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【ラグビーW杯】見た事がない景色を、見に行こう! 19.10.13 日本対スコットランド戦

「日本代表にティア1になるための資格はあるのか?」
今回のラグビーW杯の争点はここにあると考えていた。
非常に難しいチャレンジだと思っていたが、ここまでの歩みは順調そのもの。アイルランドに一泡吹かせ、ロシア・サモアからはボーナスポイントをゲット。グループリーグの首位に立つことに成功した。

そんな最終戦の相手はスコットランド。前回のワールドカップでは日本側が「中3日」の日程を強いられた(※相手はこの試合が初戦)こともあり、10-45で完敗。この敗戦がグループリーグ敗退に繋がっただけに、4年越しのリベンジを果たすにはもってこい。もはやスポーツマンガでもなかなかお目にかかれない設定である。

試合前は台風19号をめぐりひと悶着あったが、何とか影響を最低限に抑え、開催にこぎつけた。さて、全ては恨みっこなしのゲームで全てを決めるのみ!

   ◆

ここまでの日本代表のアドバンテージは何か? と言われたら、それは「3勝していること」である。
極めて当たり前すぎることだが、3勝の日本と2勝1敗のスコットランドでは戦い方が変わってくる。

スコットランドはどちらかというと、じわじわ相手を苦しめて、相手が「?」と思っているうちに突き放す……そんな戦い方が得意なチームだ。前回大会も前半は4つのペナルティゴールで日本にリードを許さず、疲れが現れてきた後半に5トライを奪った。まさにしたたかである。

でも、この試合に関してはスコットランドの方が、よりアグレッシブに戦わなければならないのだ。特に、「トライ数4以上で与えられるボーナスポイント」を、スコットランドが得ることはマストである。
前半からガンガン攻めてくるスコットランドをいなし、後半に焦りだした相手を日本が一気に崩す。それが僕が描いていた試合展開だった。

   ◆

もう既にご存知の通り、それとは全く逆の試合展開になってしまった。
確かにスコットランドのキックパスからトライを失ったが、その後は怒涛の攻撃が続く。アイルランド戦とサモア戦の良いところを集めたようなプレーの数々だった。
特に、前半26分に稲垣が決めたトライは、これまでの継続強化が実った瞬間だった。フィットネスを活かして走り回り、フィジカルでの不利に目を背けず強化を進め、巧みな継続攻撃とボールをつなぐためのオフロードパス。最後にプロップの選手がダイビングトライを決めるところは、チームとしての一体感があることを証明したのではないだろうか。
後半2分に福岡が50メートル近い独走トライを決めた段階で28-7。ワンサイドゲームの予感もあった。

ところが、ここでスコットランドは目を覚ました。フォワード陣が接点で圧力を強め、まずはボールを奪取することに力を入れる。ここで日本の攻撃は停滞してしまうばかりか、2本のトライを奪われて7点差にまでスコアは縮まる。後半15分以降はひたすら我慢の時間が続いた。

しかし、点差は変わらなかった。
個人的な「もしも」であるが、果たしてスコットランドがペナルティゴールを狙っていたらどうなっていたか? というのを僕は考えてしまう。
もちろん、何本キックを決めてもボーナスポイントには近づかない。でも、1本キックを決めて点差を縮めたいたら、ひょっとするとピッチ上の力学は変わっていたのではないか?
グレアムもシーモアもホッグも、何度走れど日本のディフェンスを切り裂くことはできなかった。そして、グレイグ・レイドローは後半12分の段階でピッチを去っていた。
日本にとっては厳しく、苦しい時間だった。だが、勝つための武器を相手は持っていなかった。いや、それを持たせないように、これまでの3試合でプレッシャーをかけ続けていたのだ。

ターンオーバーしたボールを2分間キープし続け、最後は山中がピッチ外に蹴りだす。
この瞬間、ラグビー日本代表は「ティア1」の舞台に辿り着いた。

   ◆

このグループリーグ4試合はジェイミー・ジャパン、そしてラグビー日本代表の「積み重ね」の結晶だった。
フィットネスを活かした体力のラグビー、相手に合わせて戦術を変えられる柔軟性、そして、強敵を恐れない勇敢なタックル……。
すらすら説明できて、かつ一目見れば誰でもわかる「スタイル」を共有できたことが、ティア1になったことへのご褒美なのではないだろうか。

※割と近場に住んでいるので、試合後に新横浜駅に急遽駆けつけてフラフラしてました(苦笑)。その時の1枚です。

さて、ワールドカップも後半戦。決勝トーナメントに入る。日本代表の次なる相手は南アフリカに決まった。これまた驚いたことに、前回大会に続いての再戦となる。
ここまでの対戦成績は1勝1敗。さて、スプリングボクスとの対戦成績を勝ち越しにするために、ここはもう1回、ギアを入れ直して、どんどんまだ見ぬ景色に向かって走ろうじゃないか! という気分で挑んでいこうということで……

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