Kaoruko

イタリア、フィレンツェ在住20年。ジュエリー制作をしています。ダンテ研究家で詩人のイタ…

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イタリア、フィレンツェ在住20年。ジュエリー制作をしています。ダンテ研究家で詩人のイタリア人の夫、二人の娘と一匹のキジトラ猫と暮らす中、制作についてのあれこれを綴っていきます。アメブロ、https://ameblo.jp/verisic/にも書いています。

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青春の終わりと情熱の国

大学時代からつきあっていた彼と別れた日から、ただの積立貯金が、留学貯金へと変わった。 当時私は、大学卒業して一年目、実家の旅館に戻り、家業を手伝っていた。 氷河期真っ只中のその年、もしもあのまま京都に残り、学習出版社の営業職に就いていたら、この彼とは、もう少し長く続いただろうか? 本人が感じていた以上に、この別れの痛手は、身体に顕著に現れた。 体重が5キロ減り、目の周りが、カサカサと赤くなり、化粧ができない状態になった。 アトピー性皮膚炎発症。 皮膚科に行って、副腎皮

    • 彫金もテニスも小さな変化が進化につながる

      ここのところ、集中した充実の日々を送っている。 いい感じの時もあれば、なんだかパッとしないなぁという時もある。 どんな時もその波を感じつつ、できるだけ気持ちよく過ごすように心がける。 フィオル ダ フィオーレシリーズは2018年の新作として、夏の個展や二人展で披露したもの。 しかし石留め職人泣かせのしろものだったので、モデルの作り直しをする。 完成間近で、留めてあった石が取れたり、とほほ…ということがあった。 石座がもう少し高ければ、石が取れることもない。 と何度も言われた

      • 外国に住み母への思いが溢れ出した瞬間

        制作をしていると不測の事態が起きることも結構ある。 母の誕生日プレゼントを、制作して日本に帰る友人に託そうと思っていたところ、 鋳造の不具合と、私のチェックの甘さが引き起こした、 彫りの時点、制作の終盤でメタル部分が剥がれるという 落胆の瞬間があった。 時間がない時に限って、こういうことが起きる。 大切なのは、 「なんで! どうして!」 という考えに苛まれそうなところを、 「ではどうするか?今できることは?」 と自分への問いかけを変更する必要がある。 そこまでに費やし

        • 世界を旅するジュエリー

          なんの変哲もない毎日は、 みんなが健康な証だということ。 ありがたい思いで 制作に励み、テニスレッスンに通い、 そして皆さまに喜んでもらえることに、頭をひねる。 皆さまというのは、 私の作品を選んでくださるお客様をはじめ、 このブログを読んでくださる読者の方々、 そして、友人知人、家族に至るまで 自分を取り巻く人々のこと。 午前中のひと時は、ブログを書いたり、 このあれこれと考えることに時間を費やす。 新しいノートを買って来て、アイディアをどんどん書いて

        青春の終わりと情熱の国

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          誕生石やパワーストーン入りジュエリーを身につけるとどんなふうになる?

          12月の誕生石を使って、ギルランダペンダントを作ってもらいたい! というお客様のご要望にそうために石屋に行った私だったが、 そこで見つけたタンザナイト。 小さいけれど、色のバリエーションも紫に近いものから、ブルーグレーのものまであった。 この石について調べてみると、 もともとはゾイサイトという名前で、 その中にバイオレットブルーの「タンザナイト」、 マンガンを含むピンク色の「チューライト」、 ルビーと共存する「ルビーインゾイサイト」、 グリーンの「アニョライト

          誕生石やパワーストーン入りジュエリーを身につけるとどんなふうになる?

          物作りで最も高揚する瞬間

          「作っている過程で、どこが一番嬉しいですか?」 と尋ねられた。 あまり深く考えたことがなかったので、すっと答えが出なかった。 私の場合、簡単なデザイン画から、作業に入るので、作っている間に、イメージとの違いが出てくることもある。 そこを修正していきながら、できつつある形がイメージに近くなると ゾクゾクする。 そしてできあがった物が、イメージ通り、或いはそれ以上だと、 その高揚感は じわじわと喜びの気体とも液体ともいえないものが、色味を帯びて体の中を満たしていく

          物作りで最も高揚する瞬間

          フィレンツェスタイルリングができるまで

          ここのところ、二点一緒に制作しているフィレンツェスタイルリングであるが、下の写真は、彫りがようやく完成したところ。 あとはこのリングを磨くだけ。 とは言え、この穴一つ一つに木綿糸を通して磨いていくので、これまた結構時間がかかる。 このリングはまず半分(鋳造から上がってきた2ピース)の状態から形成していく。 (鋳造前のモデル作りは上のようにシンプルなリングを作り、それを半分にして、リューターを使って穴を開け、一つ一つマーキースの形に糸鋸を使ってカットしていく。) 鋳造

          フィレンツェスタイルリングができるまで

          女性がそれぞれの自分色を出して輝くために、思いを込める。

          若かりし頃には、仕事漬けで休みのない日々もあった。 ずっとこのままかなぁと、自分のしていることと好きなことの狭間で揺れていた。 惰性で流れていきながら、少々お疲れ気味の毎日だった気がする。 今は母親業をしながら、好きな仕事をしている。 子供と過ごす時間がどれだけ貴重であるか、感じながらも、仕事に追われている時はそちら中心になることもある。 子育ての間には、まとまった制作時間を取ることができずに、イライラとなることも多かった。 育児をしながら働く女性の、誰もが感じるジレン

