岩本隆行(Takayuki Iwamoto)

人間の心と頭は言葉によってできていると思っています。 言葉によって自分の人生を切り拓く…

岩本隆行(Takayuki Iwamoto)

人間の心と頭は言葉によってできていると思っています。 言葉によって自分の人生を切り拓くことを探究しています。 ◆株式会社3in代表取締役CEO。起業家教育と地域創生事業を実施しながら、ビジネスや生活の基礎となる国語力の講座も展開していますhttps://3in.co.jp

マガジン

  • じぶんよみ源氏物語

    「源氏物語」のストーリーをたどっていきます。古典に馴染みのない方も楽しんでいただけるように、物語のポイントを抑えています。学生の方をはじめ、リカレントで学びたい方、ビジネスのコミュニケーションの題材にしたい方など、幅広く読んでいただくことを意識しています。

記事一覧

固定された記事

掛詞は美しきダジャレ ~これぞヤマトの粋~

山口県下関市にある長府の街を歩きました。 ここは高杉晋作が奇兵隊を結成した地で、 毛利藩の城下町の風情が残っています。 街の中心にあるのが忌宮神社。 創建は西暦1…

じぶんよみ源氏物語34 ~時の過ぎゆくままに~

幼馴染の恋は美しい 前回に引き続いて 源氏物語、二十一帖「少女」の巻から。 真面目な男・夕霧のお話です。 父・光源氏の教育方針で 学問の道に進んだ夕霧でしたが、 そ…

じぶんよみ源氏物語33 ~やむにやまれぬ大和魂~

明けない夜はない 藤壺の一周忌が明け、 喪中を表す鈍色だった物語の世界が 藤の花の紫色に彩られていきます。 源氏物語、二十一帖「少女」。 宮中の神聖な行事で舞を披…

じぶんよみ源氏物語32 ~衰えぬエネルギー~

熟成を重ねた人 年齢を重ねると 若かった時よりも少し消極的になるのは 当たり前のことかもしれません。 そんな中、 いつまでも心が若い人もいるようです。 源典侍という…

じぶんよみ源氏物語31 ~濃い灰色に染まった2人~

高貴と庶民のあひだ 源氏物語きっての貴婦人である、 六条御息所の邸の庭には 朝顔の花が咲いていました。 一方、 河原院で物怪に取り憑かれた夕顔は、 「中の品」の女性…

じぶんよみ源氏物語30 ~かくしてタブーは破られた~

物質主義の時代から聞こえる声 バブル全盛期の物質主義の時代。 そんな世の中に生まれた私にとって、 目に見えないものを信じることは、 ちょっとしたためらいもありまし…

じぶんよみ源氏物語29 ~陰の中には必ず一点の光がある~

高層ビルは見上げるためにある 生まれてこの方、 ほぼ田舎から出たことのない私。 上京すると、 人の多さだけでなく、 ビルの高さにまず圧倒されます。 地下鉄の階段を上…

じぶんよみ源氏物語28 ~正しいことが正解ではない~

いちばん欲しいもの 光源氏は、 3人の子供を授かりました。 ①夕霧(葵の上) ②冷泉帝(藤壺) ③明石の姫君(明石の君) これは、かなり複雑で、 ②の冷泉帝をはじめ…

じぶんよみ源氏物語27 ~平和な戦い~

武器よさらば 平安時代は 大規模な戦乱がありませんでした。 武士が台頭していなかったという意味で、 平和な時代でした。 ただ、 政治的な駆け引きは、もちろんありま…

じぶんよみ源氏物語26 ~恋の終わり~

同じ時間は続かない 私が20代の頃、 「変わる」という言葉に敏感でした。 変わりたくなかったのです。 ちょうど日本経済の成長の停止が顕在化し、 社会にはなんとなく…

じぶんよみ源氏物語25 ~こだまでしょうか~

人は怖いもの 地元の中学生の方々と 交流する機会がありました。 たくさんの質問をいただいて、 中学生パワーに圧倒されました。 「学校をもっとより良くするために リ…

