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【糖質制限ダイエットは危険!?】炭水化物(糖質)と健康

健康の世界では「糖質は減らすほどよい」、「糖質を取らないと健康に悪い」という二律背反の研究議論がなされています。
僕としては後者の立場なのですが、いまだに議論が多いテーマです。そのような状況で最近、「炭水化物の摂取量と健康」を調べた論文が出ましたのでご紹介いたします。

これは以下の2種類の分析で構成された研究で、観察研究ですが、大規模で異なる民族の男女を含んでおり、逆の因果関係も確認していまして、似たような研究のなかでもかなり質が高い結論を出しています。

  • 45~64歳のアメリカ人男女約1万5千人を対象に、食事を定期的に調べて追跡調査を実施、中央値で25年間の調査を行う。

  • 世界各地から43万人以上のデータを集めて、メタ分析を行う。

分析の結果は以下の通りです。

  • 炭水化物を食べる割合と死亡率の間にはU字型の関連があり、炭水化物を食べる量が総カロリーの50〜55%の場合に、死亡リスクが最も低くなった。

  • 炭水化物をあまり食べない人(40%未満)と、炭水化物をたくさん食べる人摂取(70%以上)のどちらとも、ほどほどの炭水化物量の人と比べ、死亡リスクが高かった。

  • 炭水化物をあまり食べない人たちの平均寿命は79歳で、炭水化物をたくさん食べる人たちは82歳、ほどほどの炭水化物を食べる人は83歳だった。

現時点でデータを見る限り、炭水化物は食べすぎても、食べなさすぎても問題がありそうだということがわかりました。糖質制限ダイエットなどは短期的にはいいかもしれませんが、長期で見ると難しいのかもしれません。

仮に、1日2000kcalを食べる人がいた場合、炭水化物のカロリーが30%の食事は、1日150gに相当します。そのうち糖類は50g程度ですから、相対的に野菜の摂取量が減るのは避けられず、 食物繊維の摂取量が減ってしまうのも当然といえます。結果、便秘が起きやすくなったり、血中コレステロール値が低下したり、腸内細菌にもダメージがあったりと、死亡リスクが増えるのも頷けます。

そして、この調査にはほかにも注目すべきポイントがあります。

炭水化物と死亡リスクの関係は、どのような食品から摂取するかによって異なっていた。炭水化物を動物由来の脂肪またはタンパク質源(ラム、牛、豚、鶏など)に置き換えると、死亡率が高くなることが分かった。
一方で、炭水化物を野菜やナッツ、豆類などの植物性タンパク質に置き換えた場合は、寿命が短くなるどころか長くなった。

このことから、低糖質ダイエットをするにしても、ブロッコリーや豆腐みたいな植物性のタンパク源を増やすのであれば問題はないようにみえます。

コーネル大学のマコーミック准教授は、『極端な食事は危険をともなう。私はこの研究の効果の大きさに驚いた。加工肉や赤身の肉の摂取を減らすと、心臓病による死亡率が低下するという考えは、現在のところ多くの支持を集めている。つまり、加工されていない炭水化物の適度な消費は、最も良い解決策である可能性が高い。加工されていない野菜をたくさん摂ることのメリットに反論できる証拠を提示できる人はいない。』と述べています。

加えて、研究チームは、『炭水化物をタンパク質や脂肪に置き換える低炭水化物ダイエットは、健康や減量の方法として広く人気を集めている。しかし、我々のデータは動物由来の低炭水化物ダイエットは、全体的な寿命の短縮と関連している可能性があり、控えるべきであることを示唆している。低炭水化物ダイエットを選択するのであれば、炭水化物をより多くの植物性脂肪やタンパク質に置き換えることが、健康的な老化を促進するかもしれない。』と述べています。

糖質制限というと、「肉は食べても大丈夫」だとか「肉は食べても太らない」といった話になりがちなんですが、これは死亡リスク増加につながる可能性があるので、糖質制限ダイエットされている方はご留意ください。

【参考】


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