          女性がそれぞれの自分色を出して輝くために、思いを込める。

          忙しい人の、好きなことの習慣化は習慣がついた後が肝心

          コロナが席巻する前の生活は、仕事と制作と、家事子育てに追われながら、時間を捻出して、 好きなこと=彫金作業 を少しでも習慣化しようとがんばっていた。 今は制作と家事の二本柱になり、かなりゆとりが出てきている。 そんな少し前の自分はこんなふうに、好きなことを日常に組み込む努力をしていた。 4年前の私 何かを習慣にすると、それをしない日はなんだか変な感じがする。 その変な感じが数日続いても、今度はしないことに慣れていくと、せっかくできた習慣も消えていく。 私の場合、彫金作

          忙しい人の、好きなことの習慣化は習慣がついた後が肝心

          世界中の人に身につけてもらえる喜び

          女が日本語教室 いろはにほへとへ通っている間に ステファニアのセレクトショップL’albero Capovolto に寄って、納品する。 いつものルナに加えて、今回はオンダも追加で持って行く。 クベットの他は今までは安価なシリーズ中心においていたが、 もう少し幅を持たすために他のタイプも入れて欲しいとのことだった。 私にとっては、嬉しいご要望だ。 ここイタリアでは、ルナシリーズのようにカラフルなタイプが好まれる。 外に面したウィンドウには小粒だが色鮮やかなバッケが

          世界中の人に身につけてもらえる喜び

          ミロシリーズの名前の由来

          こんにちは。 フィレンツェで彫金職人をしているKaorukoです。 今日ご紹介するのは、フィレンツェで習った西洋彫りを入れたMiroシリーズ。 ネーミングはほとんど主人にお願いしているのですが、今回もまた彼の意見を尊重してつける。 できあがったペンダントトップを見て 「ミロの絵みたいだなぁ」 という一言を言われ、 私自身、 「そう言われてみれば、そんな感じだ〜〜」 と納得。 でも、私がインスピレーションを受けたものは、実は日本の茶室や書院造の中でお目見えする丸窓

          ミロシリーズの名前の由来

          ゴッチェシリーズができるまで

          今日はゴッチェシリーズ についてのエピソードを! ゴッチェとは、イタリア語でしずくを意味します。 ジュエリー学校に通っていた頃より、流線型、なめらかなしずくの形が大好きで、それに石をいれたペンダントやピアスを作り、愛用していました。 冒頭の写真がゴッチェシリーズの中サイズ。大きさの違うジルコンを二粒いれています。 そして下の写真が、ゴッチェシリーズの小サイズのピアス。こちらにはプチっとジルコンが一粒。 私の名刺のロゴもしずく型です。 そして、このシリーズのメインに

          ゴッチェシリーズができるまで

          ダンテイベントがめじろおし

          私の夫はイタリア人教師。 そして詩を書いており、近年詩集もそれなりに評価をいただいている。 そこに加えて、ダンテ研究にも燃え、 今は亡き、ビットリオ セルモンティ氏の元に通って、研究は深まっていった。 セルモンティ氏は、映画監督でもあり喜劇俳優のロベルト ベニーニにも、ダンテについて教えていた。 数年前、語学学校の教室で始まったダンテ講義は、イタリアの教会でポツポツと行っていたのだが、 どこで誰が聞いているのか分からない! フィレンツェのダンテ研究会からお声がか

          ダンテイベントがめじろおし

          コロナ禍ゴールデンウィーク、子供と何する

          コロナでせっかくのゴールデンウィークをどう過ごすか? 頭を悩ませる親ごさんも多いだろう。 昨年の今ごろは、イタリアは完全ロックダウン中で、必需品の買い物と、ゴミ捨て以外は、家から一歩も出ることができなかった。 そんな中、毎日子供を楽しませることに頭を悩ましていたことを思い出す。 その時の、ほんのちょっとした特別なことで、子供がとても喜んだことについて今日は触れてみたい。 以前から、次女としようと思っていたパン作り。 いざ作ろうとしたら、ドライイーストがなかったり、

          コロナ禍ゴールデンウィーク、子供と何する

          海外で夢を実現するには?

          こんにちは。 フィレンツェでジュエリークリエーターをしているKaorukoです。 コロナ禍で海外へは行けないけれど、心は留学へとときめいている方に、何かお役に立てればと思い、 どういう経緯で、ここまでたどり着いたか?自分自身の経験をもとにお話ししたいと思います。 私は、28歳の時、フィレンツェに来て彫金を学び、その後ジュエリーの工房で修行をし、自分のライン を展開するようになったわけですが、遠い過去の記憶を辿って見ると まず海外云々の前に、自分の夢が何なのか?突き

          海外で夢を実現するには?

          クベットシリーズが生まれるまで

          今年に入って、イヤーカフも作り始め、広がりと深みをどんどん与えてくれているキューブシリーズ。 HP内ではイタリア語、クベットというシリーズ名で展開されていますが、VersiColori の人気商品です。 今日はこちらが誕生した時のことをちょっと思い出してみようと思います。 こちらは長女出産後の、仕事復帰前(今から約14年前)に最初の作品としての形になりました。 と言っても、こちらの基本になる立方体を、重量感のあるチェーンに通しただけの、何も考えていないしろものでした。

          クベットシリーズが生まれるまで