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報道への意見

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うしをいが報道に対して書いた記事をまとめています。
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記事一覧

「コロナ待機期間短縮」に怒る人に知って欲しいこと

コロナの濃厚接触者の待機期間が7日から5日になることについて「これまで待機していた人は何だったんだ」と怒るテレビのコメンテーターがいた。 でも、これまで7日であったことは決して無駄ではない。なぜなら、これらはあくまでも「リスク」をどこまで許容するかだけの話なのだと思うからだ。 そもそも、コロナウィルス感染症という病気が人間の体に発生する症状である限り、何事においても「絶対」ということはない。ご存知の通り、全く無症状の人もいれば、10代で重症化する人や何日経っても咳が治らな

「人間の盾」、「大量破壊兵器」イラク戦争時のアメリカの主張を真似るロシアを誰も信じない理由

ロシアはウクライナ侵略の中で、市街地や各施設を攻撃する理由について「ウクライナは国民を人間の盾に利用している、大量破壊兵器を製造している」と説明しているようである。 これを聞いて、湾岸戦争やイラク戦争時のアメリカの主張を思い出した。 アメリカも、全く同じことを言っていた。フセイン大統領が国民や外国人を「人間の盾」にして、また「大量破壊兵器を製造している」と主張して攻めていた。 でも、残念ながらこの2国の主張の信憑性は全く違う。 なぜなら、アメリカには報道の自由があるか

ロシアのウクライナ侵略で、もはや「国際情勢マニア」の知識は無意味となった

先日、妻に「プーチンは本当に核を使うのかな」という質問をされ、長い時間考え込んでしまった。以前の僕なら間違いなく「あり得ない」と言っていたところだが、今はもう何が起こるかわからない。 ここ数年の予期不可能な国際情勢の中、ぼくらのような少し変わった「マニア」の知識がほとんど無意味になったと感じた瞬間だった。 「国際情勢マニア」とはスポーツや音楽、車などなど、いろいろなマニアがいる中で、ちょっとインテリぶることができるのが、一般の人より国際情勢に詳しい「国際情勢マニア」だと思

ウクライナは、日本と全く同じ状況だ

ロシアのウクライナ侵攻について「国際秩序を揺るがす恐ろしい出来事が起こっている」いうことは理解している。ただし、どうしても距離的に遠いこともあって、多くの日本人のその危機感は、ヨーロッパの人たちとは違っていると思う。 しかし、よくよく考えてみると、日本はウクライナと全く同じ状況なのかもしれない。 ロシアに、国土の一部を実効支配されていると言う点において。 ロシアは約75年前に北方領土を占領した。第二次世界大戦直後のことで、今と日本もロシアも置かれている状況は全く違うけど

選挙は「行っても変わらない」のではなく「行かないから変わらない」

衆院議員選挙まで、ちょうど後1週間。 該当インタビューなんかで「どうせ行っても変わらない」といった意見を言う人がいる。 でもそれは違うと思う。むしろ「行かないから変わらない」のだ。 例えば、若者の投票率が低いとよく言われているが、当選者つまり国会議員は、その仕事を続けるためには、投票者の意見を当然気にする。 だから、投票者の年齢層が高ければ、当然高い年齢層に有利な施策を推進しがちになる。 「今の年金はキープして、将来の年金を安くする」といった形だ。 でももし、若者

ひろゆき氏「消費税ツイート」の明らかな間違い

著名人が、政策についてあれこれ意見するのはいいと思う。一般国民と同じ目線で議論できるのだから「専門家でなければ話してはならない」と言うつもりはない。 でも、ある程度影響力のある人が発言するときは、それなりに検証や裏採りをしてから行うべきだと思う。また、それを報じる報道機関も。 というのも、先日ニュースになったひろゆき氏のツイッター 「5000万円のマンションが、消費税10%だとざっくり5500万円です。消費税5%になると5250万円」 という発言は明らかにおかしい。

「菅総理辞任」に喜ぶ人が知るべき「耳の痛い真実」

菅総理が自民党の総裁選に立候補せず、辞任する意向を固めた。 このニュースを聞いて「ダメな首相がいなくなれば、日本がより良い方向に進む」と喜んでいる人がいるとしたら、それは大きな間違いだ。 もちろん管政権にはたくさんの課題があった。特に首相の情報発信力の低さのために、さまざまな誤解や国民への動揺が広がったことは確かだ。 日本の問題は「仕組」にあるだがそもそも、例えば今わたしたちが一番フラストレーションを持つコロナにまつわる問題をはじめ、日本が抱える多くの課題の原因は、首相

