【共感者求む】「オートマティスム」って、何だ?
まず初めに、この記事には皆さんの協力が必要です。
僕が物心ついた時から抱えてきた、長年の謎について一緒にお考えいただきたいと思います。
早速本題に入るのですが、僕は物心ついたときから19歳になった今に至るまで、毎日のように経験する「ある現象」があります。
その現象は決まって、ベッドに入って眠りにつく時に起こります。目を閉じてしばらく経ち、もうそろそろ意識が落ちるかどうかという瀬戸際の瞬間に、それは起こるのです。
この現象を言葉で説明するのが非常に難しいので、よく読んでください。
「言葉が何の脈絡も無く無数に繋がり、意味の無い文章を形成しながら無意識に頭の中をひたすら流れ続ける」のです。
僕の貧弱な語彙力でお分かりいただけたでしょうか。でもそれほどまでに、この現象を言葉で説明するのが難しいのです。
この現象について、僕はずっと悩み続けていました。両親や友人に聞いても、「そんな経験は無い」の一点張りです。テレビでもこの現象について取り上げているのを見たことがありません。Google検索をしようにも、どんなワードで検索しても引っかかりません。
言葉 頭の中 流れ続ける
寝る前 言葉 頭の中
言葉 繋がり続ける
どう組み合わせても、僕の求める答えは出てくることはありませんでした。
「もうこの現象は一生自分だけで抱えて行くしかないのか…」と諦めかけていた僕でしたが、何となく立ち寄った書店で、奇跡は起こりました。
詩集のコーナーを散策していた時に、ある本のタイトルが目に飛び込んできました。
『エリュアールの自動記述』
自動記述。自動、記述。自動記述…
そのワードに、妙に引っ掛かりを覚えました。
「もしかしたら、あの現象の手がかりがあるかもしれない。」そう思った僕は、本を手に取り紹介文を読んでみることにしました。
「何の考えもなしに不意に書きはじめられた語は、なぜ自らを探し求めるように連鎖していくのか?(中略)解読不能寸前のシュルレアリスム的テクストを解剖し、その原理を露わにする。」
紹介文を読み終わった僕は、しばらく立ちすくんでいました。完璧なほどまでに、あの現象を言い表していたのです。
すぐにその場でGoogle検索を立ち上げました。
エリュアール
で検索をかけました。Wikipediaを参照してみると、どうやら自動記述というのは一種の表現技法で、その根幹には「シュルレアリスム」という芸術運動が大きく関わっているようでした。
シュルレアリスムとは、フランスの作家アンドレ・ブルトンによって提唱された芸術運動で、無意識の探究を目指すものだそうです。定義としては、
「口頭、記述、その他のあらゆる方法によって、思考の真の動きを表現しようとする純粋な心的オートマティスム」
と、ブルトンによって定義されているようです。
そして、定義の最後に出てくる「オートマティスム」という語は、直訳すると「筋肉性自動作用」というもので、
「あたかも、何か別の存在に憑依されて肉体を支配されているかのように、自分の意識とは無関係に動作を行ってしまう現象」
と定義されています。
ここで、もう一度僕の抱えていた現象について思い出していただきましょう。
「言葉が何の脈絡も無く無数に繋がり、意味の無い文章を形成しながら無意識に頭の中をひたすら流れ続ける」
まさに、オートマティスムの定義にピタリと合致することがお分かりいただけたかと思います。
ここで驚くべきなのは、僕はこのオートマティスムという現象を単に自分の頭の中だけで終わらせていたのに対し、先ほども登場したシュルレアリスムの創始者アンドレ・ブルトンは、何とこの現象を紙に書き起こすことを試みたのです。
しかも、その試みを行うにあたって、ブルトンは「眠りに着く前の意識の朦朧とした状態」を選んだというのです。これには本当に感動しました。
100年前の詩人が、僕と同じ現象を経験していた。しかも、それを芸術として昇華させることを試みた。
今まで抱えていたあの現象についての悩みが一気に晴れ、ブルトンに「よくここまで辿り着いたね」と迎えられたような気もしました。
さいごに、ブルトンがシュルレアリスムを芸術運動とすることを宣言した著作『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』から、実際にオートマティスムを用いて書いた文章を引用したいと思います。
「…公園はその時刻、魔法の泉の上にブロンドの両手をひろげていた。意味のない城がひとつ、地表をうろついていた。神のそば近く、その城のノートは、影法師と羽毛とアイリスをえがくデッサンのところでひらかれていた…」
どうでしょうか。全く意味がわからないことだと思います。ですが、このように意味を為さない文章が、今でも毎晩、僕の頭の中を巡っているのです。
「同じ現象を経験したことがある!」という方、「私の場合はこんな感じだった!」という方、是非コメント欄で教えてください!それ以外の方でも、コメント大歓迎です!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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