ここ数年、ずっと迷走していた。いや数年じゃないよ。物心ついてからずっと迷走し続けてきた気がする。何かを達成したら次の目標、次の目標が達成したら、ハイ、次の目標。駆け抜け続けてきた気がする。おかげで二年前には念願の訳書が出版できた。でもそこからまた、苦しい日々が始まった。

次の目標はどうしよう。

訳書をもう一冊出すか。
ちょっと趣向を変えて小説でも出版するか。
それとも年収を今の倍ぐらいにするか。

何かチャレンジしてみようと思って手を出してみても、横から次々に仕事が入ってくるのですぐに頓挫する毎日。小説を書こうと思って一日数枚ずつ書き溜めていったこともあったが、数日も続かない。だって生活している以上、すぐにお金が入る仕事が優先だもの。出版社に翻訳持ち込みでもしようと思ってチマチマ企画書を書いてみても続かない。何度も言うけどすぐにお金が入る仕事が優先だもの。

家庭と仕事を全力で回しているのに、「次の目標」に向かって使える余剰な時間なんて私にはなかった。

それでもコンサル系の人とか、スピリチュアルカウンセリングとか、占いとか、「何月にチャンスが！」「チャンスを掴むには！」「チャンスを引き寄せるには！」って話をしてくる。いつも気持ちは焦るばかりだった。

それが、先月、ちょっとしたツテで視て頂いた占い師さんに。「もうあなたは成長しなくていい！！！！」って言われたんですよ。一瞬頭をハンマーでガーンってやられた感じだったよね。「成長しなくていい」ってどういうことだ？？？って。

「あなた、自分で自分のこと虐めてるの！！！お母さんがあなたに成長しろ成長しろって言ってきたことをね、あなたがあなた自身にやってるだけなんですよ。もう成長しなくていいの！！」

えええええええええええええええ

私、「成長しなくていい」って言われたの、生まれて初めてだったんだわ。そういう言葉自体が自分の辞書になかった。だって、成長しなければ自分は母の愛を得ることができなかったんだもの。

いい中学に入ってね？
次はいい大学に入って？
次はいい就職して？（←これは挫折）
だったらいい大学院入って？
次は学振の特別研究員になって？（←ここを叶えたところで限度超えて病んで中退）
次は翻訳書出して？
次は？次は？ねえ次は？？

私の人生は果てしなく「次は？」を求められるものだったのだ。だから私は、とにかく成長しない自分はこの世で居場所がないと思っていて、居場所を求めて自分に厳しい目標を課し続けてきたのだと分かった。

「あなたは成長しなくていい、そしてあなたの息子も成長しなくていい。あなたが親に求められてきたことを、自分自身や息子に押しつけないで」

私、占いが趣味なんで、いろいろな占い師さんに見てもらってきたよ。でもさ、でもさ、「成長しなくていい」って言われたのって初めてだったのよ。もうね、衝撃。それから三日ぐらい呆然としてたもん。根底から覆されるっていうか。自分の人生になかったものが入ってきたというか。

三日ぐらい呆然として気づいたんだけど。「成長しなくていい」って、「今の自分のままでいい」っていう究極の自己肯定の言葉だよね。この世の中は成長を良しとしているしさ。自分だって子どもだって成長した姿を褒めるじゃない？というか、自己肯定ができる子が成長するっていう認識よね。でも違うのよ。

「成長しなくていい」が究極の自己肯定なのよ。うわあ。（いまだに頭グルグルしてる）別に「成長を喜ぶ」ことが悪いって言ってるわけではない。でも、「成長しないと自分（子ども）を褒めてあげられない」って、本当に病むよ。

What's next? を永遠に言い続ける人生って怖いよ。気力体力がある人はいいけど、いつか本当に擦り切れて再起不能になるよ。

そんな経緯があって私は「次は？」って自分や子どもに言い続けることから解放された。もう占い師巡りも当分やらないと思う。だって、占い師巡りしてたのは「次は？」を聞きたかったからだもの。

とりあえず、毎日の仕事に感謝するところから始めてる！
今日も一生懸命仕事した私、エライ！！