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#013-農業に活きる?数学

昨日からキュウリの収穫が始まりました。
去年より収穫開始が早く、来週からは安定的に出荷できるようになるかと思います。

一方、今年は病害虫の発生も早いような気がしています。 特にキュウリの葉が微小な害虫であるアザミウマによるダメージを受けており、対応に苦慮しています。

アザミウマの被害で枯れた葉

今年はアザミウマの発生が多い年なのかも知れません。
本日はそんな害虫の話を導入として、「数学」について考えた事を書きたいと思います。

虫の発生周期の謎

野菜の害虫に限らず、虫には特定の発生周期を持つ種類があります。
例えばセミは、日本では7年間土の中にいて地上に出ると言われ、アメリカでは13年や17年周期で発生するセミが知られています。

これらは素数ゼミとも呼ばれ、発生周期である「7」「13」「17」は素数です。(素数;1と自身の数以外では割り切れない自然数)

なぜそのようになるかと言うと、捕食者側との関係のようです。
天敵である捕食者側が2年や3年ごとに大量発生する場合、2と3の倍数にあたる年に発生する周期セミは食べられて絶滅していきます。
その結果多くの約数を持つ数字の周期セミはどんどん減り、約数の少ない素数周期のセミが生き残ったという説があります。

上記の素数ゼミのように、自然界にもたくさんの数学が溢れています。
では農業に数学は活きるのでしょうか?

私にとっての数学

私は数学がとにかく嫌いでした。
高校受験までは頑張って勉強しましたが、高校生になった途端に完全に挫折し、大学も数学を使わずに受験をしました。

その後も数学から逃げ続けようと思いましたが、大学で勉強したかった経済学社会学などでは数学が必須と知り、愕然とします。

そんな時に受講していた情報科学概論という講義のおかげで数学についての考え方が根本から変わり、具体的知識は乏しいものの数学そのものはかなり好きになりました。

※以下、数学について色々と考察しますが、高校時代に4度も0点を採った数学激弱人間の話として受け止めてください。


数学とはなにか?

情報科学の講義でまず教えられたことは「数学とは一つの言語体系だ」ということでした。ただの数字の計算ではなく、世界の物事を数字と記号を使って抽象化し、扱いやすく記述するための言語です。

例えば文章題を与えられて、x,yなどの記号を用いて方程式を作る時、日本語の文章を数学の文章に翻訳している、とも言えそうです。

また現代数学はアラビアや西洋などで発達したため、文法がインド・ヨーロッパ語族のものになっているということも教わりました。
He is a student. と y = ax は同じ文法で、イコール記号がbe動詞の役割を果たしています。この考えは後年Excelなどで関数を記述するようになった時に、改めて理解が深まりました。

なんの役に立つのか?

「数学は将来役に立たない」「大人になって使うのはレジでお釣りを暗算する程度」などの否定的な意見は、小学生の頃からよく聞きました。

まず日常的に難しい数学概念を扱う職業もあると思いますので、「将来役に立たない」は過度な一般化であると思います。
ただ大半の仕事においては、微分積分や三角関数が直接必要になる場面はほとんどないでしょう。

大半の人について役立つものは、数学的な思考法だと思います。それは前述したような「問題の構造を掴み、抽象化」「論証や証明で解決策を提示」などのステップです。

そもそも役に立たないと価値がないという前提にも疑問があります。日常業務に活きなくても、問題解決の爽快感や数式の美しさを味わうこと自体が、文学作品を味わうのと同様に人生を豊かにする要素になり得ます。

数学は発見か?発明か?

上の方で「自然界にも数学が溢れている」と書きました。
近代までの言説では、数学は自然に隠れた法則を「発見」するものというスタンスだったようです。

「私は神のパズルを解きたい」(アインシュタイン)や、「宇宙という書物は数学の言葉で書かれている」(ガリレオ・ガリレイ)などの言葉も、そのような「造物主としての神」が宇宙の法則を定めたという一神教的世界観を示しています。

一方私は上記の講義を受けた影響から、数学は「人間が世界を抽象化・モデル化するために発明した体系」という考えをすんなり受け入れていました。

この「数学は発見か?発明か?」という命題は現代においても決着がついていないそうですが、どちらにせよこの世界の法則を扱いやすく抽象化するにあたって、数学の技法が非常に有効であるということは間違いないと思います。

農業に活きる?

以上、数学について稚拙ながら考察してみました。
この内容を踏まえると「農業に活きるか?」という疑問に対しては、具体的な計算手法を直接使用する場面は多くないものの、問題を把握・解決するための思考の道具として活かせるという結論になりそうです。

数学の楽しさや重要性は、大人になってますます強く感じるようになっています。いつか時間を作って、高校以降の数学を学び直したいというのが私の将来の目標の一つです。


[本日の参考文献]

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