『インセプション』との2度の出会い
クリストファー・ノーランの作品に初めて出会ったのは、『インセプション』が公開された2010年のことだった。当時9歳だった私は、いつものように映画好きの母に連れられて行きつけ(というより選択肢がそこしかない)の映画館でこの作品を鑑賞した。昔から映画好きだった家族は、今はその存在感もサブスクの影に隠れつつある「スターチャンネル」にチャンネルを合わせ、ジャンルを問わず家でよく映画を観ていた。その横で一人遊びに耽っていた当時の私は、遊びながらなんとなく映画を眺めていたり、目もくらむよ