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最近の記事

死ぬまでに完結してほしい漫画10選

だれもが死ぬまでの後悔を、できるだけ減らしたいと思っているのではないでしょうか。 漫画は未完のままであったり長期に渡って休載していたり、または冗長に続いていたりする作品が多くあり、好きな漫画であるほど、この世を去るまでに完結を自分の目で見届けたいと思ってしまいます。 今回、個人的に死ぬまでに完結を見届けられることを願っている(もしくはもう諦めている)漫画を10作品、ネタバレをしないように取りあげていきます。 ◯矢沢あい『NANA』 未完の大作と聞いて、多くのひとの頭に

    • 黄色い花(雑記)

      「春は黄色い花からやってくる」という言葉があって、季節は黄色い花からはじまり、よく目にとまるのは黄色い花だ。菜の花、スイセン、タンポポ、レンギョウ、黄色い花には春のあたたかさを感じる。 近所に菜の花がたくさん咲いていて、採ってきて部屋に活けている。なんとなくだけど、野花は、花瓶よりも空き缶とか酒瓶のほうが似合う。ひとからもらったビールの空き缶に菜の花を挿したら部屋がぱっと明るくなった。 春が訪れるたびに、赤い公園というバンドに「黄色い花」という曲と、2020年に急逝した津

      • 無料のメルマガについて

        「Good News」という名前で、無料のメルマガをしています。 毎週、火曜日の20時頃に更新しています。 下記のURLから登録できます。 内容としては、現状としては雑記、日記、今週のベストコンテンツ、作品(ドローイングやちょっとした文章)、お便りの返信、となっています。自然に会話ができて、息のしやすい環境で、最近あったことや思ったことを気軽に喋るような。文章形式の短いラジオとか、定期的に届く手紙のようなものを目指しています。 いまの世の中、引きのある有料なコンテンツ

        • 2023年ベスト音楽

          去年、発売されたアルバムに絞って邦楽5つ、洋楽5つを選びました。 早速ですが、アーティスト『アルバム』「好きな曲」という形式で紹介していきます。 ⭐︎邦楽 ⚪︎ドレスコーズ『式日散花』「少年セゾン」 毛皮のマリーズが病的に好きだったので、ドレスコーズを飲みこむのに時間がかかったのですが、解散から9年ほどが経ちようやく心の整理がつきました。 アルバム通して、現実と夢との間みたいな世界を歩いているような感覚になるアルバムです。通っていた小学校を大人になってから訪れたみた

        死ぬまでに完結してほしい漫画10選

          2023年ベスト映画

          2023年に観たなかで特に印象的だった映画を7つ紹介していきます。 ⚪︎ザ・ホエール 大切なひととの死別から立ち直ることができないおじさんが部屋に引きこもって、過食から太りすぎ、死を待つだけという映画です。 自分勝手に生きているからひとを傷つけてしまいます。しかしひとを傷つけないように嘘をついて自分の気持ちを押し殺して、本当にそれが正しいのでしょうか。どう生きていてもひとを傷つけてしまうのだったら、素直に生きたほうがいいのではないだろうか。何が正しくて何が正しくないのか

          2023年ベスト映画

          【エッセイ】好きなものを好きと言いたい

          子どもの頃、画家になりたかった。 モンゴルの高原や名前もよく知らない外国の離島でひとりで絵を描いて生活するのだろうと思っていた。 協調性や社会性が乏しいとずっと言われていたこともあって、漠然とそういう生きかたなら生きていけるかもと思っていた。 しかし、だんだんと大人になるにつれて、自分が大人になって絵を描いている姿を思い描けなくなっていった。 田舎に住んでいて、どうやって絵を学んだらいいのかも分からず、美術予備校がどのようなもので、美大をどうやって受験するのかすら分か

          【エッセイ】好きなものを好きと言いたい

          【小説】君がセーターを編むうちに

           頼りない手元で編まれていた毛糸が、いつの間にか大きくなって、洋服らしくなりはじめていた。  いい大学を卒業して、堅い仕事を続けている彼女は、努力をすれば成功することを知っている。自分だったらマフラーでさえ挫折すると思うのに、彼女は時間をかけて来る日も来る日もセーターを編んでいる。  努力ではどうにもならないのは、恋人である自分のことくらいだ。音楽で成功するという夢も中途半端に宙ぶらりんのままで、かといって仕事を探そうともしていない。組んでいたバンドはメンバーが脱退していき、

          【小説】君がセーターを編むうちに

          夢で待つ(俳句連作)