じぶんよみ源氏物語24 ~脇役と主役~

少数派は切り捨てられるのか? 多数決の時代。 学校の校則の決定から国政選挙まで、 多数決は民主主義のルールと言われれば それまでです。 一方で、真の民主主義とは、 …

じぶんよみ源氏物語 23 ~必ず最後に愛は勝つ~

プラス思考はエネルギー 目標を設定して、 そこに向かって積極的に行動することは、 理想の生き方だとわかっています。 同時にそれは、 心のトレーニングがいるからこそ…

じぶんよみ源氏物語 22 ~プロの作家とは~

空も飛べるはず 本物のプロ作家とは、 お金をたくさん稼いだ者ではなく、 書き続けた者のこと。 では、なぜ書き続けられるのか? それは明確な目的があるからです。 好…

じぶんよみ源氏物語 21 ~出会いは風の中に~

風の歌を聴け よくよく考えてみると、風って、 私たちの生活の中で色々なことを伝えます。 「風の噂」で情報が伝わるし、 「風邪」はウイルスを伝染させ、 五月は「風薫る…

じぶんよみ源氏物語 20 ~本来の自分がいちばん強い~

強い人間 村上春樹の代表作「ノルウェイの森」に、 永沢さんというリアリストが登場します。 ハツミさんという彼女がいて、 その方は「理想的」とも言える女性です。 あ…

