で「わからんなぁ…」と思っても、止めずに聞き流していってください。
第4章から第7章までは、かなり具体的ですし、出来ない人間でもひとつはやれるかも…と思うような提案が載っています。
めげずに聴き続けましょう。
というか、今書いたこのこと自体が、即時結果>遅延結果そのものですね…。
人間は、すぐに結果が出るものに飛びつきやすいということです。
著者は本書の中で、「これ(即時結果>遅延結果)はもう変えられない原則だからうまくやっていくしかない(勝手な要約)」というようなことを書いています。
この考え!これが大事だと思います。
自分の意志やお気持ちを高等なものだと思わない方がいいんです。
「俺らって所詮、そういう生き物なんだ。だからこそ、出来ることをやるしかないんだ」という方が健康な気がします。

目標を低くしろ


我々は高い目標を掲げることが何故か格好いいと刷り込まれていますが、これがそもそも間違いのようです。
「完璧を目指さない」、「完成を目指さない」ということが大切だと著者も言っています。
これは義務教育で教えるべきではないでしょうか…。
「もし成功しなくても取り組んだことを褒めるべき」というようなことを著者は書いています。
目標は高く持つべきではなく、低くするべきなのだそうです!
確かに…そうです。
note記事を更新すると決めてから、上手いか上手くないか、面白いか面白くないかは別にして、とにかく毎日書いていますが、このハードルにしてからかなり楽になりました。
「とにかく1,600文字書く」だからこそ、続けられているのです。
運動継続や食事制限も、目標を低く低くした方が、結局達成できるかもしれないです。
再度目標設定を考え直してみようと思います。
「野球選手は打率が3割あれば名選手。完璧に出来なくても、沢山取り組むことができればそれで良い」という著者の言葉には、ホッとします。
すごい人にならなくても良いのです。
とにかくやる普通の人で、十分、なのです。
希望が持てる!

セルフコンパッションと強化子


セルフコンパッションとは、自分への慈しみを意味するそうです。他人にするように自分を大切に思うことなんだとか。
セルフコンパッションの章には、「どんな時も"何度でも""やさしく"自分をはげまそう」という文章があります。
これ、実はむちゃくちゃに難しいですよね。
出来ない自分、やれない自分に、ものすごく意地悪で激しい憎しみを抱いてしまうことはわりと頻繁にあることでしょう。
そして、ひどい言葉を心の中で自分にかけてしまう…ということもよくあることだと思います。
しかし、著者は「自分に慰めたり励ましたりする声かけをしよう。それは自己強化になります」と言ってくれています。
他人の慰めや励ましと違って、他人に依存しなくて
も良くなるので、とても良いことなのだそうです。
その上「結果が出ていなくても、取り組んだことを自分で褒めることも非常に効果がある」そうです。
恥ずかしがらずに、自分を褒めていいということです。
「自分に厳しいのが立派な人」という考え方は、ひどく間違った古い考え方ということになりますね。
考え方のアップデートをしなくては!と思いました。
さて、強化子というのは、ものすごく簡単に言えば、ご褒美です。
著者は、強化子を5つに大きく分類し、自分がどういう強化子で動いているかを確認することを勧めています。
行動を改善するには、強化子を改善するのがコツなんですって!
また、必ず、ちょっと面倒なことをやった「後」に強化子を得るのが良いらしいです。
「取り組んだ後に強化子を得る」というのを繰り返すのです。
強化子は特別大きなものでなくても良いようです。水を飲む、少し休憩する、自分で褒めるなど小さなことでも十分だと聞いて驚きました。
大きなことをしなくてもよく、ちょっとした快を適切なタイミングで自分にあげるのが、上手くいくポイントだということです。
ダラダラ美味しいものを食べるのではなくて、ちょっと面倒なことを片付けた後に、美味しいものをちょこっと食べるようにしようと思います!

サクッと聴き終えた割には、とてもためになる本でした。
やる気がなくなった時に、再度聞き直したいと思います。
何かを変えたい方におすすめです。


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