          山茶花の散花踏みて足跡に 波が来てぼくらを攫ふ冬渚 寝台の首吊り縄の朝に凍つ 風花や花摘むやうに拾ふ骨 耳鳴りに眠れぬ冬の仮眠室 夢で待つ散花の眩し冬の園

          夢で待つ(俳句連作)

          流れ星(俳句連作)

          脚先に死の淵ありて秋うらら 木犀の匂ひを連れて君の橋 星月夜ふたりがための合言葉 蛇口より遠くの秋の水の落つ 金柑の色に血液はうつろふ 願い事ひとつもあらで星流る

          流れ星(俳句連作)

          合歓の花(俳句連作)

          骨壷に君のかたちの合歓の花 雷に打たれて生まるる妊婦かな 蝉しぐれ寿命のやうに落つる水 風鈴の揺るる音して君の比喩 揚げ花火をはりて池に魚影あり 脳失せて海の色した水母かな

          合歓の花(俳句連作)

          超訳 宮沢賢治「雨ニモマケズ」〜あるOLのA子の場合〜

          ○はじめに 宮沢賢治の「雨ニモマケズ」は、どこの学校でも音読する時間があったり、多くのひとが基礎的な教養として知っている詩です(実際には、詩というよりはノートに書いていたメモのようなものだったそうです)。多くのひとに親しまれ、時代を超えて愛されているのには理由があると思います。そのことについてすこし考察していきます。 宮沢賢治は、農業を営んで生活をしていたといいます。気候に苦しませられることも多かったと思います。しかし、現代の日本で第一次産業に従事するひとは4%程度です。

          超訳 宮沢賢治「雨ニモマケズ」〜あるOLのA子の場合〜

          タイトルが好きな本 11選+α

          タイトルが好きな本について、個人的に11冊に絞って選んでみました。さっそく紹介していこうと思います。 桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』 子どもの頃に図書室で見つけて、生まれて初めてタイトルに衝撃を受けた本でした。詩的で空想なのに、情景が浮かぶようなタイトルで、難しい言葉は使っていないのに、すっと頭にはいってこないから余計に印象に残る。これから、何が始まるんだろうと想像を引き立てるようないいタイトルだと思います。 川上弘美『大きな鳥にさらわれないよう』 川上弘美さん

          タイトルが好きな本 11選+α

          閉館する美術館

          ふたりでよく訪れた美術館。君とおなじ名前のひとが建てた美術館。来年は閉館することが決まっている。あの頃、お金がまったくなかったのに、ふたりだったらいつも楽しかった。狭いワンルームで、毛布に包まりながら食べた鍋が、世界でいちばん美味しいと思っていた。いつも一緒にいたから、ひとりで生きていく方法をしばらく思い出せないでいる。久しぶりにひとりで観てきた展示は、「失恋」がテーマだった。日本で九十日間、苦しい時間を過ごしたソフィカルは、立ち直るのに九十日間かかったらしい。僕は、失恋を乗

          閉館する美術館

          休学したときの話

          大学を休学することにした年、カミュの「シーシュポス神話」を読んでいた。「真に重大な哲学上の問題はひとつしかない。自殺ということだ。」という文章で、自分に猶予する期間を与えるべきだと思った。幸いなことに国立の大学である母校では、休学中の学費は全額免除された。田舎に手紙を出すくらいの感覚で、大学の事務所に休学届けを提出し、誰かから何を言われることもなかった。半年前にした精神薬の過量服薬の後遺症なのか、ずっと身体はぼんやりと怠かった。搬送された病院で、主治医から「急に心臓が止まるこ

          休学したときの話

          天使

          ひろい雪渓に 天使の足跡があって 辿ってみたけど 天使はいなくて ここがどこだか 理解らなくなった 振り向くと 私の足跡と 天使の足跡が 兄弟みたいに重なって 辿ってみたら 天使は、私だった

          地球儀がまわる

          祖父が死んで、神奈川の家まで、蔵の掃除に行くことになった。蒐集の癖がある祖父は生前に、価値のありそうなものから全く価値の見込めないものまで、色々なものを蒐集しては蔵に放っていたらしい。 実家からは二時間くらいの距離があったが、学生の自分よりも暇そうなひとがいなくて、ひとり暮らしになって心細くしている祖母の様子見がてら行ってこい、と父からは言われた。 アルバイトもせずに大学の長期休暇を謳歌している後ろめたさがあったので、ふたつ返事で了承した。それに、祖父が生きている間は決し

          地球儀がまわる