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#28 本気のスイッチは簡単に入らない

土曜日の午前中にCX系列で放送している「グータッチ」という番組があります。スポーツに取り組む子供の成長を、プロのアスリートがサポートする番組です。

時間があるときはこの番組をよく見ています。プロの指導方法を見ていると、今まで知らなかったことや指導のアプローチなど、ジャンルが違っても勉強になることが多いので結構気に入っている番組です。

私が見たことがあるのはたいてい何かのスポーツですが、マーチング・バンドの会もありましたので、子どもたちが目標を持って取り組んでいることであればスポーツ以外のことも対象にしているようです。

この番組を何回か見て最近思うのは、「本気のスイッチを入れる」というのは案外難しいことなのかも・・ということです。


毎回対象になるのは、チームや個人の成績が伸び悩んでいるという状況の子供たち。
たとえば、県大会での成績が毎回入賞以下の成績で、表彰台を目指したい!とか、個人種目のものだと、入賞はするけどタイムが伸びないからタイムを上げて優勝を目指したい。そういった状況にある子供たちをプロが指導する、そして上位の成績を目指す、という展開です。

子どもたちは、プロに指導される過程で、それまではなぜうまくいかないのかということを理解して、チームや個人の動きを客観的に知ることで必ず何かしらの成長を遂げています。

そして、目標にしている大会の前に、必ず何らかの練習試合や本番を想定したリハを誰かに見てもらうというのが一度入ります。その練習試合やリハで良い部分は褒められるけど、それなりのダメ出しもされます。

このときに、悔しい思いをした子どもたちは、自分たちで何が問題だったかを考え、分析し、対策をする。そして自分たちで考えたことを実践し、それが上手くいったときに自信につながる、という流れです。

制作サイドも指導者も、たぶん「悔しい」という気持ちからの「自信を得る」をある程度、狙っているようにも見えます。

実際、それを経験して上手くいった子どもたちの顔つきは最初の頃に比べれば全然違う表情ですし、技術だけでない「成長」を感じ取ることができます。

しかし、必ずしもそうはいかない場合もあります。あまり表立って取り上げられはしませんが、1回ダメ出しされたり、上手くいかなかったくらいでは「本気のスイッチ」が入らない子がいることは表情や言動を見て取れます。
チームプレーを必要とするスポーツの場合、特にそれは顕著なように見える、一言でいうと、温度差がある。

「悔しい」という気持ちが芽生えるまでには、何度も何度もチャレンジしてうまくいかない経験が何度もあって初めて「本気になれる子」。あるいは、「本気で取り組むこと」と「悔しい」という気持ちに相関がない子、など、やはり人それぞれだなぁ、と感じます。


スポーツで、成績が悪いところから上位を目指す、というストーリーを見ると、つい、「お前ら(負けて)悔しくないのか!俺は、お前らを今から殴る!」という、小学生のときに見た、有名なスポ根ドラマのワンシーンを思い出してしまうのですが、現実はそんなことされてもチーム全員が同じ気持ちになることは難しいと思っています。(あと、いまはそういう時代ではないですね、虐待になってしまう)

自分を振り返って、自分はどういうときに「本気のスイッチ」がしっかり入るのだろうか・・とふと考えてみました。スポーツに限らず、仕事や、仕事でなくても何か目指していたことについてどうだったか。

私の場合、まず「悔しい」という気持ちはトライ&エラーを何度も繰り返さないとなかなかそういう気持ちが芽生えません。そして、「悔しい」から「本気」という流れになる前に、「どうせうまくいかない」という負け犬根性のような気持ちが過ってしまうこともあります。なかなか自分を信じることができない。

では、そのあとに気持ちを立て直して「本気」になるのか、というと、そういう場合もあればそうでない場合もある。私の場合は、「悔しい」とか「嬉しい」とかそういう気持ちは関係無しに「すごく好きで取り組んでいること」は「本気のスイッチ」が入るタイプです。なんとなく好き、まぁまぁ好き、くらいではダメなんですね。


本気になって取り組むことは、自分が考えているほど、簡単じゃない。それは自分自身もそうだし、他のひとを指導するときもそういうもんだ、と考えたほうがいいな、と思った次第です。





もし気に入っていただけましたら、次回の更新もぜひ楽しみにお待ちいただけたら嬉しいです。