「コロナを拒む若者」はメディアが作った虚像

最近かなり減ったけど、一時期「若者はワクチンを受けたがっていない」とか「SNSで見た間違った情報を信じている」とかいうことが盛んに報じられていた。 でもこの話、ほとんどはメディアが作った虚像だと思う。 少なくとも、ぼくの周りの20代で、「ワクチンが不妊につながる(嘘情報)」とか「マイクロチップが入っている(嘘情報)」といったことを信じている人はいない。 知り合いの美容師さんはたくさんの大学生の散髪を担当しているけど、ほとんどが大学で接種しているか、接種したいけれど予約が

「ファイザーワクチン」って未承認だったのね

「ファイザー ワクチン承認へ」の記事を見た時、「あれ、また新しいワクチンを開発したの?」と思ってしまった。 もちろん実際は違っていて、今まさに日本人が打っているワクチンが、まだ正式承認されてなかったのだ。 人間の記憶というものは頼りないものだ。 おそらく、昨年末から2月くらいにかけて「未承認だけど急いで緊急承認して打ちましょう」という話を、何度も新聞で読んだり、テレビで見ていたはずなのに。 そもそも、自分の体に打つものについて、承認されていないかどうかも覚えていないな

「親の七光」のはずの豊田社長が嫌いになれない

親の仕事を継いでトップになった、いわゆる2世の社長について、ついついうがった目で見てしまう。本人の実力でそこまで上り詰めた人もいるのだと思うのだけど、どうしても「親の七光り」と思ってしまうのだ。 きっと、自分自身がサラリーマンの子供だから嫉妬なのだと思う。あくまでも偏見である。ただ、そんな中、トヨタ自動車の豊田章男社長だけは、どうしても嫌いになれない。 章男氏は、厳密には2世ではないけど、いわゆる豊田一族のひとりとして社長になっている。だから、まさに「親の七光り」のはずな

アフガン支援「全て無駄になった」は間違いだ

アフガニスタンの政権をタリバンが掌握したことで「この20年の支援は無駄だった」という論調が強まっている。 でも、冷静に考えてみてほしい。決して全てが無駄だったわけではない。 中村哲さんが作った用水路は、これからも農地を潤し、そこでできた作物はアフガニスタンの国民を豊かにするはずだ。 日本政府が支援してできた学校や道路などのインフラだって、これからも現地で生きる人々のための役に立つはずだ。 そして何より、アフガニスタンの人にとって、軍隊以外の方法で支援していた「日本」へ

感染力「水疱瘡レベル」では分からない

この間ニュースを見ていたら「感染力は水疱瘡レベル」という見出しがあったのだけど、見た瞬間に頭が「?」になった。 まず「水疱瘡」の漢字が読めなかった。ちょっと考えてみたら「みずぼうそう」だなと何となく理解したのだけど、そこで二つ目の「?」だ襲ってきた。 そもそも水疱瘡の感染力って強いの? そりゃ、水疱瘡ぐらい知っているし、子供の頃に感染したような気もするけど、それがどの程度の感染力かなんて全く知らない。 メディアが「国民がみんな分かっているし、この見出しでいい」と思い込

月刊誌Wedge(ウェッジ)を読むべき3つの理由

最近月刊誌のWedge(ウェッジ)を定期購読するようになった。 これまでも、ネットの記事はよく見ていて、他のメディアと違った視点が面白いと感じていたのだけど、定期購読してみて、本当のこの雑誌の素晴らしさに気づいた。 そこで今回は、このWedge(ウェッジ)の良いところを簡潔に3つあげておきたい。 1 視点が深い通常のメディアの記事よりも、その背景を深掘りし、その事実が発生した歴史的経緯などにも焦点を当てたり、まだ通常のメディアが発信していない情報を特集したりしてくれる。

戦後20年で「五輪開催の日本」と「政権崩壊のアフガン」明暗分けた理由

アフガニスタンの民主政権が崩壊した。メディア、専門家、情報機関のいずれの予想も遥かに上回るスピードで(今となっては元)反政府勢力のタリバンが全土を制圧した。 そのニュースの中で、アメリカがタリバン政権を倒して民主国家を建国して「20年」という説明があった。つまり、戦争が終わって20年も経ったというのに元の状態に戻ってしまったのだ。 20年という歳月この20年という年月。同じ、アメリカにより民主化された日本について考えてみると、日本は民主化されて約20年後に東京オリンピック