掛詞は美しきダジャレ ~これぞヤマトの粋~

掛詞は美しきダジャレ ~これぞヤマトの粋~

山口県下関市にある長府の街を歩きました。
ここは高杉晋作が奇兵隊を結成した地で、
毛利藩の城下町の風情が残っています。

街の中心にあるのが忌宮神社。
創建は西暦193年と書いてあります。

下関・壇之浦での源平合戦が1180年代。
そう考えると、
長府の歴史の深みがうかがい知れます。

忌宮神社から続く小径を歩くと、
乃木神社があります。
ここには乃木希典将軍が祀られています。

乃木希典は江戸

もっとみる
じぶんよみ源氏物語34 ~時の過ぎゆくままに~

じぶんよみ源氏物語34 ~時の過ぎゆくままに~

幼馴染の恋は美しい

前回に引き続いて
源氏物語、二十一帖「少女」の巻から。
真面目な男・夕霧のお話です。

父・光源氏の教育方針で
学問の道に進んだ夕霧でしたが、
その陰で、幼馴染との恋に落ちていました。

お相手は雲居雁。
内大臣の娘です。

内大臣といえば、かつての頭中将。
若かりし頃、光源氏たちと「雨夜の品定め」で
女性談義を繰り広げたやんちゃな貴族です。

内大臣は、光源氏の亡き妻・葵の

もっとみる
じぶんよみ源氏物語33 ~やむにやまれぬ大和魂~

じぶんよみ源氏物語33 ~やむにやまれぬ大和魂~

明けない夜はない

藤壺の一周忌が明け、
喪中を表す鈍色だった物語の世界が
藤の花の紫色に彩られていきます。

源氏物語、二十一帖「少女」。
宮中の神聖な行事で舞を披露する少女たちが
この巻のヒロインです。

少女に恋するのは、夕霧。
光源氏と葵の上の間に授かった子です。

葵の上は、
光源氏の最初の妻でありながら、
六条御息所の嫉妬を買い、
物の怪に取り憑かれて亡くなる悲劇の姫君。
あの時、命懸

もっとみる
じぶんよみ源氏物語32 ~衰えぬエネルギー~

じぶんよみ源氏物語32 ~衰えぬエネルギー~

熟成を重ねた人

年齢を重ねると
若かった時よりも少し消極的になるのは
当たり前のことかもしれません。
そんな中、
いつまでも心が若い人もいるようです。

源典侍という女性。
多くの恋を経験した彼女は、
還暦を超えてもなお、積極的です。

藤壺は37歳、六条御息所は36歳で
亡くなったことを考えると、
源典侍のパワーは、当時にして、
底知れぬものがありました。

色欲が闇を切り拓く

源典侍が初め

もっとみる
じぶんよみ源氏物語31 ~濃い灰色に染まった2人~

じぶんよみ源氏物語31 ~濃い灰色に染まった2人~

高貴と庶民のあひだ

源氏物語きっての貴婦人である、
六条御息所の邸の庭には
朝顔の花が咲いていました。

一方、
河原院で物怪に取り憑かれた夕顔は、
「中の品」の女性。

この物語において、
朝顔は高貴な花であるのに対し、
夕顔は庶民的なイメージをもっています。

源氏物語、第二十帖「朝顔」巻のヒロインは、
文字通り、朝顔の姫君。
前の斎院です。

斎院とは京都の賀茂神社に仕える内親王で、
つま

もっとみる
じぶんよみ源氏物語30 ~かくしてタブーは破られた~

じぶんよみ源氏物語30 ~かくしてタブーは破られた~

物質主義の時代から聞こえる声

バブル全盛期の物質主義の時代。
そんな世の中に生まれた私にとって、
目に見えないものを信じることは、
ちょっとしたためらいもありました。

ところが、
源氏物語には、
占いがたくさん出てきます。
登場人物たちが判断に行き詰まった時、
占いに委ねる姿に触れると、
なんだか微笑ましくもありました。

そもそも光源氏が皇族から降りたのも、
父・桐壺帝が依頼した
高麗の相人

もっとみる
じぶんよみ源氏物語29 ~陰の中には必ず一点の光がある~

じぶんよみ源氏物語29 ~陰の中には必ず一点の光がある~

高層ビルは見上げるためにある

生まれてこの方、
ほぼ田舎から出たことのない私。
上京すると、
人の多さだけでなく、
ビルの高さにまず圧倒されます。

地下鉄の階段を上って地上に出た瞬間、
首の後ろが痛くなるくらいに
ビルを見上げるのですが、
颯爽とした周りの人々に気づいた途端、
何食わぬ顔を作って歩き始めるのです。

平安時代となると
地方の人が京都に行った時の衝撃は、
それはもう大きかったはず

もっとみる
じぶんよみ源氏物語28 ~正しいことが正解ではない~

じぶんよみ源氏物語28 ~正しいことが正解ではない~

いちばん欲しいもの

光源氏は、
3人の子供を授かりました。
①夕霧(葵の上)
②冷泉帝(藤壺)
③明石の姫君(明石の君)

