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新しい価値を創造する #92 イノベーション

マネジメントで有名な、ピーター・F・ドラッカー氏は、企業の目的とは、顧客の創造であると示しました。
それは、パーパス(purpose)とされる企業の社会的な存在意義に通じるかと思います。
そして、この目的を実現するための機能がマネジメントです。

また、ドラッカー氏は、マネジメントとして企業が持つべき機能は、マーケティングイノベーションであるとしています。
極端とも捉えられるかもしれませんが、この2つだけと断言すらしています。

マーケティングは、ビジネスの中で浸透してきました。
また、イノベーションというワードもよく耳にするようになってはきました。

ここでは、イノベーションとは何かを、マーケティングと比較しながら考えてみたいと思います。

マーケティングの考え方に3C分析があります。
3Cとは、自社(Company)、他社(Competitor)、顧客(Customer)を意味します。
そもそも企業が社会における存在意義を示すには、コアコンピタンス(Core Competence)が必要です。
コアコンピタンスとは、他社が提供できない、自社だけが提供できる独自の価値のことです。
しかし、コアコンピタンスがあったからといって、企業は、その目的を達成させることは出来ません。
つまり、このコアコンピタンスを如何なる切り口で顧客に提案できるかです。
そして、その提案から顧客に望んでいただけた場合、初めて顧客の創造につながります。

このコアコンピタンスであり、顧客が望む価値のことを、USP(Unique Selling Proposition)といいます。
そして、このUSPの重要性は、マーケティングとイノベーションの共通部分であると考えます。

その上で、そ双方の違いを、USPを基点に考えてみます。

マーケティング=既存のUSPの切り口を変えて、その価値を高めること。

イノベーション=新しいUSPを創造すること。

イノベーションとは直訳すると変革や革新です。
そして、企業にとって、イノベーションとは、を新しいUSPを創造することと捉えて良いかと思います。
その本質ですが、新しいUSPによって、既存市場の固定概念を破壊し、あらたな顧客を生み出すことであるといえます。
対して、マーケティングとは、既存のUSPを切り口などを変えて、その価値を高めることにあると考えます。

イノベーションの難しさは、何もないところから新しいUSPを創造するところにあります。
それだけに、画期的な新技術などと難しく考えがちです。

対して、マーケティングの父と呼ばれるフィリップ・コトラー氏は、「イノベーションとは基本的に失敗のマネジメントであり、少数のすぐれたアイデアを得るためには、たくさんの劣ったアイデアを生み出す必要がある」としています。

また、アイデアのつくり方の著者で有名なジェームス・W・ヤング氏は、「アイデアとは、既存の要素の新しい組み合わせ」だと定義づけております。

何事にもいえますが、新しい考えを取り入れようとすると、難しく構えてしまう人が少なくありません。
しかし、もっとシンプルに考え、たくさんのアイデアを出して、試行錯誤すべきかと思います。
とは言え、口で言うくらい簡単ではないことは充分、肌身を持って体験しております。

製品やサービスには、プロダクトライフサイクルが存在します。
一般的には、[導入期]→[成長期]→[成熟期]→[衰退期]という4段階に分けられます。
イノベーションによって、新しく導入された製品やサービスですが、マーケティングを駆使して[成長期]、[成熟期]となっても、様々な環境や顧客ニーズの変化によって、いつかは需要が[衰退期]になると考えるべきです。

だからこそ、常に、既存のUSPの価値が目減りする前に、新たなイノベーションを創造する必要があります。

このイノベーションとマーケティングを同時に機能させて、如何に事業を安定あるいは発展させるかが、マネジメントなのだと考えます。

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