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第28回 安心できるトイレ環境を確保するには司令塔が必要

みなさん、こんにちは。
毎週月曜日に更新する災害時トイレの連載です。

浸水時、2階のトイレは使えるの?

先週の講演会で、参加者から床下・床上浸水した場合、2階の水洗トイレは使えますか?という質問をいただきました。

浸水しているということは、下水道も浄化槽も満水だと思いますので、2階の水洗トイレは使えません。汚水が流れていかないか、どこかから溢れる可能性があります。

水害時の垂直避難の際にも、携帯トイレの備えが必要ということになります。

トイレ問題は命にかかわる

さて、今回のテーマは「安心できるトイレ環境を確保するには、司令塔が必要」です。

災害時には、安心して水洗トイレを使用できる環境をつくることが必要になります。なぜって、それはトイレが不便・不衛生になると、私たちは出来るだけトイレに行かなくて済むように水分摂取を控えてしまいます。

そうすることで、エコノミークラス症候群等になり、最悪の場合、関連死になるからです。

司令塔の不在

これまで大きな災害を経験しながら依然として改善できない原因の一つとして、司令塔(責任者)の不在があげられます。

前回、説明したとおり、トイレ対策に関わる部署は多岐にわたります。
また、水洗トイレは、便器だけがあっても機能しません。
給排水設備や電気設備の確認、衛生状態の維持、プライバシーや安全の確保など、様々な点に気を配りながら、すべての人が安心してトイレを使えるように取り組むことが求められます。

これらのことを関係者と役割分担し、調整しながら実現を目指す司令塔が必要なのです。

トイレのガイドラインに記されていることとは?

「避難所におけるトイレ確保・管理ガイドライン」では、市町村内において平時から関係各課が協力してトイレ対策を検討すること、発災時は「被災者に清潔なトイレ環境を提供すること」を目的として、部局横断的な情報の共有・対応が取れるような体制を確立すべきであることが示されています。

これを受け、徳島県は「徳島県災害時快適トイレ計画」を作成し、県および市町村において、災害時のトイレ問題に組織的に対応するため、関係部局の役割分担を明確にするとともに、総合調整を行う担当部局を定めることとしました。

出典:徳島県災害時快適トイレ計画 平成29年3月(徳島県、徳島県災害時相互応援連絡協議会)https://anshin.pref.tokushima.jp/docs/2017032500017/

これって、かなり重要なことです。
司令塔がなければ、外部からの支援を誰に伝えてよいか分かりませんし、避難所等のトイレニーズをどこが集約するのかも分からないと思います。

時間経過とともに変わるトイレニーズに対応する

安心できるトイレ環境を確保するには、被災者のトイレの困りごとを丁寧に把握することが必要ですし、トイレを配備するだけではなく本当に使えているのかどうかを確認することが求められます。

時間経過とともにニーズも変わってくるため改善を繰り返すことも大切です。これらを遂行するにも、司令塔の存在が不可欠です。

ご案内「フロントランナー」

2022年11月5日、朝日新聞の土曜版「フロントランナー」に登場します。
私もまだ見ていないのですが、かなりインパクトのある写真になったのではないかと思います。
ぜひご覧いただければうれしいです!


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