これは、かなり複雑で、
②の冷泉帝をはじめ、
隠し子的な存在もあって、
けっこうドロドロしております。

何が言いたいかというと、
いちばん欲しい女性との間に、
子供ができなかったということです。

その女性とは、紫の上。

光源氏が生涯をかけて愛した
彼の正妻と言ってもい

もっとみる
じぶんよみ源氏物語27 ~平和な戦い~

じぶんよみ源氏物語27 ~平和な戦い~

武器よさらば

平安時代は
大規模な戦乱がありませんでした。

武士が台頭していなかったという意味で、
平和な時代でした。

ただ、
政治的な駆け引きは、もちろんありました。
その決戦の時に行われたのは、絵合。

左方と右方に分かれて、
それぞれの絵のコレクションを持ち出し、
判定を受ける、というバトルでした。

これが日本の戦いの原点だと思うと、
誇らしい心持ちになりますね。

帝の心をつかむの

もっとみる
じぶんよみ源氏物語26 ~恋の終わり~

じぶんよみ源氏物語26 ~恋の終わり~

同じ時間は続かない

私が20代の頃、
「変わる」という言葉に敏感でした。

変わりたくなかったのです。

ちょうど日本経済の成長の停止が顕在化し、
社会にはなんとなく危機感のようなものが
漂い始めていました。

その一方で、
きっとこの国は大丈夫に違いないという、
希望的観測も残っていました。

Windowsが普及し始めた頃で、
パソコンの操作が格段に楽になっていました。
電子メールだの携帯電

もっとみる
じぶんよみ源氏物語25 ~こだまでしょうか~

じぶんよみ源氏物語25 ~こだまでしょうか~

人は怖いもの

地元の中学生の方々と
交流する機会がありました。

たくさんの質問をいただいて、
中学生パワーに圧倒されました。

「学校をもっとより良くするために
リーダーシップを身につけたいのに
他人の目が気になって怖い」

という声も上がり、
思春期を生きる瑞々しい感性に、
刺激を受け取りました。

何でも先進的なことをやろうとすると、
周りからの視線にさらされるのは、
どこでも見られる光景

もっとみる
じぶんよみ源氏物語24 ~脇役と主役~

じぶんよみ源氏物語24 ~脇役と主役~

少数派は切り捨てられるのか?

多数決の時代。
学校の校則の決定から国政選挙まで、
多数決は民主主義のルールと言われれば
それまでです。

一方で、真の民主主義とは、
一人ひとりの権利が守られること。
多数決で敗れた人たちの声をどう汲み取るか、
ということも同じように大切なはずです。

えてして、
少数派は弱者になってしまいます。
長い物に巻かれることを余儀なくされるから。
その長いものが世の中の

もっとみる
じぶんよみ源氏物語 23 ~必ず最後に愛は勝つ~

じぶんよみ源氏物語 23 ~必ず最後に愛は勝つ~

プラス思考はエネルギー

目標を設定して、
そこに向かって積極的に行動することは、
理想の生き方だとわかっています。

同時にそれは、
心のトレーニングがいるからこそ、
理想的なのだということも、
経験上、よくわかっています。

現時点での自分自身と目標との間には、
「世の中」という現実社会が横たわっています。
人は他人と関わって生きていく以上、
自分ひとりの力だけで目標を具現化することは、
とて

もっとみる
じぶんよみ源氏物語 22 ~プロの作家とは~

じぶんよみ源氏物語 22 ~プロの作家とは~

空も飛べるはず

本物のプロ作家とは、
お金をたくさん稼いだ者ではなく、
書き続けた者のこと。

では、なぜ書き続けられるのか?
それは明確な目的があるからです。

好きだからという単純な目的ではなく、
何かを伝えたいという衝動があるからです。
だから、ネタは尽きない。

プロの作家にとっては、
書くことは生きることと同義です。

今、私の本棚には、
小学館「日本古典文学全集」の
源氏物語がありま

もっとみる
じぶんよみ源氏物語 21 ~出会いは風の中に~

じぶんよみ源氏物語 21 ~出会いは風の中に~

風の歌を聴け

よくよく考えてみると、風って、
私たちの生活の中で色々なことを伝えます。
「風の噂」で情報が伝わるし、
「風邪」はウイルスを伝染させ、
五月は「風薫る」季節です。

八百万の神と言いますが、
日本人は風に命を見出し、
風の中に何らかのメッセージを
感じ取ってきたのかもしれません。
ロマンティックな感性だと思います。

目には見えないけど、動いている。
草木や波も風が動かしている。

もっとみる
じぶんよみ源氏物語 20 ~本来の自分がいちばん強い~

じぶんよみ源氏物語 20 ~本来の自分がいちばん強い~

強い人間

村上春樹の代表作「ノルウェイの森」に、
永沢さんというリアリストが登場します。
ハツミさんという彼女がいて、
その方は「理想的」とも言える女性です。

ある夜、
永沢さんとハツミさんと「僕」の3人で
ディナーをとっている時、
永沢さんは、

俺は自分のことを
他人に理解してほしいと思っていない

と冷徹に言い切ります。

他の連中は自分のことを
他人にわかってほしいと思ってあくせくする

もっとみる