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 僕は双極性障害という病気を患っている。双極性障害とは躁状態(異常なまでのハイな状態)とうつ状態を繰り返す病気だ。躁状態も厄介には違いないのだが、僕としてはうつ状態の方が厄介に感じる。それはうつ状態でいる時間が長いせいもあるかもしれないが、苦痛の大きさが違うのである。躁状態の時は厄介な行為をしてしまうのだが、それほど苦痛を感じているわけではない。ところがうつ状態の時は苦痛で苦痛で仕方がない。精神的苦痛はもちろんのこと、肉体的苦痛もひどいのだ。

 肉体的苦痛にもいろいろある。頭痛、吐き気、めまい……特に僕が厄介と感じるのは「身体が動かないこと」だ。どういうことかと言うと、文字通り動かないのだ。布団から起き上がることができない。起き上がろうとしても、油圧が下がっている油圧ジャッキのように身体を持ち上げることができないのだ。だからひどい時はトイレに行くこともできない。幸い漏らしたことはないことが救いだ。

 身体の動かなさにも程度がある。全く身体を動かすことができない重症なとき、頑張れば動くことができる軽症のとき、壁を伝って歩ける程度の中程度の症状のときだ。

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