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マッチングアプリ交友録 Vol154

マッチングアプリをかれこれ3年ほど続けた。
そして、かれこれ150人程の女性に会った。
食事だけで終わることも、
千載一遇、一夜で終わることも
夜の関係が継続することもあった。

とりわけ大きな出来事は、
昨年、苦節2年半、漸くマッチングアプリで
彼女ができた。
そして、2021年のクリスマスの日に、
交際約4ヶ月で別れた。

文字にするとギュッとして、
中身の無い出来事のように、
思えてしまうのは、
単に筆力の無さなのかすらも
わからないままマッチングアプリを続けている。
でも3年も続けるって凄くない?
なんて言ってくれる人どこかにいますか?
いたら、いいねしてください。 

Vol 154 ベールに包まれた本質

赤坂見附駅から会社までの通勤途中、
Tバックが透けている女性がいた。
思わず、歩くスピードを抑えてしまった。
いつしか、右足、左足、右足、左足、
右肘、左肘、交互に見て、
とステップのタイミングがシンクロする。
こうして、ストーカーはバレるのだろう。
なんか、怖くなって歩くスピードを上げた。

「物事の本質はそれ自体が美しいのではなく、
本質をうっすら透かして覆うベールが何よりも、
真実で、ずば抜けて美しいのである。」

と、哲学者であるハイデガーは言った。
いや、少しニュアンスが違う。
彼の著作の中で、あくまで比喩として、そう述べていた。と、言った方が正しいだろう。

ただ、僕は彼の本を読んだことはない。
つまり、そんなのは嘘。
透けパンをストーキングしたことの言い訳を述べたいだけだ。

思えば、GWの最終日も僕は本質を求めていた。

長期休暇の終わりを告げる夕日を重く湿った雲が覆い隠す。
無邪気に自転車を漕いで高円寺に向かった。

169㎝、アニメ、映画、お酒も好き、そしてオシャレな栄養士の女性。
GW最終日に最高にキュートな女性と飲む。
何を隠そう僕は長身の女性が好きだ。

夕焼けがゴールになる青春ドラマ。
環状七号線の果てに沈む夕日を目掛けて、チャリを漕ぐ28歳は青春ドラマになり得るか?

否。虚しくて、なんか鬱屈した感じがする。

ただ確かなことは、その時僕は、高円寺に一つしかないラブホテルで最高なフィニッシュを迎えることしか頭になかったということ。

「高円寺といえば、の居酒屋に行きましょう。そのあと僕が通う行きつけの居酒屋も案内しますね。」

「いいですね。高円寺といえば、教えてください!」

感嘆符付きの気持ち良い二つ返事で、順調に滑り出した。

高円寺といえばの”大将”に着くと、

「16時からエイギョウデス」

外国人スタッフの頑ななカタゴト。
1時間早かった。誤算。

ただ、伊達にマッチングアプリで高円寺を乱用している俺じゃない。
思考回路が音を立てて回転する。
すぐさま方向を転換。高架下の雑多な大衆酒場に行くことにした。

建付けの悪い木の椅子とカラーコーンで形作れたテラス席に滑り込み、ハイネケン。

Aさんもビールを頼んだ。

初対面同士がマスクを外すという、コロナ禍で最も緊張感のある場面。

「あれ、ん?ちょっと口があれだな。ちょっと主張強いな。」

そこまでのマイナス要素ではなかったので、切り替える。
日常的に高円寺という街の寛容さに触れている僕は、ちょっとしたことでは動揺しない。

デート前のLINEでは、鋼の錬金術師の話をしていた。Aさんは言う。

「二人で好きなアニメとかドラマとか、共通のテーマを作って話すことが好きなんです。」

「めちゃくちゃ共感します。お互いの好きなシーンとか話し合うの楽しいですよね。」

こんな流れで、ハガレンの話をしたもんだから、本当はデート前にハガレンを予習しておきたかった。けど、暇にかまけて、観なかった。
なんていうか、ハガレンてグロくない?
小学生時代に植え付けられたトラウマを今も引きずっている。

ハガレンの話も膨らまず、アニメや仕事、プライベートの話を行ったり来たり。
雰囲気がだらっとし始めたところで、3杯目のビールを飲み干して、
「次!行きましょう!」

Aさんもこの時点で同じ量飲んでいたから、
お酒飲めるんだな、と心の中で試合開始のホイッスルが鳴った。
お酒を飲める=持ち帰れるという安易な方程式が頭と体に染み付いている。

大将でも同じように、アニメや仕事、プライベートの話。

陽が落ちて、さして美味くないつまみにも飽きたところで、3軒目に向かうことに、
「次!行きますよ!」

この時点で僕は結構強気になっていた。仕上がっていた。

3軒目はネオ大衆居酒屋、あんぽんたん。
ここは何が良いって、食事美味しい、タバコ吸える、お酒美味しい、店員さん活発で接客が気持ち良い、音楽が良い。

そしてラブホ近い。

ここでしこたま飲んで、しれっと裏道にそれたらラブホテル。

そんなチャンスをみすみす逃すのやついる?あたいだよ!

3軒目でもう、肝臓が悲鳴を上げていたのもあって。

「さあ、そろそろ行きましょうか。」

と、若干音楽の話で盛り上がったから、カラオケを提案した。

AさんがaikoやYUIを無難に歌う。
世代ドンピシャだったから、ちゃんと盛り上がった。

なのに、カラオケの構造に阻まれる。
全然距離が縮まらずに、タイムアップ。
カラオケのL字型ソファの存在意義を問いただそうと思う。

二人で喫煙所でタバコを吸って、駅へ。
Aさんはタバコも吸うから、一緒に飲んだりするのには最高な女性だ。
ただ、何かが引っかかった。

Aさんが話した元カレ。
1歳下で高卒。電車の運転手。
プロポーズもされたけど真面目過ぎたから別れたらしい。
真面目過ぎる男と4年も付き合っていた。
ベールに覆われず剥き出しになった強すぎる真実が自分の不真面目さを浮き彫りにした。
だからかはわからない。

ただ、一つ言えるのは、Aさんは、確実にパンティを透かさない女性だ。
その日も厚めのジーパンを履いていた。

パンティが透けてる女性は、それはそれで、若干淫乱っぽくて好きじゃない。

けど、直接的じゃない感じのたまたま透けちゃいました。の感じのが爽やかで良いのさ。

油断のある女性、come on。

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