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2017年6月の記事一覧
【短編小説】その温度を知る由もない
昔の私から手紙が届いた。
実家から送られてきた荷物の中に、その手紙は入れられていた。米やら缶詰やらタマネギやらりんごやらがテトリスのように隙間なく詰め込まれたダンボールの一番上に、母親が書いたメモ書きを添えられて、薄ブルーの封筒は私を見上げていた。
メモ書きには見慣れた柳の葉のような細い筆跡で、『依田先生から届いたので、同封します』と書かれていた。
――依田先生。
声に出さずに、
昔の私から手紙が届いた。
実家から送られてきた荷物の中に、その手紙は入れられていた。米やら缶詰やらタマネギやらりんごやらがテトリスのように隙間なく詰め込まれたダンボールの一番上に、母親が書いたメモ書きを添えられて、薄ブルーの封筒は私を見上げていた。
メモ書きには見慣れた柳の葉のような細い筆跡で、『依田先生から届いたので、同封します』と書かれていた。
――依田先生。
声に出さずに、