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マッチングアプリ交友録 Vol165

マッチングアプリをかれこれ3年ほど続けた。そして、かれこれ150人程の女性に会った。食事だけで終わることも、千載一遇、一夜で終わることも夜の関係が継続することもあった。とりわけ大きな出来事は、一昨年のこと。苦節2年半、漸くマッチングアプリで彼女ができた。そして、クリスマスの日に、交際約4ヶ月で別れた。文字にするとギュッとして、中身の無い出来事のように思えてしまうのは、単に筆力の無さなのかすらもわからないまま、マッチングアプリを続けている。でも3年も何かを続けるって凄くない?褒めてください。

Vol165 生物的に強い男がモテる説ってマジ?

季節外れの猛暑日に、近所を歩いていた。
橋の先、眼の前に聳える大聖堂。敷地内に建つ宗教系の学校の体育館から漏れ聞こえる学生達の声。「高校生だろうか。おそらく男子で声変わりの後、野太く、熱い。」

大聖堂に近づくことができず、手前で立ち止まった。橋を渡る手前に留まっていても、体育館にはどんどん吸い込まれていく、ような気がした。

手を触れると火傷しそうなほど暑い欄干に身を委ね、高校生が狂乱の中、運動するのを感じる。おそらくバスケだろう。走る足音、声がけのタイミング、熱い声。見なくても聞くだけで、計ることができた

青春という優しく爽やかでキラキラしたものは幻想だ。
錯乱とまではいかなくても、”行く宛のない欲望、怒り、汗”が熱を帯びた空気になって、ぶつかり、反響して、狂う。

留まり続けていたら、体育館内のそれらの熱と同化した。梅雨の切れ間の茹だる暑さで、意識が朦朧として、錯覚したのかもしれない。

汗は止まらない。体の中から水分を抜くことを水抜きというらしい。今日は水抜き日和だ。

と、書き出してみたのは、これから綴る一つの出来事を固有名詞という文章における水分を極力排除して、抽象化したいと思ったからにほかならない。

年を取ると、持病がなくて体が強い動物的な人間がモテるということに気づく。動物的、オス的な男がやっぱりモテる。
小学生の時からそういうもんだったかな。

なのでまあ、別段体が強いわけでも、鍛えているわけでもない、色も白い29の男がモテるわけはなかった。しかもどっちかと言ったらインドアだし。車運転できないし。変に個性出そうとして髪伸ばしてるし、髭だし、メガネだし、話面白くないs….もうダメじゃん。でも、最近流行りの感染症にはなってないけどな!

モヤモヤしながらベットでアプリをいじる。「お、マッチした。」
マッチしたからには、やるしかないじゃん!そうじゃん!「そうだね、プロテインだね。」と言うが早いか、スポーツジムへ駆け込んだ。そんなことは、ありません。

ところで相手は、同い年の女性Aさん。最近仕事で3年ほど住んでいた大阪から戻ってきて、彼氏を見つけるために、始めてみた。とのこと。

待ち合わせに遅れるAさんを待つ。夜の大通りは車のヘッドライトが眩しく、街灯や店から溢れる光が交錯して、吸い込まれそうになる。

ようやくAさんが到着したのは待ち合わせ時間の30分後。電車の乗り換えを間違えてしまったみたいだ。そんなことは余裕で受け流すのが30代のモテる男だと知っている。「全然大丈夫ですよ!行きましょう!」

詳細は聞かなかったけど学生時代に遊びすぎた話や今働いているベンチャー企業の話、同い年だからこそ共通点も多くて、なんだかイケる気がしていた。

お酒もそこそこに、歌えるバーへ。流行りのJPOPを歌いこなすAさん。負けじと中学時代に好きだった日本のロックバンドの歌を入れる。最近出した新曲のジャケット、めっちゃ老けてたおじさんのやつ。叫んだ。飲んだ。そして2時。

大通りを並んで歩く。「家近いし、くる?」「いや少し奥にオアシスがあるのにいくわけないじゃん!」

お互いの近場で飲んだことが足かせになった。

タクシーが捕まらず、ダラっと歩く。手持ち無沙汰だったから、手を繋いでみたものの、なんかぬるい。僕に対しての熱はないみたいだ。

家近いし、くる?
家近いし、くる?

読点入れちゃうあたりがモテないのかもしれない。生物的にモテない訳ではないと自分に言い聞かせる。
うん、決して、そうじゃない。

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